絵で見る創意くふう事典  》 第13章 お客様  》 G既存のお客様との関係を強化する
 
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お客様‐1308 G既存のお客様との関係を強化する  BACK 


既存のお客様との関係は、新規のお客様の開拓よりも、ずっと小さな労力と時間とコストで強化できます。従って、経営を安定させるには、既存のお客様との関係を強化し、いつまでも自社のファンでいてもらうことが大切です。そのための工夫を集めました。

 このページの掲載事例→                                ●130801 お礼状ハガキを書く  
 ●130802 手紙を交換する  
 ●130803 お客様の名前を覚える  
 ●130804 お客様情報を登録、お客様を名前で呼ぶ  
 ●130805 イベントにお客様を招待する  
 ●130806 ショールームにお勧めの本を置く
 ●130807 遠隔地ゴルフ場のリピート客を増やす
 ●130808 バッグの品質を永久保証する
 ●130809 お客様を工場見学会に招待する
 ●130810 心に残る体験をクチコミで広げる
 ●130811 いつものお客様を大切にする
 ●130812 お客さまへの感謝の心を育てる
 ●130813 売上第一主義から顧客満足第一主義へ
 ●130814 全員参加でお客様に対応する
 ●130815 自動車学校の「母校化」でお客様の心をとらえる
 ●130816 農家に寄り添って支持を集めた青果市場
●130817 共感性を高めて商品の価値を伝える
●130818 取引先を車で1時間の範囲に限定する
●130819 「ありがとう」と言われたら「しまった」と思え
●130820 「天使の仕事」を目標にする
●130821 靴と一緒に「まごころ」を届ける
 
【130801】 お礼状ハガキを書く  

■店舗、事務所、個人宅を訪問してクリーンサービスを提供する兜髄野のクリーンサービス事業部では、次の場合にお礼状ハガキを書いて送ることをルール化している。
・お客様を訪問した時「お時間をとっていただき、ありがとうございました」
・契約が終了した時「ご利用いただき、ありがとうございました」
・契約終了から3カ月、6カ月、1年を経過したとき「また、機会がありましたらお声をかけてください」

■これを徹底するために、出したお礼状の枚数を従業員の評価要素に加えている。また、お客様からお礼の手紙をいただいたときは、優秀社員表彰の審査において1件について10ポイントの評価を与えている。

取材先 武蔵野

取材 2002/09/13
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki001.html
 
 
【130802】 手紙を交換する   

■婦人用バッグを製造販売する(株)吉田オリジナルでは、バッグのお手入れ会や工場見学会など、お客様との交流の機会を設けている。それを機に手紙をくださるお客様が少なくない。応接室の書棚にはそれらの手紙がファイル、保管されている。

■その中に、1人でファイル14冊分の手紙を下さった人がいる。ご主人を亡くされ、子どもを亡くされ、病に冒されながら、元気だったころ、バッグを購入した時の喜びが書きつづられている。バッグを通じて知り合った吉田茂社長との手紙の交流が、晩年の生き甲斐だったという。

■吉田社長をはじめ、会社からお客様に出す手紙は90万通。革の買い付けのために、毎年2回ヨーロッパに出かけるときは2万人分の絵葉書を持参し、現地で切手を貼って投函するという。

取材先 吉田オリジナル
取材 200/09/21
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki002.html

 
 
【130803】 お客様の名前を覚える  

■寿司と和食のチェーン店、(株)音羽の池田総本店では「お客様の名前を覚える」というテーマでQCサークル活動を行った。

@予約台帳、伝票、カード支払い時のサイン、領収書、アンケート、ポイントカード、ボトルキープ時のカードなどから、お客様の名前を確認した。
A全員がハンディカードを持ち、年代、体型、ヘアスタイル、芸能人に例えるなら…、等の特徴を書きこんで覚えた。
 
