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ネット版 改善改革探訪記 92 BACK
加齢による頑固さに気付かせる接遇研修

接遇とは相手への思いやりである。だが、人は年をとると頑固になり、相手の立場で考える柔軟さや謙虚さが失われてくる。そこで、
堺市シルバー人材センター理事の橋本一三五さんは、自分の失敗談を語り、加齢による頑固さに気付かせ、もっと柔軟に、もっと謙虚になりましょうと訴えている。

「夕食後にテレビを見ていてうとうとしていました。私が寝入ったのを見て妻が、巨人・阪神戦からメロドラマにチャンネルを変えたんです。寝てるからわからんはずやのに、変えたとたんにむくっと起きて、『なにすんのや!』と思わず大きな声が出ました。同じような経験されていませんか? 寝ててもわかるというのは大したもんや。年をとって仙人の境地に近づいたと、そのとき私は思っていました。ところが、テレビであるお医者さんが、『このような人はボケが始まっている』というのです。寝てる人はチャンネルを変えられたところでなんら自分に関係がない。それなのに『なにすんのや』と起き上がるのは、かたくなで理屈に合わない行動です。ボケが始まったのです。自分ではわからない。人に言われて初めてわかるのです」

受講者はみんな大笑いし、多いに共感し、同じことが自分にもあると気付いて、自分の老化を意識し、自分ももっと謙虚にならなければと思ったそうだ。

相手の立場で考えて行動すればもっと優しくなれる。こちらが優しくなれば、相手も歩み寄ってくれると橋本さんは説く。シルバー会員を対象としたこの接遇研修で、発注者や利用者からの苦情が激減したという。