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ネット版 改善改革探訪記 102 | ![]() |
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藍によって育まれた人形浄瑠璃 | ||
■吉野川は別名四国三郎と呼ばれる暴れ川で毎年のように氾濫した。下流域では稲作をあきらめて代わりに藍を植えたが、川が運んでくる豊かな土壌が藍にとって絶好の生育環境を作り、藍を専売品とした徳島藩の財政を潤した。この豊かさが阿波に華麗な文化を生んだ。淡路に生まれた人形浄瑠璃が徳島藩と藍商人の支援によって江戸・大阪の出し物を取り入れながら全国各地を巡業するうちに力強い芸風を身に付けたのである。 ■吉野川の河口に近い北岸に阿波十郎兵衛屋敷があり、ここで毎日人形浄瑠璃を上演している。演目は「傾城阿波の鳴門」。主君の盗まれた刀を詮議するため身分を隠し盗賊として大阪に住む阿波の十郎兵衛・お弓の夫婦のもとへ巡礼姿の娘お鶴が「巡礼にご報謝を…」と尋ねてくる。幼い娘の健気さ、我が娘と知りつつ親子の名乗りができない母のもどかしさが涙を誘う。 ■人形座「阿波十郎兵衛座」座長の高野文子さんから話を聞いた。メンバーは14人。30年前から先輩に教えてもらいながら続けてきた。ほとんどボランティアで、伝統芸能を守り伝えていく誇りと面白さを感じながら続けていると言う。 ■一体の人形を3人で操る。息をぴったり合わすのが難しい。頭を傾け、着物の裾で立ったり座ったり歩いたりを表現し、紐を引いて人形の指を屈伸させる。それによって表される表情の豊かさと心のふるえ…。生きているかのような人形の動きに、何百年の伝統をかいま見る思いがした。 |
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阿波人形浄瑠璃の人形 |