絵で見る創意くふう事典  》 第13章 お客様  》 I新製品・新事業を開発する
 
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お客様‐1310 I新製品・新規事業を開発する BACK


時代が変わり、人々の生活が変化すると、市場ニーズが変化し、それまでの需要が減退し、事業は衰退していきます。時代を越えて会社を存続させるには、既存事業が収益力を保っている間に、新しい事業を立上げ、新たな収益を生み出さねばなりません。ここではその取り組み事例を集めました。

このページの掲載事例→                ●131001 電気工事用品を開発する  
●131002 毎分の電気使用量を見える化する
●131003 自転車をパンクから守るエアハブ
●131004 産業廃棄物を激減させたクリーニング技術
●131005 工場で野菜をつくる  
●131006 本物志向の野菜を販売する
●131007 歯科技工士の営業活動を引き受ける
●131008 治療中心の歯科医療から予防中心の歯科医療へ
●131009 医療品・化粧品のアウトソーシングを引き受ける
●131010 EV開発で下請けからの脱出を図る
●131011 調達と加工の体制を整えて新メニューを軌道に乗せる
●131012 空港便タクシーを運行する
●131013 緩まないナットを開発する
●131014 クリエイターの力を結集、「あったらいいな」を形にする
●131015 遠隔地コミュニケーションシステムを開発する
●131016 クリーニングに保管サービスを組み合わせる
 
 


■電気工事用品は法律によって仕様が厳しく規制されている。未来工業(岐阜県安八郡輪之内町)は、その枠の中で従来品を改良した新製品を次々生み出している。

■スイッチボックス
@従来2箇所だったビス穴を4か所に、その後7カ所に増やした。
A壁に取り付けやすいよう、ビスの長さを20ミリから30ミリに伸ばした。
Bスイッチボックスの輪郭部分にアルミ箔を貼った。これより、上から壁紙を貼っても、金属探知機で位置を検出でき、スイッチを取り付けやすくなった。

■鞘式電工ナイフ
 従来の折りたたみ式を、そのまま出し入れできる鞘式にし、取っ手底部に電線の割り線機構、刃の根元に電線の皮むき機構をとりつけた。

■合成樹脂製フレキシブル管
 ビルの天井・壁・床などに電線を貼るとき、従来は鉄管や塩ビ管を入れていたが、これを合成樹脂製フレキシブル管に変えた。これにより電設工事がやりやすくなった。

取材先 未来工業
取材 2006/01/12
掲載 ポジティブ2006/03
本文 mirai.pdf へのリンク

 
左からスイッチボックス、電工ナイフ、フレキシブル管
 
【131002】 毎分の電気使用量を見える化する   

金型製造業、シムックス(横浜市)は電力料金節減システムを開発した。工場内の100台近い設備に電流と電圧の計測メーターを取り付け、ネットワークを通じて消費電力のデータを集め、パソコン画面で見えるようにしたもの。

時々刻々変化する機械1台ずつの電力消費量が1分ごとにオセロチャートと呼ばれるエクセルの表のセルに記録される。機械が稼働中のときは「青」、スイッチが入っているのに負荷がかかっていない待機中のときは「黄色」、停止中のときは「赤」。

電気代をミニマム化させるには作業者がこまめにスイッチを切り待機電力をゼロに近づけることだが、それを怠ると表中の黄色のマス目が多くなる。このシステムによって1人ひとりの作業の進め方が一目で分かるようになり、作業者は使わないときには機械のスイッチをきちんと切るようになった。

このシステムは自動車メーカーやスーパーマーケット、レストランチェーンでも利用されているという。

取材先 シムックス(tanbouki 007
取材 2006/03/29
掲載 ポジティブ2006/06
本文 cimx.pdf へのリンク


電力料金節減システムの画像(左)とシムックス本社
 
【131003】 自転車をパンクから守るエアハブ  

自転車の車体と2つの車輪を結びつける回転軸部分をハブという。中野鉄工所(大阪府堺市)は、このハブにエアポンプを組み込み、自転車が走るとタイヤチューブにエアを供給しタイヤチューブの気圧を一定レベルまで高める「エアハブ」という装置を開発した。

気圧が一定レベルを越えると調整バルブが働いてエアは外に逃げるようになっており、タイヤはいつもパンと張っている。自転車のパンクの多くは空気圧の低下が原因で、エアハブによって一定の空気圧を保つことで自転車のパンクは大幅に減る。

2005年「ものづくり日本大賞・経済産業大臣特別賞」を受賞したエアハブ搭載の自転車は、中国からの安価な輸入品自転車が増える中、高機能自転車の新しい可能性を広げている。

