絵で見る創意くふう事典  》 第13章 顧客指向  》 H新規のお客様を開拓する
 
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顧客指向‐1309 H新規のお客様を開拓する BACK

 このページの掲載事例→              ●130901 来店27万人の繁盛店をめざす  
 ●130902 女性と子供の歯科医院への来院を促す  
 ●130903 地域の1軒1軒と関係を築く  
 ●130904 お客さまと一緒になって考える  
 ●130905 受注生産装置・振動ミルの需要先を開拓する  
 
【130901】 来店27万人の繁盛店をめざす  


■がんこフードサービス
京都店は京都駅ビルの中に出店した店で、屈指の優良店だったが、支配人はさらに上を目指して貢献利益1億円、来店客数は対前年133%の27万人の超繁盛店という目標立てた。これに呼応して全ポジションのリーダーたちがQCサークルを編成し顧客満足度向上に取り組んだ。

■ポジションリーダーたちは店のオープンと同時に採用されたパート・アルバイト。仕事にも慣れ、店のことは何でもわかるベテランだったが、互いのコミュニケーションが十分でなく、結束力が弱かった。各ポジションに他ポジションに対する好感度をアンケートきいてみると平均で5点満点中3.5点。この点数を4.3点に引き上げ、ポジション間の壁をなくすことを小目標とし、次のような対策を行った。

@繁忙期のヘルプ体制を次のように決めた。接客→エスコートレジ/事務レジ→接客/接客補助→全ポジション/配膳→調理/調理場→配膳/洗い場/洗い場→配膳、接客補助。これによりピーク時の料理提供スピードが格段に速くなりお客様をお待たせする時間が短縮された。

A接客係(30人)が行っていた交換ノートを全従業員(120人)にまで広げ、他のポジションへの要望や意見を書き込んだ。これにより他のポジションの考え、思いが理解できるようになった。

B一部のポジションで行われていたポジションミーティングを全ポジションで毎月1回実施。同時に各ポジションのリーダーミーティングを開き、支配人・調理長の方針確認、各ポジションに対する要望・意見などを話し合うことにした。これによりトップダウンとボトムアップのコミュニケーションがすすみ、店全体の意思統一を行えるようになった。

C店では料理が出てくるまでの「お通し」として「ホタルイカ」「蟹ミソ」「鯛ポン」などの小鉢を販売している。このメニューは調理場が決めていたが、ホール側からも提案することにした。お客様の反応や毎日の売れ行きを見てメニューを提案して調理場に作ってもらい、余裕のある時間帯に全ポジションの手のすいた人が協力して盛り付ける。小鉢に対する認識が全ポジションで共通のものになった。

D全ポジションのマニュアルを見直し、マニュアルのなかったポジションについては新たに作成。更衣室に置いていつでも見られるようにした。これによってケアレスミスが減り、他のポジションの仕事を知ることができ、相互理解が深まった。

■これらの対策の結果、2ヵ月後の他のポジションに対する印象は5点満点中平均4.3点にまで改善した。お客様に顔を向けていたのはこれまで接客係とレジ係だけだったが、全ポジションがお客様を意識するようになり、一丸となってお客様のことを考えられるようになった。2005年度の京都店の来店客数は対前年116%で目標の133%にまでは至らなかったが、もう1年頑張れば目標達成も夢ではなくなってきている。

取材先 がんこフードサービス(tanbouki 011)
取材 2006/5/1
掲載 ポジティブ2006/08
本文 ganko.pdf へのリンク 

  
京都店の外観(左)と京都店のQCサークルミーティング
 
【130902】 女性と子供の歯科医院への来院を促す   
■寄田歯科クリニックの寄田幸司院長は、予防歯科医療の重点対象を12歳までの子供と40歳以上の女性に絞り込んでいる。12歳までの子供は乳歯が永久歯に生え変わるまでの虫歯になりやすい時期であるし40歳以上の女性は歯周病の心配が増えてくる年代であり、女性に重点を置いたのは、昼間に定期的に通ってもらいやすいのはやはりこの年代の女性だと考えられたからである。