B生簀の魚を子どもさんに網ですくってもらい、競りにかけるというイベントを開催した。競り落としたお客さまにはその場で調理してお出しし、売上は福祉施設に寄付することにした。このとき撮影した写真をアルバムに貼って全員で顔と名前を覚えた。お客さまには次回ご来店時に写真をお渡しした。
 
Cその後、お客様に声をかけるときは意識的にお名前で呼ぶようにした。
D商品説明はしっかり行い、お客さまと言葉を交わす時間が多くなるようにした。
E客席を色分けして担当を決め、1人が最後まで責任をもって担当するようにした。
F会計時レジ係はポイントカードでお客様の名前を確認し、名前で呼んでお礼を伝えるようにした。
G接客係は毎月1回覚えているお客様の名前を書き出し、確認するようにしている。
■これにより、店長以下12人が覚えているお客様の名前は3カ月で183人から471人にまで向上した。

取材先 音羽茶屋池田総本店

取材 1999/09/23
掲載 燃えよリーダー1999/11 
 
【130804】 お客様情報を登録、お客様を名前で呼ぶ  

■自動車ディーラー、ネッツトヨタ南国では、営業マンだけでなく、お客様に接する全員が名前で呼べるよう、次の様な活動を行った。

■会社に来られるお客様の車のナンバーをコンピューターに登録し、お客様の車が見えると端末から検索し、名前とその他の情報を関係者にトランシーバーで知らせた。

■これにより、ショールーム内の担当者が営業担当と同じレベルで「○○様、ようこそお越しくださいました」「タバコは吸われませんでしたね」と禁煙コーナーに案内したり、「いつものブラックコーヒーでよろしいですか」などと応対することができ、他社とは違うというサプライズを演出した。

取材先 ネッツトヨタ南国
取材 2005/11/08
掲載 ポジティブ2006/01
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki004.html

 
 
【130805】 イベントにお客様を招待する  

■ネッツトヨタ南国では、お客様との関係を深めるために、年に数回カーオリエンテーリングを企画し、お客様を招待している。

■車で郊外に出かけ、1日自然の中で楽しむもので、例えば、廃校になった小学校に行き、工作教室を開いて竹トンボを作ったり、川でアメゴを釣り、田舎の食材を集めて料理を作ったり、クイズ大会を開いたりした。

■お客様には数千円の参加費を負担していただくが、毎回企画を発表したその日のうちに定員に達してしまうほどの人気。

■企画運営は営業担当のほか、サービス担当、支援担当などのスタッフも参画する。お客様をもてなすことでより親しくなり、会社とお客様との結び付きを強めている。

取材先 ネッツトヨタ南国
取材 2005/11/08
掲載 ポジティブ2006/01
探訪記  http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki004.html

 
 
【130806】 ショールームにお勧めの本を置く  


■ネッツトヨタ南国では、ショールームでお待ちのお客様のために図書や雑誌を置いている。その中に「マンガを置いてほしい」という要望があったのをきっかけに、お客様に感じてもらいたいショールームの雰囲気はどういうものか…をみんなで「話し合い、お客様にとって面白そうな、楽しそうな本を選んで、お勧めしようということになった。

■その後、ショールームスタッフはお勧めの本を並べ、そのコメントを紙に書いて壁に貼っており、お待ちになっているお客様のところまで持っていって「ご覧になりませんか」とお勧めしている。

取材先 ネッツトヨタ南国
取材 2005/11/08
掲載 ポジティブ2006/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki004.html 

 
 
【130807】 遠隔地ゴルフ場のリピート客を増やす  


千葉夷隅ゴルフクラブは都心から車で90分の遠隔地にある。この立地のハンディをカバーするために、一度来られたお客様に2度、3度くりかえし足を運んでもらうための戦略を立てた。

@お客様のご予約、ご来場〜お帰りになるまでの24の場面について誰が何をするかをマニュアル化し、全員に徹底した。

Aそれらのサービスに加えて、どうしたらお客様に喜んでいただけるかを小集団活動を通じてみんなで考えた。例えば、二日酔いのお客様に胃薬をお出しする…などマニュアルにはない、その場その場の心遣いをくふうした。