取材先 中野鉄工所(tanbouki 008
取材 2006/0/11
掲載 ポジティブ2006/0
本文 nakanoiron.pdf へのリンク

  
エアハブのイメージ(左)と工場内部
 
【131004】 産業廃棄物を激減させたクリーニング技術  

■和歌山市のクリーニング業、クリーンサワの澤浩平社長は「グリーンDry」方式と呼ぶ新しいクリーニング法を開発した。

■従来のクリーニング方式では洗濯物を石油系溶剤に浸けて汚れを取るために界面活性剤を投入し、汚れの付着した界面活性剤をフィルターで漉すが、「グリーンDry」方式ではフィルターも界面活性剤も使わず、遠心力でドラムの内側に張りついた洗濯物に溶剤を噴霧して洗う。噴霧した溶剤はタンクに集め、自動蒸留装置で蒸留し再び洗濯物に噴霧する。

■これにより洗濯時間は10分に1になり、産業廃棄物は激減、溶剤消費量も10分の1で済む。

■「グリーンDry」方式は世界6カ国の特許を取得。メーカーと共同開発した独自のクリーニング機によるクリーニングサービスを展開している。

取材先 クリーンサワ(tanbouki 009
取材 2006/06/15
掲載 ポジティブ2006/0
本文 cleansawa.pdf へのリンク

 
【131005】 工場で野菜をつくる   

尼崎市の鉄鋼メーカー、日亜鋼業の本社事務所に隣接する工場が移転して空きスペースが生まれ、技術開発担当の佐藤雅文さんは、トップからその有効活用法の提案を命じられた。

■鉄鋼関連は既に成熟産業でニッチ市場を見つけるのは容易ではない。そこで、佐藤さんはアグリビジネスに着眼。工業的手法で野菜を栽培する計画を立てた。露地物で3〜4カ月でかかる野菜が植物工場では1.5カ月で収獲できる。さらに6段積みラックで空間を立体利用すれば、単位面積当たりの生産性は露地物の15倍になる。

■植物工場は2008年5月から始動。レタス・ミズナ・チンゲンサイ・セロリ・ハーブ類などはスーパー、百貨店、ホテル、レストランなどに出荷されており、これらの野菜は2009年2月「メイドインアマガサキコンペ」でグランプリに選ばれた。

取材先 日亜物産tanbouki 086
取材 2009/03/18
掲載 ポジティブ2009/06
本文 nichiabussan.pdf へのリンク


植物工場(左)と日亜鋼業本社
 
【131006】 本物志向の野菜を販売する    


■食管法で長く守られてきた日本の農業は、農家のプライドと品質意識を低迷させた。それを再構築し、農業生産者が自分たちの育てた農産物を自分たちで設定した価格で販売するために、茨城県つくば市の長谷川久夫さんは、1994年、農産物直売所「みずほの村市場」をオープンさせた。

■本物にこだわる契約農家がつくった野菜が、彼らの設定した価格で店頭に並んでおり、それを本物志向のお客様が買っていく。

■売り上げは右肩上がりを続けており、現在の会員数は1万2000人。売上は年間5〜6億円。契約農家45軒の1軒あたりの農業収入は全国平均の4倍近い800万円になるという。

取材先 農業法人みずほtanbouki 087
取材 2009/05/14
掲載 ポジティブ2009/0
本文 mizuho.pdf へのリンク
 

 
みずほの村市場の店内
 
【131007】 歯科技工士の営業活動を引き受ける     


入れ歯、鋳造冠、ブリッジなどを作る歯科技工士の多くは個人事業主で、自分で歯科医院を回って営業活動をしている。しかし、モノづくりが本職の彼らが営業に回るのは非効率である。そこで、叶ャ田デンタル(千葉県富里市)は、1983年、歯科技工士と歯科医院の間に入って営業活動を引き受けるというビジネスを始めた。

■それにより、歯科技工士の仕事の能率が向上し、品質が安定し、歯科医は最短時間で歯科技工物を手に入れられるようになった。

■同社は
さらに、歯の衛生週間のポスターや保険の入れ歯と保険外の入れ歯の違いを解説したポスターなど作成して歯科医院の経営を支援。それが歓迎され、現在は全国900人の歯科技工士を3000軒の歯科医院と結び付けている。


