改善の事典  》 第14章 社会  》 就労困難者の雇用を創出する
 
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社会‐1404c 就労困難者の雇用を創出する BACK


 このページの掲載事例→                   ●1404c01 引きこもりの子供たちを預かる  
 ●1404c02 就労困難者雇用を社会的責任と位置付ける
 ●1404c03 障害者雇用でウエスをリサイクルする 
 ●1404c04 知的障害者を雇用する  
 ●1404c05 ホームレスを雇用する  
 ●1404c06 外国人難民を雇用する 
 ●1404c07 知的障害者の一生懸命な仕事ぶりを発信する
 ●1404c08 オリジナル商品に「マツボックリ3兄弟お仕事シール」を貼る
 ●1404c09 精神障害者に安心して働ける仕事を提供する
 ●1404c10 障害者のためのビジネススクールを開講する
 ●1404c11 非行少年少女たちに働く場を提供する
 ●1404c12 子連れ出勤で女性の社会進出を促す
 ●1404c13 被災した村人に仕事を提供するために堤防を築く
 ●1404c14 視覚障がい者の手で無線機部品を製造する
 ●1404c15 障害者たちが農業・製造・販売の現場で働けるようにする
 
【1404c01】 引きこもりの子供たちを預かる  


■滋賀県犬上郡豊郷町でガソリンスタンドを展開する油藤商事の青山裕史専務は、ある中学校の先生から頼まれて、不登校で社会への適応が難しい子供を預かっている。

■ガソリンスタンドは、朝は早く、夏は暑く、冬は寒く、その中で油まみれになりながら働く3K職場であり、お客さまには「ありがとうございました」と頭を下げ、最も基本的な接客応対が要求される。それが不登校で引き籠ってしまった子供たちに社会性を身につけさせ、社会で生きていく自信を植えつけえる。

■現在預かっている子は4人目。それまでの子供には「お前、ウチの社員にならんか?」というと「いや、ちゃんと高校を出て大学へ行きたい」と言い、「そうか。それやったら行け、応援したるわ」と送り出したという。

■そうした子供たちを見守りながら一緒に仕事をしていることで、他の従業員たちは、間違いなくやさしくなり、責任感と勤労意欲が間違いなく高まっているという。 

取材先 油藤商事
取材 2013/04/18
掲載 リーダーシップ2013/06
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki146.html

 


ガソリンスタンド全景(上)と給油作業
 
【1404c02】就労困難者雇用を社会的責任と位置付ける  

■渡邉幸義さんは、2000年に、システム関連事業請負、ITエンジニア派遣、IT教育受託を目的とする会社、「アイエスエフネット」を立ち上げた。

■即戦力となるITエンジニアを雇い入れるために、経験者に限定して採用面接を行ったが、期待したほどの人数が集まらず、さらに応募者の態度に問題があると感じ、やむなく未経験者の募集に切り変えた。

■未経験者だから、履歴書にはこだわらず、じっくり人物を観察すると、応募者は、素直で、謙虚で、やる気にあふれた人が多かった。採用後に、それまで何をしていたのかを聞くと、家で引き籠っていたとか、フリーターだったとか、発達障害があるという人もいた。

■こんなに素直でいい人が、これまで世の中で認められてこなかった。よし、俺がこの人たちを世の中の役に立つ人材に育てていこう…と渡邉さんは決心した。

■未経験者にITエンジニアの資格を取らせるのに1人50万円かかる。それだけの資金がなかった。そこで、資格取得の暁には、彼らを派遣することで得られる1年間の収益の半分を支払うという条件で教育を引き受けてくれる教育機関を探し出し、彼らに資格を取得させ、ようやく事業が軌道に乗った。

■以来、アイエスエフネットでは、@ニート、フリーター、AFDM(Future Dream Member。未来の夢を実現するメンバーの意味で、障害者をこう呼んでいる)、Bワーキングプア、C引きこもり、Dシニア…同社ではこれらを「5大採用」と呼び、採用に当たって、そのことを理由に不合格にしないと決めている。

■その後、さらに、障害者手帳を保持していない軽度障害者、DV被害者、難民…などに範囲を広げ、それら就労困難者に積極的に受け入れることを自社の社会的責任と位置づけて、そのことを内外に宣言している。現在2700人の社員のうち、それらに該当する就労困難者は1000人に上る。

