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ネット版 改善改革探訪記 98 BACK NEXT
大津と京都を結んだ石の道

JR大津駅の駅前に「車石(くるまいし)」が展示されている。中央部が凹型に凹んだ平らな石で、その車石を並べて石の道を作り、大津港に陸揚げされた米などの荷物を京都まで運んだという話を大津市「もの知りおじさん」の真田孝男さんから聞いた。

道は東海道の浜大津の大津八丁筋から京都三条大橋まで全長12キロ。石の道ができる前は湧水でぬかるんだ土に車輪がめり込み、特に逢坂山越えは牛にとって可哀そうすぎる道程だった。それを見かねた京都の心学者、脇坂義堂が私財を投げ打ってレールのように車輪の幅に合わせて真ん中に凹みを作った石を京都三条大橋までびっしり敷きつめたのである。1812年のことだ。最盛期には2万輌の牛車がこの道を通ったらしい。午前中は大津から京都へ、午後は京都から大津への一方通行だったという。

このことを研究している「車石研究会」というグループがあり、勉強会や現地見学会を開いている。真田さんはその勉強会に参加して車石の虜になり、調査研究に参加する一方で、当時の人々の牛へのいたわりの気持ち、牛の負担を軽減するアイデア、そしてアイデアを実現するための人々の協力を、郷土の貴重な歴史文化として子供たちに伝えていこうと様々な集まりで語り継いでおられる。


JR大津駅前の車石
JR大津駅前の車石