取材先 成田デンタル(tanbouki 060
取材 2008/01/21
掲載 ポジティブ08/03
本文 naritadental.pdf へのリンク


成田デンタルのポスター  
 
【131008】 治療中心の歯科医療から予防中心の歯科医療へ     


■開業して10年を迎えようとしていた頃、東大阪市の寄田歯科クリニックの寄田幸司院長は多忙を極め、スタッフ1人ひとりに目配りする余裕も失っていて、母の危篤の知らせを聞きながら、駆けつける事もできなかった。

■自分が作りたかったのはこんな歯科医院ではなかった。ではどんな歯科医院にしたかったのか。スタッフを集めて話し合う中で、「もっと楽しい歯科医院にしたい」「患者さんから感謝される歯科医院にしたい」「1人ひとりが余裕を持った仕事ができるようにしたい」という意見が出てきた。

■そこから治療よりも予防に力を入れていこうと考えるようになったという。治療に訪れた患者1人ひとりに、歯が悪くなってから削るよりも健康な状態を守る方がすっと大切なことだと説き、予防のために定期的に歯の掃除に通うことを勧め、その後、予防のために通院する患者が増えていった。

■予防歯科医療は保険適用外だから予防だけでは収入にならないが、予防のために通院する人は歯の健康意識が高く、歯並び矯正やインプラント治療など高額治療を希望する人も少なくないから、経営的には十分に成り立つ。さらに、歯のお掃除や清潔な状態に保つ仕事は女性の歯科衛生士が担当するが、自分が担当する患者を持つことで、彼女のモチベーションが高まるという効果も大きいという。

取材先 寄田歯科クリニックtanbouki 075
取材 2008/10/03
掲載 ポジティブ2008/12
本文 yorita.pdf へのリンク
 

 
 
【131009】 医薬品・化粧品のアウトソーシングを引き受ける  


■外用薬専門の医薬品メーカーの万協製薬は、震災で工場が倒壊。ノウハウがあるのにモノを作れないという事態を経験した。紆余曲折を経て、ようやく新工場での操業を再開。2004年の薬事法改正で医薬品製造のアウトソーシングが可能になってからは、従来製品製造の傍らで、スキンケア製品のアウトソ―シングを引き受けるようになった。

■他社の製造工程の一部または全部を引き受けることで新しい様々なノウハウに触れる機会が増え、その上に自社なりの工夫を付け加えて、新製品を逆提案し、それが採用されるようになって開発力が向上した。

■さらに、世間で医薬品販売のチェーンストア化が進み、大手チェーンが独自のブランドを求めたこともあって、自社製品を先方のブランドで売るOEMも伸びた。最近はさらに化粧品の製造にも進出している。

■従来製品の販売先は1社だけだった、その当時は新製品を作ってそれが売れても、なぜ売れたのかわからなかった。しかし、販売先が複数になると、この会社で売れて、この会社でなぜ売れないのかを考えるようになる。それを分析することで、より深くお客様のニーズに迫ることができるようになったという。 

取材先 万協製薬
取材  2010/07/17
掲載  リーダーシップ2010/10
本文 bankyo.pdf へのリンク 

←万協製薬の工場内部 
 
【131010】 EV開発で下請けからの脱出を図る   


■大阪府守口市の板金業、淀川製作所は、小倉庸敬さんが社長職を引き継いだ1999年頃から、元受企業からのコストダウン要求が強まり、やがて工場の海外移転に伴う受注減が続いた。「先行きの見通しが立たないから廃業します」という同業者が増える中、小倉さんは新しい顧客を開拓し、医薬品の軟膏を練る混練機や魚を3枚におろす機械の製作などを引き受けてきた。

■チャンスを広げるために異業種交流会に参加。EVElectric Vehicle電気自動車)開発を目指す人たちと出会い、「あっぱれ!EVプロジェクト」を結成。大阪府の地場産業活性化プロジェクトの助成金を得て、EVMeguru」を完成させた。真っ赤な漆塗りボディ、扇形の扉、御所車のような純和風デザインで、多くの人々をひきつけるものだった。

■開発の様子をテレビが密着取材し、EVMeguru」と小倉さんは一躍脚光を浴び、それを契機に淀川製作所には、新しい装置開発の引き合いが次々と入っている。

取材先 淀川製作所
取材  2010/08/30
掲載  リーダーシップ2010/12
本文  yodogawa.pdf へのリンク 

 ←E“Meguru”
 
【131011】 調達と加工体制を整え、新メニューを軌道に乗せる  


2001年と2003年のBSE問題発生によってアメリカからの牛肉の輸入がストップし、牛タンの価格が高騰したとき、牛タン専門店を展開するねぎしフードサービスは、豚ロースセットや鶏グリル焼きセットの新規メニューを加えることを計画した。しかし、新メニューを軌道に乗せるのに7年を要したという。