Bアンケートや従業員が見聞きしたお客様情報をコンピュータに蓄積。例えば、氏名、ゴルフ歴、プレイするときの癖やこだわりなど、いつでもどこでもコンピュータ端末で確認できるようにし、個々のお客様に応じた心配りができるようにした。
 
取材先 千葉夷隅ゴルフクラブ
取材 2002/09/22
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki003.html

 
 
【130808】バッグの品質を永久保証する    

婦人用バッグ製造販売業、吉田オリジナルの事例。革のバッグの品質は購入時が70%で、その後使えば使うほど風合いが増して100%に近づく。そこで、同社は、バーゲンは行わず、永久に修理を保証している。

■販売した商品のアフターケアのために、全国で「お手入れ会」を開催。そこでは革にワックスを塗り、すりきれた部分を補修する。そのほか、有償で手紐や裏地の交換を行っている。

■この会を通じて自社の商品をどこまでも大切にする同社の姿勢に、多くのお客様が共感し、次々とファンが増えている。

取材先 吉田オリジナル
取材 2002/09/21
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki002.html
 
 
【130809】お客様を工場見学会に招待する  


■婦人用バッグ製造販売業、吉田オリジナルでは、ハンドバッグがどのようにつくられるのか、そのことをお客様に目で確かめていただき、理解を深め、長くバッグを使っていただくために、年30回の工場見学会を開催している。
@この日は全社を挙げてお客様をおもてなしする。社員にとってはお客様の生の声に触れるよい機会であり、お客様には繰り返し参加することで、ますますファンになっていただく。

A工場見学の午後の部では、社員がモデルになって新作バッグのモードショーを開催する。

取材先 吉田オリジナル
取材 200/09/21
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki002.html


 
 
【130810】心に残る体験をクチコミで広げる  


■島根県益田市。飛行機と新幹線とバスを乗りついで何時間もかかるこの地のドライビングスクール、Mランド益田校は、全国からの入校希望者が絶えない。

■普通のドライビングスクールでは運転を習って免許を取ってしまえば、それで終わりだが、ここでの見聞や体験はいつまでも心の奥底に残り、卒業生たちが「あそこはいいよ。ぜひ行ってみたら」と兄弟、後輩、友人、知人たちにクチコミですすめているからである。

■2週間の合宿の中で、運転だけでなくもっといろんなことが学ぶ。互いに挨拶しましょうというルールがあり、ボランティア活動をしたり、人に感謝されると「Mマネー」という地域通貨が貰える。そのことを通じて、ほとんどの人が交通安全、人へいたわりの気持ち、奉仕の心、感謝の心など、人生において大切な何かを学んで帰る。

■年1回の「Mランドまつり」には、ここで過ごした日々が忘れられないという卒業生が全国から集まってくるという。

取材先 Mランド益田校
取材  2010/10/29
掲載  リーダーシップ2011/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki109.html へのリンク

 ←卒業生たちによるMランドのつどい
 
【130811】いつものお客様を大切にする   


■1998、長野で冬季オリンピックが開催されたとき、スポーツとメディアの関係者が市内各所の競技会場を行き来するために、タクシーを割高料金で借上げ予約した。タクシー会社はオリンピック特需に沸いた。

■中央タクシーのタクシーも1カ月前には予約で完売したが、そのときある乗務員が言った。「でも、市民の足がなくなっちゃいますよね。ウチの車で病院に通っているおばあちゃん、どうするんでしょうか。私たちはやっぱりいつものおばあちゃんのところに行くべきじゃないでしょうか」

■それを聞いて当時の宇都宮恒久社長は、オリンピック特需をキャンセルし、市民の足に徹することを決めた。

■オリンピック後、他社の業績が急速に落ち込んだのに対して、同社はお客様を大切にする会社としての評判を高め、市内タクシー会社のトップに躍進した。

取材先 中央タクシー
取材  2011/10/21
掲載  リーダーシップ2011/12
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki126.html

