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ネット版 改善改革探訪記 80 BACK NEXT
手話で社会参加する

大分市シルバー人材センターには手話サークルがある。元聾学校教員のYさんの提唱で、センター内で手話講座が開かれたことがあり、その時の受講者数人がもっと教えてほしいと頼みこんで、「それなら」と手話サークルが発足した。Yさんの知人の3人の聴覚障害者も加わり、メンバーたちはそれまで自分たちとは無縁と思っていた聴覚障害者の人たちとコミュニケーションする喜びを知った。仲間は徐々に増え、現在のメンバーは22人。

だが、2週間に1度のサークル会合以外で手話を使う機会がなければせっかく習ったこともすぐ忘れる。「何か目標を持つことが必要ですね」というYさんの提案で人権フォーラムに参加し、聴覚障害者の人権、高齢者の人権、病気の人の人権などを題材にした手話による5編の寸劇をみんなで演じた。それが自信となり、今は他の手話サークルとも交流会を持っている。

自然動物園のある高崎山で入場券販売の仕事をしている森さんと田村さんは、動物園を訪れた聴覚障害者に思い切って「いらっしゃいませ」と手話で挨拶を送ってみた。「この人は手話が話せる」とわかって、向こうは喜んでどんどん手話で話しかけてこられ、すぐにそのスピードについていけなくなったが、聴覚障害の人と心を通わせることができ、思い切って話しかけてよかったと思ったという。

メンバーたちの今の目標は、手話通訳ができるようになること。事業化は難しいかも知れないが、ボランティアででもやりたい。「それが自分たちにできる最高の社会参加です」と森さんと田村さんは言う。


手話で挨拶する森さんと田村さん