■新宿を中心に30分圏内に28店舗を展開する同社のセントラルキッチンでは、現在60人が肉を包丁で手切りし、塩コショウを手振りしている。機械ではなく肉の筋に沿って人の手で表面に細かい切れ目を入れることで、塩コショウが浸透し、炭火で焼いたときに余分な脂が抜け、それが肉の旨みを引き出す。

■この要員はもともと1520人だったが、新規メニューを28店のすべてで軌道に乗せるには、食材の調達と加工の体制を作り上げなければならない。とりわけセントラルキッチンの人数を少しずつ増やして、加工体制を整えるのに7年を要した。

■他社がすぐさま追随することは困難で、これが新規参入障壁になっているという。

取材先 ねぎしフードサービス
取材  2011/09/21
掲載  リーダーシップ2011/11
本文  
negishi.pdf へのリンク


↑セントラルキッキチン(左)とねぎしセット
 
【131012】 空港便タクシーを運行する   


■長野市の中央タクシーは1999年から7人乗りのジャンボタクシーで長野・成田空港間を5時間で運行する空港便サービスを始めた。MKタクシーの京都・伊丹空港間の空港便をヒントにしたものだった。 

■当初は長野・松本空港間を考えたが、松本空港は便数が少なく、十分な利用客数が見込めず断念。長野・成田間は電車で3時間半の行程だが、上野か東京で長い乗換区間がある。JRより安い価格のジャンボタクシーで5時間で成田まで行ければ、十分にお客様を引き付けられると考えて、運行サービスを開始した。

■当初7人乗りのジャンボタクシーに乗客が1〜2人しかなく、赤字運行期間が半年間続いたが、やがて平均乗車人数が徐々に増えて赤字幅が縮小し、7カ月目にようやく黒字に転換した。 

■その後、羽田便、名古屋便も運行。さらび新潟営業所を開設して新潟・成田間の運行も始め、空港便は同社の売上の6割を担う主力商品となった。現在は、新たに旅行業の免許を取得。ジャンボタクシーによる日帰り旅行の開拓に力を注いでいる。 

取材先 中央タクシー
取材  2011/10/21
掲載  リーダーシップ2011/12
本文  
chuotaxi.pdf へのリンク 

 ←空港便ジャンボタクシー 
 
【131013】 緩まないナットを開発する   


■ハードロックナットは上側の下向き凹型と下側の上向き凸型の2個のナットからなっている。凹凸部に傾斜がついていて、下側の凸型ナットは穴の中心をずらして偏心させてあり、これにより、2つのナットは互いに相手をボルト側に押し付け合い、緩みが出ない構造になっている。 

■これを発明した若林克彦さんは、若い頃、コイルバネがボルトのネジ山を押し付けて緩みにくくした緩まないナットの試供品を大阪国際見本市でみつけ、コイルバネを板バネに変えた「Uナット」を開発。さらに神社の鳥居にくさびが撃ち込まれているのを見て、1974年ハードロックナットを開発した。

■緩まない、外れない、従って点検不要のナットは、最初は阪神電鉄で、次いで、新幹線で、最近では明石海峡大橋、東京スカイツリーのほか、世界中で使われている。

■「たらいに水を張って水をかき寄せようとすると水は向こう側に逃げる。逆にこちらから向こうに押しやると、やがてこっちに戻ってくる。これが商いです」二宮尊徳のこの言葉を松下幸之助氏が信奉していたといわれるが、若林さんは同じ言葉を引いて、アイデアは相手を利するものでなければならないと説いている。 

取材先 ハードロック工業
取材  2012/05/14
掲載  リーダーシップ2012/07
本文  hardlock.pdf へのリンク

 
【131014】 クリエイターの力を結集、「あったらいいな」を形にする    

■デザイナー、プランナー、システムエンジニアなど、クリエイターと呼ばれる個人事業主の交流の場をつくれば、互いに刺激になり、元気になれる。広島市のソアラサービスの社長、牛来千鶴(ごらいちづる)さんは、そう考えて2000年に「SOHOSmall Office/Home Office)交流会」を開催した。その後「共同オフィス」を作って、交流を活発化させ、「SOHOプロダクション」を立ち上げて、クリエイターたちの力を結集。毎年「ひろしまSOHO博」を開催して企業とクリエイターとの結び付きの機会をつくってきた。 