 
【130812】お客さまへの感謝の心を育てる   


■北九州市のスーパーマーケット、ハローデイの加治敬通社長は「より多くのお客様に感謝する」という経営理念を従業員に浸透させるために、次のような取り組みを行っている。

■「感謝」を教えるために、社員研修では、加治さんが話したり、ビデオを見せて、両親への感謝を思い起こさせ、両親に感謝できない者は他人であるお客様に感謝することもできないと説いている。

■その上で、両親の思い出を発表させ、最後に親孝行の決意表明をさせる。「はじめての給料で母に靴とカーネーションをプレゼントしました。そして『私を生んでくれてありがとう』と言いました。母はぼろぼろと涙をこぼし、私も一緒に泣きました」そんな報告書が研修を終えた社員から出てくる。

■経営理念の中には「より多くのよりよき人財を育成する」というのもある。「よりよき人財」とは「強く、やさしく、明るく、元気な人」、「強い人」とは「自分が悪かったときに頭を下げることができる人」と説明している。

■「できるか? パートさんにも頭を下げられるか?」とある中堅社員にきいた。「大丈夫です。いつもやっています」と言う。「嫁さんにもできるか?」と聞くと、「えっ、嫁にですか? それはちょっと」と言い淀んだ。「じゃあ、キミは弱い人間じゃないか」と言うと、「わかりました。今日帰って嫁に、ありがとうといいます」と言った。

■翌日の朝礼で彼はこんな報告をしてくれた。「これまで悪かったと嫁に言いました。すると嫁はそんな風に言ってくれて嬉しいと泣き出し、いや、俺も悪かったと言って2人で手を取り合って泣きました」その話を聞いたみんなは「すごいね、あなた変わったね、行動したね」と彼を褒め、周りが明るくなった。

■両親や家族への感謝の気持をみんなに前で口にすると、その人の人間らしさを身近に感じることができる。それが仲間意識を生む。大切な家族のために仕事に精を出そうという気持ちと、みんなでお客様に喜んでいただけるいい仕事をしようという気持ちを共有できるようになる。 

取材先 ハローデイ
取材 2013/11/19
掲載 リーダーシップ2014/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki152.html

 
↑ハローデイの社員研修会(左)と朝礼風景
 
【130813】売上第一主義から顧客満足第一主義へ   


■自動車の販売台数は高度成長期に大きく伸びた。当時の営業活動は徹底した実力主義で、押しの強い声の大きな営業マンほど成績を上げた。しかし、車を持ちたいという人のほとんどが車を持ってしまうと、営業活動の中心は、買っていただいたお客さまとの関係を大切にし、買い替え需要を丁寧に掘り起こしていくことに移行していく。

■滋賀ダイハツ販売は、創業者の後藤昌幸社長の時代に全国のディーラーのトップクラスの売上を誇ったが、買い替え需要を掘り起こしていく時代に入って顧客満足度の低さが大きな問題となった。そこで、2代目の後藤敬一社長は2000年に「経営品質」の考え方を導入。売上至上主義からCS(顧客満足)向上に方向転換を図った。

■「経営品質向上委員会」を組織。「顧客本位」「社員重視」「独自能力」「社会との調和」の4つの理念に沿って社内体制を見直し、「すべてのお客様に愛され、喜ばれ、信頼される企業になる…」そのことを通じて「社員、お客様、お取引店様、ダイハツグループ、地域の人々」の「5つの幸せ」をめざす…という経営理念を打ち出した。

■経営計画に沿って職場ごとに実行計画を策定。進捗状況を確認しながらPDCAを回した。

■サービス工場では、作業の無駄をなくし、作業手順を標準化。お客様の待ち時間を短縮した。

■店舗では、来店予約が入ると、お客様名、車のナンバー、来店予定時刻、車の点検・整備・オイル交換など…の用件をみんながパソコン端末で確認。お出迎え、店内ご案内、テーブルに着かれると飲み物を出す、サービスのが終わると作業内容を報告、最後に全員が起立してお見送り…、などの店舗オペレーションを標準化し、すべてのお客様に同じサービスを提供できるようにした。