■子供たちのためには「カムカムクラブ」というサークルを作って、歯の健康の大切さを知ってもらい、歯医者さんというのは本当は怖くないんだよということを分からせる小冊子を配ったり、健康学習のイベントを定期的に開いた。会員数は現在1000人弱。サマーフェスタ、ハロウィンパーティ、クリスマスパーティなどを開催し、母親と一緒に集まった毎回数十人の子供たちの前で、スタッフが扮装してショーを演じ、ショーを通じて正しい歯磨きを教えたり、食生活の改善方法を教えている。

40歳以上の女性に対しては「ウエルカムサロン」を開設。3ヶ月に1度来院してもらい、スタッフとコミュニケーションしながら歯の健康状態をチェックし、クリーニングする。削ったり、詰めたりなどは一切行わず、美容室のような感覚で来てもらい、選りすぐりの調度品が並び、静かな音楽が流れる中で、心からくつろいでもらうことを狙っている

■患者というお客様の目線で歯科医院のあるべき方向をみつめ、治療から予防へ方向転換を図り、組織力によってその実現をめざすというやり方、さらには小冊子の発行やイベント開催、サロンの開設などによるイメージ戦略の手法は、歯科医療業界の常識からは生まれてきにくいが、寄田さんはその多くを異業種交流会から学んだという。中小企業の町、東大阪ならではの活発な異業種交流が生み出した施策だといえる。

取材先 寄田歯科クリニックtanbouki 075
取材 2008/10/03
掲載 ポジティブ2008/12
本文 yorita.pdf へのリンク 

 
カムカムクラブ
 
【130903】 地域の1軒1軒と関係を築く  


■福井県美浜町は人口1万1000人の小さな町である。自動車ディーラー、カワムラモータースの営業マンは、顧客獲得のために市域を越えた車で1時間の範囲まで足を延ばして営業活動を行なっていたが、成果が上がらず、そのために営業マンは採用してもすぐに辞めていった。

■そのやり方では地域のお客様をしっかり把握できないことに気付いた社長は方針転換。次の方法で地域から支持される会社をめざすことにした。

@美浜町を中心に車で10分の範囲の3600世帯を3つの地域に分け、1200世帯ずつを3人の営業マンに担当させる地域担当制を敷き、既存のお客様からご近所、親戚、知人、友人を紹介してもらいながら、1軒1軒を毎月1回以上訪問。売り込みよりも、何かあったら声をかけてもらえる関係づくりをめざした。

A「瓦版」と題する情報誌を手づくりし、「こんな情報誌を作りましたので見てみてください」と手渡していった。「要らない」と断る人が少なくなかったが、それでも根気よく配った。

B営業マンには成果を求めなかった。ピンポーンとベルを押し「こんにちわ」と声をかけて「瓦版」を置いてくればよく、ご本人に会えなければ、おじいちゃんやおばあちゃん、子供さんに渡してくればいい。心をこめて挨拶し続けることが誠意であり、地域に根を下ろす第一歩なのだ説いた。

C営業マンの負担を少しでも軽くするために、定期点検、車検、自動車保険のアプローチ…などの周辺業務は事務部門や整備部門で肩代わりした。

■根気よく通ってくる営業マンを、地域の人々は「悪い人ではなさそうだ」と思うようになり「次の車検はお宅にお願いしようか」とか「自動車保険、お宅でお願いするよ」と言ってくれる人がポツリポツリ現れるようになった。

■5年が経過すると、

@この活動に手ごたえを感じ始めた営業マンが辞めなくなり、販売台数あたりの収益が改善された。

A以前は値引やサービスを要求するお客様が少なくなかったが、通い続ける中でいつの間にか親しくなり、「いつもお世話になっているから無理は言えないね」と無闇な値引きを要求しなり、車1台を販売すると点検、車検、自動車保険など、すべて任せてくれるお客様が増えた。

■この成果をベースに1994年、同社は新たに敦賀店をオープン。同年、全国のホンダプリモ系列店で行われるメーカーのCS調査で日本一になり、その後1997年まで連続4年間日本一の座を占め続けた。