■あるとき、整腸作用のある竹炭パウダーを売り込みたいとの相談が寄せられ、黒いもみじ饅頭を作ったら…と閃いてメーカーに提案。クリエイターのネットワークを生かして、デザインやPRを引き受けて成功した。それを機に地元企業と組んで、唐辛子入りの赤いもみじ饅頭、牛乳入りの白いもみじ饅頭、発泡濁り酒、新食感のうどん、広島菜キムチ、高級ちりめん…など新感覚の新商品を次々生み出して、成功させている。

■「SOHOのためにこんなのがあったらいいな…という発想から始めました。今は広島にあったらいいな…をカタチにすることに力を注いでいます。将来は。途上国の素材を使った高付加価値商品で現地に利益還元して、地球のために役立ちたい」と牛来さんは言う。
 

取材先 ソアラサービス
取材  2012/10/18
掲載  リーダーシップ2012/12
本文  
so@r.pdf へのリンク

 
↑ソアラ交流会(左)と黒いもみじ饅頭
 
【131015】 遠隔地コミュニケーションシステムを開発する     


SOBAプロジェクト社長の乾和志さんは大手制御機器メーカー、オムロンで「UNIXワークステーション」というコンピュータの開発を手掛けていた。しかし、マイクロソフト社のウィンドウズNTの登場で市場環境が大きく変化。オムロンはワークステーション事業から手を引くことになり、乾さんは映像・音声・文字情報などを双方向でやり取りするネットワークアプリケーションの開発に取り組むことになった。
 

■このプロジェクトには国内の複数の有名大学とNTTコムウェアが参加。そこから、テレビ会議システム、遠隔教育システム、遠隔医療システムなどのベースとなるアプリケーションソフト「SOBAフレームワーク」が誕生した。SOBASession Oriented Broadband Applicationsの頭文字。複数の人々が映像・音声・文字情報を双方向でやり取りする技術を指す。 

■オムロンはこの技術を知的所有権として保有するだけにとどめる意向だったが、乾さんは事業化を強く進言。技術本部長を説得し、技術本部長から社長を説得して貰って、2006年オムロンの子会社として「SOBAプロジェクト」が設立された。同社はその後、会議システム「ソーバ・ミエルカ」、通信教育システム、遠隔医療システムなどを世に送り出し、それまでになかった遠隔地コミュニケーションの新しい可能性を開いている。 

取材先 SOBAプロジェクト
取材 2013/03/05
掲載 リーダーシップ2013/03
本文 soba.pdf へのリンク
 
 
↑セッションの画像(左)とSOBAスクールの画像
 
【131016】 クリーニングに保管サービスを組み合わせる  


■東京・埼玉・千葉に130店のクリーニングチェーンを展開する喜久屋は、2003年から衣類のクリーニングと保管サービスを組み合わせた「イークローゼット(e-closet)」というサービスを開始した。

■お客様がメールで申し込むと、専用バッグと送り状が送られてくる。申込書に必要事項を記入し、洋服を専用バッグに洋服を入れて宅急便で送ると、検品後に料金が通知される。代金を支払うと、返却日に合わせてクリーニングのスケジュールに乗り、所定日まで保管の後、宅急便で送り返される。

■春の衣替えの季節にクリーニングした冬物衣料を次に着るのは、半年後に冬が近づいてきたときである。その時まで保管するというサービスによって、お客様は衣類の保管スペースを確保する必要がなくなり、同社はクリーニングの仕上げまでの時間的余裕が生まれ、最も多忙な時間帯に合わせて人を確保したり、残業させたりする必要がなくなって、仕事を平準化できる。さらにクリーニング設備は半分で済み、設備を撤去した工場は預かった衣類の保管スペースに当てることができる。

■このサービスがきっかけで、世の中に保管サービスというニーズがあることを発見したと中畠信一社長はいう。都会の住宅は一戸建てよりもマンションが主流になり、個人家庭の保管スペースに限りがある。その一方で生活の高度化、多様化で、1年に数回しか使わないものが増えている。そこで同社は、洋服のほか、和服、布団、ブーツ、ベビーカー、チャイルドシート、スキー板、スノーボードなどの保管も引き受けるようになった。

■洋服、和服、布団、ブーツのクリーニングは自社内で行ない、スキー板、スノーボードは専門業者に依頼し、チューニングし、ワックスをかけ、それぞれの品物にとって最良の状態で維持管理される。 

取材先 喜久屋
取材 2013/05/28
掲載 リーダーシップ2013/07
本文 
kikuya.pdf へのリンク 

 
↑クリーニング工場内部(左)と保管スペース
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