■このほか、女性のお客様にとって快適な店舗づくりに努めたり(軽自動車は女性のお客様が多い)、職場環境や礼儀規律を幹部社員が毎月チェック。メーカーによるCS調査に加えて独自のお客様アンケートを実施。お客様からの評価への関心を高めた。

■さらに、お客様情報、ライバル情報、ビジネスパートナー情報、本部情報、そして自分の意見を持ち寄って、未来対応型会議でそれらを共有、評価面談での上下コミュニケーション、各種研修会、サービス技能コンテスト、各種社会貢献活動などを実施。これらの活動を10年間積み重ね、メーカーによるCS調査結果は2006年以来、常にトップクラスに入るようになった。 

取材先 滋賀ダイハツ販売
取材 2014/01/21
掲載 リーダーシップ2014/03
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki154.html
 
↑左から店内接客風景、サービス技能協議会、早朝勉強会
 
【130814】全員参加でお客様に対応する    


■びわこホームの営業マンには当初歩合給が支給されていた。その結果、営業マンは粗利額の大きい物件を売ろうとしていたが、それは必ずしもお客様のメリットにはつながらなかった。加えて、後輩育成に時間を取られると自分の歩合給が稼げないから、営業マンたちは後輩を育てようとしなかった。

■そこで、上田裕康社長は歩合給の廃止を決め、上司との面談の中で目標を設定し、その達成度合いに応じて処遇を決定することにした。しかし、そのことに承服できないベテラン営業マン4人が退職し、それに続こうとして辞表を出した社員が3分の2に達した。

■上田社長はそれを押し留め「みんなで頑張ればきっと立ち直れる」と説得。新たに全員参加でお客様に対応する次のような仕事のスタイルを打ち出した。

@従来は営業マンがお客様宅ですべてを決めていたが、お客様に来店していただき、予算と希望を聞いて、営業担当、設計者、インテリアコーディネーターなどが一緒になって、チームビルディング方式で、家の間取りや仕様を決めることにした。

A専属契約を結んだ工務店とびわこホームだけの物件を施工してもらうようにし、オリジナルの規格住宅を販売。注文住宅よりも格安で施工期間も短縮できるようにした。

Bそれまでに家を建立て頂いたお客様を全員で手分して定期的に訪問。建物の傷んでいるところを無償で補修を始めた。

取材先 びわこホーム
取材 2014/11/13
掲載 リーダーシップ2014/12
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki163.html

 
↑新築したお客さまへの引き渡しセレモニー
 
【130815】自動車学校の「母校化」でお客様の心をとらえる     


■徳島市の広沢自動車学校は先代経営者が古参社員を解雇したことから社内の空気が沈滞化し業績が悪化していた。

■業績回復を目指した祖川康子社長は、成果主義導入、感謝の心と組織への忠誠を植え付ける教育訓練、などを試みたが、効果は一過性で終わった。ある自動車ディーラーを幹部社員とともに見学したとき、全社員一丸となってお客様との関係性を作り出していることに感銘を受け、「これだ!」「こんな会社にしたい!」という共通の目標が生まれた。

■自動車学校のお客様の多くは卒業を間近に控えた高校生たち。そのうちの何人かに声をかけて集まってもらい、自動車学校に望むことについて意見をきいた。

■その中に、自動車学校も学校なのだから「母校」と思ってもらいたいという意見が出てきて、「広沢母校化プロジェクト」が始まった。
@卒業検定合格者を集めて卒業式を開催
A交通安全を通して命の大切さを考えさせる
Bお客様の有志で編成した営業部隊に企画を委ね、卒業式の日に最後に高校の制服をきて参加する「制服パーティ」を開催する
…などの活動によって、お客様の心をとらえている。
 

