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緩まないナットが世界から認められるまでの長い道のり
 ハードロック工業探訪記

「ハードロックナット」というナットがある。2個のナットのうち、上側は下向きの凹型、下側は上向きの凸型になっていて、凹凸部にはいずれも傾斜がついている。そして、下側の凸型ナットは穴の中心をずらして偏心させてある。凸型ナットを締め、次いで凹型ナットを締めて、凸部と凹部がかみ合い始めると、穴の中心がずれているために2つのナットは互いに相手をボルト軸に押し付け合う。これにより緩みが出ない。

緩まないから点検したり締め直す手間がいらない。そのことによる省力効果が認められ、現在は国内外の新幹線や明石海峡大橋、東京スカイツリーなどで使われている。

この発明者で、ハードロック工業(東大阪市)の社長の若林克彦さんは最初「Uナット」という緩まないナットを発明し、その製造販売で事業を軌道に乗せた。しかし、衝撃の激しい建築機械に使われた時、緩まないはずの「Uナット」に緩みが出て、事故の賠償を求められ、改めてアイデアを練り直して完成させたのが「ハードロックナット」である。しかし、なかなか軌道に乗らなかった。玉子焼き器やトイレットペーパーホルダーなどの製造販売の副業で経営を支えながら、分割民営化したJRの新幹線で採用されるまでに「ハードロックナット」開発から13年、「Uナット」の開発から26年を経ている。

「たらいの水をかき寄せると水は逃げる。向こうへ押しやるとこっちに戻ってくる。これが商いの極意です」若林さんからこの言葉を聞くと、その意味の深さが伝わってくる。



(「リーダーシップ」2012年07月号で詳報)
hardlock.pdf へのリンク

ハードロックナットの構造