改善の事典  》 第12章 組織  》 快適な職場環境をつくる
 
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組織‐1210a  快適な職場環境をつくる BACK


 このページの掲載事例→             ●1210a01 コンベアにウサギの絵を描く  
 ●1210a02 コンベア生産方式をセル生産方式に変える 
 ●1210a03 工場の休憩室を快適にする
 ●1210a04 カジュアルな服装で仕事をする
 ●1210a05 役職者を「さん」づけで呼ぶ  
 ●1210a06 知恵ちゃん学クンコーナーをつくる 
 ●1210a07 業務集中時間を設ける
 ●1210a08 企画部門後編集部門から電話機をなくす
 ●1210a09 夢の新社屋を建てる
 ●1210a10 職工たちを大切にする
 
【1210a01】 コンベアにウサギに絵を描く  


■ある工場でコンベアベルトに動物やマンガのキャラクターなど、作業者の思い思いの絵を描かせた。ベルトは10数分で1回転する。単調に流れるコンベア上に自分たちが描いた絵を見つけるとそれがひとつの段落になり、もうひと頑張りしようという気持になったという。




取材先 日本小集団活動協会・豊沢豊雄氏(1907-2010)講演
取材 1985/10/03

 
 
【1210a02】 コンベア生産方式をセル生産方式に変える  

■トイレサニタリー製品製造業の折原製作所では、パート社員たちがライン生産による流れ作業で生産していたが、次のような問題があった。
@多品種少量生産が進み、生産ロットが小さくなったことで、効率が悪くなってきた。
A作業者はコンベアの前で回転椅子に腰掛けて作業していたが、下半身を動かさずに同じ姿勢を続けていると足にむくみが出た。
Bモノをとったり、何かを確認するとき、下半身を固定したまま上半身をひねると、動作に無理が出て、疲労しやすかった。

■そこで、ライン作業を見直し、セル生産に変えた。
@必要な部品をセル台の上に並べ、1人ひとりがこのセル台の前に立って、それらを組み立て、梱包する。
A1人で完成させるから、自分のペースで進めることができ、待ち時間がなくなった。
B前後工程との物の受け渡しや確認がなくなり、作業効率が向上した。
C立ち作業になり、部品を取りに行くなどの歩く場面が生まれ、セル台はワンタッチで高さ調節できるようになって、疲労が小さくなった。
D1人で担当するので、責任感が高まり、不良が減少した。

■各セル台にはタッチパネルが取り付けられ、ここで生産計画、生産指示、部品の保管場所など、生産管理部門からの情報を確認することができるようになった。



取材先 折原製作所
取材 2006/08/30
掲載先 ポジティブ 2006/10
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki019.html

 
 
 【1210a03】 工場の休憩室を快適にする  

■従来の休憩室はテーブルを挟んで長椅子が対話形式に置かれているだけで、休憩時間の多様なニーズに対応できていなかった。 

■そこで、次のように改善した。
@テーブルと長椅子のほか、リクライニングソファーや寝そべることのできるスペースを作った。
A壁の色や照明を工夫し、観葉植物を置いて、リラックスできる雰囲気づくりをした。
B音楽を聞いたり、テレビや雑誌を見たり、1人でもくつろげるようにした。



取材先 シャープIC天理事業部
取材 1995/03/17
掲載先 燃えよリーダー 1995/05
 
 
 【1210a04】 カジュアルな服装で仕事をする  

■白いワイシャツにネクタイ、紺かグレーの背広というビジネスマンのフォーマルなスタイルは、折り目正しさを感じさせるが、仕事は型にはまったものになりやすい。

■そこで、ある会社では、自由な発想を促すために、週に1回「カジュアルデー」を設定。ネクタイを外してカジュアルウェアで仕事をすることにした。




参考文献 労政時報3221
 
掲載先 燃えよリーダー 1995/05 
  
 
 
 【1210a05】 役職者を「さん」づけで呼ぶ  
 
■組織の中の上下関係よりも、1人ひとりがどんな役割を担っているかが重要になってきている。そこで、ある会社では意識変革のために「社長」「部長」「課長」「係長」という役職名で呼ぶことを辞めて「さん」づけで呼ぶことにした。



