絵で見る創意くふう事典 》 改善改革探訪記 》 099 | ||
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ネット版 改善改革探訪記 99 | ![]() |
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なぜ大津絵を描くのか | ||
■江戸時代の大津の宿には大勢の人たちが行き交い、その多くが土産に大津絵を買った。大津絵は最初仏画から始まったが、やがて、風刺画、役者絵、武者絵、美人画、鳥獣などが描かれるようになった。 ■有名な画題に「鬼の寒念仏」がある。鬼が衣を着て慈悲深い恰好をしているが、心は鬼のままという人間社会を風刺した絵だ。猿が天秤棒の先に提灯と釣り鐘をひっかけて走っている図柄もある、釣り鐘の方が上がっていて、提灯が下がっている。たとえば親よりも子供を大事にするなど、本来重いものを軽んじ、軽いものを重んじている人間たちを皮肉っているのだ。 ■それらを自ら描いてみることで当時の人々が何を思ってどんなふうに生きていたかがわかると大津絵師で大津市無形文化財の高橋松山(しょうざん)先生はいう。「大津絵師という家業を継ごうと決めた時、美術学校を出ていたからすぐに描けると思った。しかし、描けなかった。それから本気で取り組むようになった。当時の人々がなぜこんな絵を描いたのか、描いてみて、はじめてわかることがたくさんあった。 ■今は義経も弁慶も頼光も知らない人が増えた。武士道も親孝行もなくなってしまった。しかし、今の知恵だけで生きていこうとすれば国は滅びる。昔の人たちの考え方、生き方をきちんと受け継いで、初めて我々は地に足をつけた生き方ができる」松山先生はそんな思いから市内何ヵ所かの教室で、小学生からシルバー世代までを含む多くの人たちに大津絵を教えておられる。 |
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大津絵師・高橋松山先生の作品 |