取材先 カワムラモータース(tanbouki 012)
取材 2006/5/23
掲載 ポジティブ2006/08
本文 kawamura.pdf へのリンク

  
カワムラモータース外観(左)と情報誌「瓦版」
 
【130904】 お客さまと一緒になって考える  

■プラスチックと金属の一体成型技術を開発した大成プラスの成富正徳さんのところには、こんなものがプラスチック加工で作れないかという相談が持ち込まれる。通常の仕事はそれまでに付き合いのあったところに頼むはずだから、大成プラスに持ち込まれるものは他所が断った難しいものばかりだった。

■その商談を進めるときに成富さんが心がけたのは、お客様の横に並んで一緒になって考えることである。

■向かい合った対立の目線ではお客様が持ってこられた図面の枠の中で考えるしかなく、その枠内だけで考えれば、それまでに断った加工業者と同じ結論しか出せない。

■お客様と同じ立場に立ってお客様が困っていること、求めていることを一緒になって感じることであり共有することである。お客様の考えている商品を忠実にイメージする。モノがそこになくても、あたかもそこにあるかのように思い描く。こことここがぶつかりそうだから、これをこんなふうに持っていけば…などという話が、お客様との間で宙で交わせるレベルにまで高めると、お客様と同志になることができ、視点を変えてもっと広い選択肢の中から解決方法を見つけ出すことができるようになる。

■そのようにしてお客様の要望に応え、多くの難しい仕事をこなしてきたおかげで技術力が高まったという。

取材先 大成プラス(tanbouki 021
取材 2006/9/4
掲載 ポジティブ2006/11
本文 taiseiplas.pdf へのリンク


硬質樹脂と軟質樹脂の一体成型によって実現した防水型携帯電話(左)と硬質樹脂と軟質樹脂の一体成型を応用した自動車のカードキー
 
【130905】 受注生産装置・振動ミルの需要先を開拓する   

■中央化工機(愛知県豊明市)が設計・製作・販売する振動ミルは、筒型の密閉容器に固形材料と硬球を入れ、容器を回転させることで、材料を粉砕する装置である。

■受注生産のこの装置が市場に浸透していくには、次々とニーズを掘り起こしていかねばならない。この機械が生かせそうな相手の目星をつけ、「この機械は御社のこういう所でこんな風に使うと役に立ちます」と、こちらから提案していくことが必要である。営業担当は世の中の動き、そこからくる市場ニーズ、それらを予め調べて、商談の中で確かめていきながら少しずつ話を詰めていく。

■先方の製品の値段や販売量についてもおおよその見当をつけておくことが必要だ。一見して自社技術が役に立ちそうに思えても、1台何千万円もする高額装置の場合は、事業規模が小さければ入り込む余地はない。商談はすぐにまとまるとは限らない。何年も通い詰めてやっとチャンスをつかみ成約にこぎつけるというケースが珍しくない。

■このようにして振動ミルは、粉末の抹茶、医薬品、健康食品などの生産に利用されてきた。さらにカラーテレビに使われるフェライト磁石やコンピュータのコンデンサに使われるセラミックの材料の粉砕にこの装置が使われてきたことで事業は大きく伸びた。

だが、近年はそうした営業のやり方が次第に通じなくなってきたという。電子機器がブラックボックス化して、分解してもどんな材料が使われているか、どんな働きをしているかがわからなくなったためである。また、ユーザーはこの装置で何を作ろうとしているかを洗いざらい話してくれなくなった。となると、ユーザーの言うなりに装置を作るしかなく、それでは技術力は低下する。

■これに対応して、同社は異業種との共同研究や国のプロジェクトへの参画を始めた。現在参画しているのは間伐材を粉砕し発酵させアルコール燃料を作る研究。それに参画することで世の中の様々なニーズを正確に把握し、異業種から刺激を受け、自社も専門業者として技術の発揮が求められ、新たなアイデアが出やすくなるという。

取材先 中央化工機(tanbouki 022
取材2006/10/8
掲載 ポジティブ06/1
本文 chuokakoki.pdf へのリンク


振動ミル(左)と中央化工機本社
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