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蒜山高原の酪農ガイドの仕事

乳牛の大半はホルスタインだが、それよりも少し小ぶりで褐色のジャージー牛という乳牛が全国に1万頭いる。その4分の1が蒜山(ひるぜん)高原で飼われている。

かつては4〜5頭を飼育する小規模な酪農家が数百軒あったが、数十年前、牛乳の消費量が全国的に落ち込んだ時期に小規模酪農経営は立ち行かなくなり、集約化・大規模化が進んだ。現在は30〜100頭を飼育する酪農農家が40〜50軒。個々の酪農家が雌牛だけ飼育して搾乳に専念できるよう蒜山酪農農業協同組合が子牛を預かって育成し、雄牛は肉牛として太らせるなどの周辺業務を一手に引き受けている。

ジャージー牛乳はホルスタイン種に比べて乳脂肪分が多いが、乳の量が少なく、割高で高級品種。それだけにおいしさのPRが欠かせず、その一環としてここでは10数人の「酪農ガイド」が観光客に牧場体験や搾乳体験を指導している。その10数人の中から、元看護師の島村厚美さんと大阪での教員生活を定年退職してから蒜山高原に移り住んだ西村忠彦さんに話を聞いた。

観光客の多い土日と祝日に牛の全身をシャンプーで洗ってきれいにして搾乳場に連れて行き、親子連れに搾乳の仕方を教える。慣れない人の手で搾られるのは牛にとって決して快いものではなく、ときには苦痛なのだが、牛の体調を気遣いながら子供たちに手を添えて乳を搾らせる。人間よりもう少し温かい体温を直接に感じながら乳を搾った体験は子どもたちにとって忘れられない思い出となるという。
酪農ガイドの搾乳体験指導