絵で見る創意くふう事典  》 第13章 顧客指向  》 J感動を提供する
 
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顧客指向‐1311 J感動を提供する BACKNEXT

CS(顧客満足)にはいくつかの段階があるといわれます。一番下はなんとか不満が出ないというレベル、次が期待通りの満足が得られる「満足レベル」、最上段にあるのがお客様の期待を大きく上回る「感動レベル」とされます。しかし、普通の人の期待水準を大きく上回り、意外性を感じさせるほどの顧客満足をあらかじめ仕組んでおいて、いつでも誰にでも提供するというのは恐らくは非常に困難です。最初のお客様にとってはまさに意外で感動的であったとしても、その評判をききつけてやってくるお客様にとっては期待が先行して意外性はなくなっており、よくてもせいぜい「満足レベル」にとどまってしまうからです。「感動レベル」のサービスが本当にあるとすれば、多くの場合、それはあらかじめ用意されたものではないでしょう。サービスの提供者がその時々のお客様と真剣に向き合い、相手の人間性に共感を感じながら、自分の人間性をそのまま表現した、その結果としてのサービスが感動を生むのだと思われます。たとえば次のような例がそれに当たります。

 このページの掲載事例→                  ●131101 対面で販売する  
 ●131102 お客様にまごころを伝える  
 ●131103 二日酔いのお客様に胃薬を用意する
 ●131104 陰膳を出す
 ●131105 Tシャツに寄せ書きする
 ●131106 運転とともに感謝の心を学ぶ
 
【131101】 対面で販売する  


■システム化と効率化を極限まで追求した量販店では、人と人のふれあいは、大幅に省略されている。私たちはほとんど言葉を交わすことなく、欲しい商品を淡々と手に入れる。その対極にあるのが昔ながらの対面販売である。

■高知市
内には江戸時代から続く伝統の街路市があり、高知城の追手門から東へ伸びる追手筋一・三キロには毎日曜日に地域の農業者や漁業者、食品加工業者など四百三十店のテント張りの店を並べている。

■「おばちゃん、これどうやってたべるが?」「これはこうやって、こんな風に料理したら美味しいよ」と人と人との対話の中でモノが売られていく。

■野菜も魚もその日とれた新鮮なもの。畑を耕し、魚を獲った当人が売っているのだから、そのまま土の香りと海の匂いが漂い、それらが作られ、獲られたプロセスの感動がそのままテントの中につながっている。

■江戸時代から300年の歴史の中で、量販店の進出と農業者と漁業者の高齢化で出店数が減っているが、いつもここで買い物をするという市民が少なくなく、この街路市を目当てにやってくるという県外からの観光客も多いという。

 
   
 
【131102】 お客様にまごころを伝える  

「牛たん・とろろ・麦めし」専門チェーンのねぎしフードサービスのある店のお客様アンケートの中にこんな記述があった。

■「小さい子供がいるので、入店するのを申し訳なく思っていたのですが、頼んでいないのに笑顔で子供用にご飯を持ってきていただいて感動しました。帰る時も何度も子供に声をかけていただいてすごく嬉しかったです。こんな素敵な店員さんはじめてです」

■同社は「お客さまにおいしさを、お客さまにまごころを…」という経営理念を掲げているが、この従業員はまさに「お客さまにまごころを」を実践したとして「親切大賞」が贈られている。


参考記事→探訪記124 negishi.pdf へのリンク
   
 
【131103】 二日酔いのお客様に胃薬を用意する  
 
■ゴルフ場のレストランでの事例。

■あるお客様が「今日は二日酔い気味だからザルソバでいいよ」と言われた。それを聞いたサービス係はしばらくして「よろしかったら、これをお使いになりませんか?」と胃薬を差し出した。お客様はこの心遣いに大いに喜ばれたという。

■この会社ではマニュアル化された機能的サービスだけでなく、その場その場の状況に応じた心遣い(情緒的サービス)を従業員に奨励している。情緒的サービスのうち標準化が可能なものは、その都度マニュアル(機能的サービス)の中に組み入れていく。
   
 
【131104】 陰膳を出す  

■ある日本旅館の例。

■この旅館の接客係は1人ひとりのお客様に真剣に向き合い、常に最大限の顧客満足を提供することを心掛けている。接客マニュアルはあるものの、そこに書かれていることは最低限のものに過ぎない。

■年1回の旅行を楽しんでいるあるグループで、次は「観光地を巡って、最後にあの日本一の旅館に泊まろう」という計画が持ち上がった。ところが、計画の2か月前に発案者の会長が急逝してしまった。

■メンバーたちは会長の遺影とともに旅行を決行。旅館に着くと、海の見えるテーブルに会長の遺影を置いた。

■それを見つけた接客係はメンバーから事情を聴き、遺影に合唱してから、「それじゃ、少しお待ちください」といって、遺影に陰膳を備えてくれた。

■メンバーたちは思いがけないサービスに感動し「会長、よかったね」と全員で乾杯したという。


参考文献:細井勝著「加賀屋の流儀」
   
 
【131105】 Tシャツに寄せ書きする   

あるビジネスホテルに女子学生が受験の下見のために宿泊した。彼女は友人たちが「がんばってね」と寄せ書きしたTシャツを置き忘れてチェックアウトした。

■忘れたことに気づいた彼女が問い合わせてきたときには,部屋にはもう残っていなかった。「とても大切にしていたのに…」と聞いた支配人は青くなったが,二度と出てこなかった。

■そこで支配人は新たにTシャツを買い求め,従業員全員で「受験,がんばってください」と書いて贈った。

■彼女は気持ちを取り直し,受験の際に再びこのホテルに泊まって見事合格。「このTシャツのおかげです」と喜んでくれたという。


参考記事 →探訪記104 superhotel.pdf へのリンク
   
 
【131106】運転とともに感謝の心を学ぶ  

島根県のMランド益田校は合宿方式の自動車教習所で、普通車ATの場合で二週間滞在して運転を学ぶ。

■そのためだけに2週間滞在してもらうのはもったいないとして、ここには宿泊施設、飲食施設、コンビニ、テニスコート、ゴルフ練習場、美術ギャラリーなどがある。

■さらに、ここでの生活にはいくつかのルールがある。ひとつは必ず挨拶しましょうというもの。もうひとつは、「Mマネー」という地域通貨を使うこと。校内清掃やトイレ清掃、教習車の洗車などのボランティア活動をしたり、誰かに親切にされたときにサンキューレターを書いたり、改善提案を書けば「Mマネー」が貰え、それで様々なものやサービスを買うことができる。

■ねらいは、運転教習とともにこれらを通じて、生徒たちに、交通安全や人へいたわりの気持ち、奉仕の心、感謝の心など、人生において大切な何かを学んでもらうことにある。

■ここでの「感動」は与えられるものではなく、自分たちで掴み取る。ほとんどの卒業生たちは自分たちなりにそれを掴み取り、2週間後には大きな感動とともに卒業していく。


参考記事→探訪記109 mland.pdf へのリンク
 
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