取材先 広沢自動車学校
取材 2015/12/03
掲載 リーダーシップ2016/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki175.html

 
↑卒業生たちの制服パーティ(左)と地域の人々を招待して開催される大感謝祭
 
【130816】農家に寄り添って支持を集めた青果市場        


1960年代のスーパーマーケットの登場以来、小売業が大型化。それとともに農協も大型化して、農家へのきめ細かい支援が希薄になっていた。その一方で、
農業の担い手は高齢化し、あるいは男性が勤めに出て女性が担い手になるケースが増え、つくった野菜を市場まで持っていくのは大きな負担だった。

■そこで、高知県の赤岡青果市場は、1970年代から職員がトラックで集荷に出向く「庭先集荷」を開始。さらに、出荷資材の配達、パッキングの代行、営農指導などで、農家を支援してきた。

■それが農家の支持を集め、広範囲の農家からの集荷を可能にし、一地方市場でありながら、県内トップの取扱高を記録。全国の農業関係者の注目を集めている。 

取材先 赤岡青果市場
取材 2016/05/09
掲載 リーダーシップ2016/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki181.html

 
↑庭先集荷の様子(左)とキュウリの競りの様子
 
 【130817】共感性を高めて商品の価値を伝える  

携帯ショップの売り方は、「携帯電話ゼロ円」とか「いまなら3万円キャッシュバック」などの値引き戦術で、契約件数を増やすことが中心だった。桑野隆司さんはその売り方に疑問を持ち、携帯ショップの販売員研修受託と経営コンサルティングの会社、潟sアズを起こした。桑野さんが勧める売り方は次のようなものである。

■来店されるお客様は携帯電話に様々の疑問や不安を持っている。販売員は、契約締結以前に、それらの疑問や不安に答えることが求められる。そこで、お客様への共感性を高め、携帯電話の本来の使い方や便利さをわかりやすく伝えるための勉強会を開催している。

■かつての携帯ショップは携帯端末を売るところだったが、いまは携帯・スマートフォンの自分にぴったりの使い方、楽しみ方を見つけるところに変わってきている。そこで、それまで軽視されがちだった商品サービスにもお客様の関心を振り向けることに努めている。

■利他主義、向上心、感謝の心…を行動指針と定め、販売員に理解と浸透を図っている。

取材先 ピアズ
取材 2017/05/01
掲載 リーダーシップ2017/06
探訪記  http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki192.html

 
↑携帯ショップへの販売指導(左)とマナー接遇・研修。
 
 【130818】取引先を車で1時間の範囲に限定する  


■千葉県松戸市のスズキ機工に茨城県北部の大手食品工場から、ある装置を作ってほしいという依頼があった。車で2時間半かけて図面と見積書を届けたが、その注文が突然キャンセルになった。

■たまにはそういうこともあると諦めていたが、次にその工場を訪問すると、キャンセルされたはずの装置が据え付けられ、稼働していた。「どういうことですか?」と問い質すと、スズキ機工が作った図面で近くの同業者に製作を依頼したとの答えだった。それを聞いて「お宅とは2度と取引しない」と鈴木豊社長は席を立った。

■なぜこんなことが起こったのか、怒りを鎮めて考えてみた。スズキ機工からその工場まで車で2時間半。もっと近い同業者が足しげく通い、スズキ機工の図面と見積書をみて、「うちにやらせてもらえれば、もっと安くつくります」といえば、安いほうに発注するのは自然の成り行きだろうと気が付いた。鈴木さんは「以後、車で1時間以上のところとは取引しない」と決めた。

■これにより取引先に3分の1を失った。しかし、車で1時間以内の取引先には、鈴木さんも、設計製作担当者も足しげく通うようになり、先方の事情を十分に理解し、困難な問題を一緒に考え、要望に沿って提案することができるようになった。これにより取引先の数も、1軒当たりの注文も、大幅に伸びたという。

