■授乳服を企画販売するモーハウス社長の光畑由佳さんは、18年前、電車の中である体験をした。まだ小さかった娘がおっぱいを欲しがって泣き出し、周囲の視線を感じながら、光畑さんはやむなく授乳を決行した。
■「こんなことでは出産した女性は外出もできない」その思いから胸の部分を開けられる授乳服をつくった。さらに、それを販売する会社を立ち上げ、子連れのお母さんたちを雇い入れた。子供がハイハイできるように事務所は靴を脱いで上がる構造にし、仕事中でも子供が求めれば、授乳し、オムツを変え、添い寝して寝かしつけてもよいこととした。
■そのことがメディアで取り上げられて、授乳服は少しずつ売れ始めた。女性の社会進出が言われる中で、育児休暇制度や保育園増設などハード面の整備ばかりが言われる。しかし、考えてみると、昔のお母さんたちは乳飲み子を籠の中で寝かせながら、みんなでそれを見守りながら農作業をしていたのだ。
■現代社会は職場に子供を連れていけないと決めつけているが、経営者も従業員も、お客さまも、みんながほんの少しずつ意識を変えれば、できないわけではない。授乳服を利用した子連れ出勤が女性の社会進出につながると、光畑さんは強く訴えている。
●本文 → mo-house.pdf
●モーハウスのURL → http://mo-house.net/
●掲載先 → リーダーシップ 2015年12月号
(発行元・日本監督士協会のURL http://www.kantokushi.or.jp/ )
■モーハウス代表・光畑由佳さんからのコメント(2016/10/29)
昨月まで取り組んでいたクラウドファンディング達成をご報告申し上げます。これまで以上に、受け入れられることが難しい経験でした。もとより、資金も何もない中、独力で始めたモーハウス。そもそもが、クラウドファンディングで取り組めば良いようなお金になりづらい活動をしてきているので、テーマには迷いました。「授乳服が買えない母子にお贈りするプロジェクトはどうか」「いやいや授乳服の価格はおよそ粉ミルク1カ月分。線引きが難しい」あれこれ考えた末、「子ども用の授乳服」というアイディアが。スタッフの声で出てきたこの案をいったんは却下した私。ですが、おままごとで使うのは、ほ乳瓶のおもちゃ一択だなあ、と問題提議のためのクラウドファンディングに挑戦することに。しかし、予想以上にプロジェクトは難航。ほとんど支援が得られない状況が続きました。「むしろ、小さい頃からミルクでいいと教えるべきでしょ」といった声まであり、もう取り下げようか、と、悩む日々でした。でも、この状況は、授乳服のことをお伝えするときに、時に受ける反応ととても似ている、と気づきました。「達成できなくても学べることはある」と、継続を決めました。そして…何人かの方々が支援して下さりはじめ、yahooニュースでも取り上げられ、最終日の2日前に、なんと予定を超える額での達成となりました。ご報告のページがようやくできました。お力添えに心から感謝いたします。よろしかったら、シェアをお願いできましたら幸いです。
https://goo.gl/dxwFck
■モーハウス代表・光畑由佳さんからのコメント(2017/01/05)
今年はモーハウスを始めて20年目。この間、世の中も変わりました。連日、新聞や雑誌でも、女性・母親というキーワードが飛び交い、一方で、出生数はついに100万人を割りました。そんな中、長く活動を続けてきたからこそ、今年は原点に立ち戻り、本当の意味で「子育てと社会をつなぐ」授乳服を多くの方にお届けできるよう活動をしていきたいと思います。昨年は、APECへの2度目の参加、子連れ出勤への関心の高まり、茨城大学特命教授任命をはじめ、多くの大学で講義の機会をいただくなどさまざまな情報発信の機会をいただきました。また、産前産後ケアの一環として、自治体や企業から、モーブラや授乳服のプレゼントをいただく取組みも始まりました。「安心」というキーワードで、子育ての大変さは変えられると感じています。ご一緒に活動して下さる方、ぜひお声掛けいただければと思います。母になっても、年を重ねても、女性はさらに美しく羽ばたくことができる。そんな社会に向けて、さらに一歩を踏み出し、力を尽くしていきたいと思います。
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