参考文献 労政時報1994/08/12
掲載先 燃えよリーダー 2000/08
 
 
 【1210a06】 知恵ちゃん学クンコーナーをつくる  

■企画を練ったり、調べものや書きものをしているときに電話がかかってきたり、話しかけられて中断すると、考えがなかなかまとまらなかった。

■そこで、事務所の一角に「知恵ちゃん、学くんコーナー」を作り、ここで調べものをしたり、書きものをしているときには電話を取り次いだり、話しかけないことをルール化した。



取材先 フジコーポレーション
取材 1995/03/06
掲載 燃えよリーダー1995/05
 
 
【1210a07】 業務集中時間を設ける   

■執務中に電話がかかってきたり、話しかけられたり、来客があったりするとなかなか業務に集中できない。

■そこで、毎日午後1時30分から3時30分の2時間をQタイム(Quiet Time)とし、Qタイム中は電話の取り次ぎ、会議、来客、上司の業務指示など、仕事への集中を阻害する用件は入れないことをルール化した。

取材先 ベネッセコーポレーション
参考文献 労政時報1995/07/21
掲載 オフィス改善事例集
 
 【1210a08】 企画部門と編集部門から電話機をなくす  

■突然の電話、会議、打ち合わせは思考を中断させる。そこで、次のようにルール化した。
@企画部門と編集部門の机から電話をなくす。
A社員に代わって電話を取り次ぐフロアセクレタリーを配置する。
Bフロアセクレタリーにはあらかじめ各人の予定を知らせて置き、電話がかかってきたときは、フロアセクレタリーがコードレスフォンの子機を社員に渡す。
C社員が不在のとき、あるいはQタイムのときは伝言メモを渡す。
D社員が電話を発信するときは電話発信用ブースに足を運ぶ。



取材先 ベネッセコーポレーション
参考文献 労政時報1995/07/21
掲載 オフィス改善事例集
 
 
 【1210a09】 夢の新社屋を建てる   


■金属加工業、HILLTOPの山本昌作副社長は、2003年、工場の火災で全身に火傷を負い、生死の境をさまよった末に奇跡的に生還した。そのとき、あと3年生きられるとしたら何を残すべきかと考え、新社屋をつくろうと決心したという。

■大量生産の時代が退潮期に入った昨今、自分たちは、少量生産でも、単品生産でも確実に利益を生み出せる仕組み「HILLTOPシステム」を作った。そのことに誇りを持ってよく、その誇りを確かめられるような夢の新社屋を作ろうと考えたという。そして2007年5階建ての新社屋が完成した。

■南の壁面はピンクと黄色。それが青空の中にすっくと立っている。ガラス張りのエントランスから入って2階に上がると、広いオフィススペースがあり、ガラス越しに1~2階吹き抜けの工場スペースが見える。

■社員たちはいま、この社屋で力を合わせ、日々新しい仕事に挑戦している。最上階は京都府南部の山々を見渡せる食堂とラウンジがあり、みんなでくつろげる場になっている。そして、「HILLTOPシステム」と、その下での社員たちの仕事ぶりに関心を寄せる人たちが、全国から年間2000人、ここを見学に訪れる。



取材先 HILLTOP
取材2019/09/06

掲載先 リーダーシップ 2019/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki221.html

 


新社屋外観(左)と食堂に集まった社員たち
 
  【1210a10】 職工たちを大切にする   

武藤山治(1867-1934)が鐘紡兵庫工場を創業した1894(明治27)年当時、近畿・中国・四国・中部の各地に紡績工場があり「女工哀史」に描かれる過酷な労働条件の下で多くの職工が働いていた。鐘紡は、そんな中で、職工たち1人ひとりを大切にし、勤務待遇を高めることで、多くの職工たちを確保した。

鐘紡の兵庫工場には緑に囲まれた憩いのベンチ、円形の出窓のある女子寄宿舎、1000人以上を収容できる娯楽堂が設けられていた。無料診療所や乳児保育所もあった。

■工場長の武藤は自宅から人力車で通勤したが、鼻緒が切れて困っている女工を見つけたとき、彼女を人力車に乗せて、自分は歩いたというエピソードもある。


取材先 國民會館
取材 2024/04/15

掲載先 リーダーシップ 2024/05
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki263
.html





 
 

鐘紡兵庫工場の憩いの庭園(上)と1000人以上を収容できる 娯楽堂の内部(下)
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