取材先 スズキ機工
取材 2018/05/23
掲載先 リーダーシップ2018/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki205.html

 ←工場内の作業風景
 【130819】「ありがとう」と言われたら「しまった」と思え   


■介護は人に喜んでもらう仕事だから、ヘルパーも看護師も、誰しも「ありがとう」という言葉を期待しがちだ。しかし、福祉の里の矢吹孝雄社長は「『ありがとう』と言われたら『しまった』と言われたら思え」という。

■介護される人は、介護者にヘソを曲げられたら次に期待する介護をしてもらえないと思うから、多少不満があっても「ありがとう」という。そのことをいつも念頭に置いて、「ありがとう」と言われたら、自分の仕事が本当にその「ありがとう」にふさわしいものかどうかを振り返れ、逆にクレームを聞いたら、改善のチャンスだと思って「しめた」と思えという。

■目標を高く持ってこそ仕事の価値を高めていける。低いレベルにとどまって満足してしまうことを戒めたのである。

取材先 福祉の里
取材 2018/07/1
掲載先 リーダーシップ2018/09
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki207.html

 ←入浴サービスのイメージ
 
【130820】「天使の仕事」を目標にする    


■美容室「バグジー」の従業員の多くはやがて独立開業することをめざしており、そのときにためにどのようにして顧客満足を高め、お客様の支持を集めるか、みんな真剣に考えている。

■あるとき、1人の社員がダウン症の娘さんに来店のお礼のハガキを書いた。「ご来店ありがとうございました。その後いかがお過ごしですか。またのご来店をお待ちしております」という意味のことを平仮名で書いた。

■それがその娘さんに大きな感激を与えた。「妹がいつも携帯をいじっていることを、あの子はうらやましいと思っていた。そんなとき自分に読める文字でハガキをくれる人がいた。そのことがすごく嬉しかったらしい」と娘さんのお母さんが知人に語り、その人を介して「バグジー」の久保華図八社長が知った。

■「これはまさに『天使の仕事』だ。こんな仕事を目標にしていこう」と久保さんは社員に紹介し、以来、みんなが「天使の仕事」を目指した。その後の事例として次のようなものがある。
@目の見えないお客様のために点字を勉強し、点字で手紙を書き、それがきっかけでその人のウェディング美容まで引き受けることになった。
A母子家庭で女手ひとつで育てられた娘さんの高校受験のために、太宰府天満宮の合格祈願のお札をもらってきてあげて喜ばれ、母娘ともども「バグジー」のファンになってもらった。
B雨降りの日にお客様の履物を乾かしてあげて喜ばれた。

取材先 九州壹組
取材 2019/01/10
掲載先 リーダーシップ2019/03
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki213.html  

 ←接客風景
 
【130821】靴と一緒に「まごころ」を届ける     


■介護シューズ「あゆみシリーズ」の開発のために高齢者施設を調査していたとき、徳武産業の十河孝男社長と夫人のヒロ子副社長は、施設の高齢者を家族が訪ねてきて、その家族が帰っていくとき、高齢たちが寂しそうにしているのを何度かみかけたことがあった。

■施設の高齢者はみんな苦しさや寂しさを抱えているのだと思った。それに寄り添っていきたいと介護シューズ「あゆみシリーズ」の買い求めたお客様には、「まごころのハガキ」と「お誕生日プレゼント」を贈ることにした。

■「まごころのハガキ」はアンケート用紙とともに商品に同封するもので「お客様とのご縁に感謝し、お客様が『あゆみシリーズ』と過ごす時間が素敵なものでありますように…」と社員が11枚手書きしている。

■また、同封アンケートに回答すると、そこに記載された誕生日に「お誕生日おめでとうございます」という手書きのカードと、お菓子、乾麺、日用品などのプレゼントが送られてくる。

取材先 徳武産業
取材 2019/02/08
掲載先 リーダーシップ2019/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki214.html

 ←介護シューズ「あゆみ」
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