取材先 アイエスエフネット
取材 2013/07/24
掲載 リーダーシップ2013/09
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki148.html

 


障害を持った社員の就労風景(上)と
清掃ボランティア活動
 
【1404c03】 障害者雇用でウエスをリサイクルする  


■工場の機械油を拭き取るウエスは、以前は綿の古着が使い捨てされていたが、1996年、ISO14001の環境マネジメントシステム認証制度が始まってから、ウエスは回収され、汚れを洗い落として再利用されるようになった。

■日本ウエストン(岐阜市)はこのウエスのレンタル事業を展開しており、ウエスの回収→洗浄→選別→出荷の工程で、身体障害、知的障害、精神障害など、様々な障害を持った人たちを雇用している。

■はじまりは精神病院の医師から依頼され、退院した患者を受け入れたことだった。その後、同社創業者の臼井清三氏が立ち上げた障害者の施設、社会福祉法人清穂会の障害者たちを受け入れることで、同社は十分な労働力を確保している。

■同社に発注することは、ウエスのリサイクルを通じて地球環境の保全し、社会的弱者の社会参加推進(ノーマライゼーション)への貢献につながると、同社はPRしている。

取材先 日本ウエストン
取材 2014/11/27
掲載 リーダーシップ2015/01
探訪記
 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki164.html

 


ウエスと手袋の分別作業(上)と
ウエスと手袋の洗浄機
 
 【1404c04】 知的障害者を雇用する   


■公共施設の清掃作業を受託している美交工業の福田久美子専務は、知的障害者の支援団体から勧められたのを機に2003年から知的障害者を受け入れ、次のような条件整備を進めて、徐々に受け入れ人数を増やしていった。

@現場責任者に障害者ケアの講習を受けさせて、専任支援者に任命した。

A各現場で月1回支援会議を開催。知的障害者支援団体スタッフにも参加してもらって障害者の勤務の様子を確認。こんなときどうしたらよいかという専任支援者の相談に応じている。

B人が多いところは苦手…など、障害者の特性に配慮し、1人ひとりの得手・不得手を見極め、仕事の分担や組み合わせを工夫して、障害者から1人分の仕事量を引き出す条件を探った。

Cマニュアルに絵や写真を入れて障害者にも理解しやすくした。

取材先 美交工業
取材 2015/06/05
掲載 リーダーシップ2015/08
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki170.html

 
大阪市庁舎の清掃作業
 
【1404c05】 ホームレスを雇用する  


■美交工業は、知的障害者に続いてホームレスの雇用も始めた。同社は大阪市内の小規模公園の清掃も受託しているが、そこでボームレスが野宿していて、彼らから使い古しの箒を譲ってほしいと言われたことがあった。そのとき、ホームレスたちが公園をきれいにしようとしているのだったら、彼らを雇い入れて賃金を払えば、ホームレス状態から脱出させる手伝いができる…と福田久美子専務が考えたのが最初だった。

■ホームレス支援団体とコンタクトを取り、支援団体から声をかけてもらい、採用面接にも立ち会ってもらって、働く意思があるというホームレスたち採用した。

■賃金は月給制だが、彼らはほとんど現金を持っていなかった。そこで、18000円の日当のうち一部を現金で支払い、残りを所定の月給日に支払うことにした。また、自分で銀行口座を開設できない人が多いので、賃金の一部を社内預金し、敷金を貯めてアパートに入居することを勧めている。

■1日中草刈りして、汗をかき、その後、浴びるほどビールや酒を飲んで、野宿し、体中から悪臭を発散させている人がいた。それを直接注意すべきかどうか社内で議論があったが、支援団体とも相談して、「周りが我慢することはない。きちんと風呂に入るよう、はっきり要求すべきだ」ということになった。以来、はっきりと入浴を要求するようになって、悪臭を発する人はいなくなった。

■こうして、多くの人がホームレス生活からの脱出を果たし、その後、他の公園の指定管理者とも連携し、総勢500人のホームレスたちに就労体験への参加を呼びかけ、その多くが就職して、公園のホームレスを減らすことにつながった。

取材先 美交工業
取材 2015/06/05
掲載 リーダーシップ2015/08
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki170.html

 
久宝寺緑地「心字池」の清掃活動
 
【1404c06】 外国人難民を雇用する   


■鋳造業、栄鋳造所(東京都八王子市)は従業員29人のうち6人が外国人である。2007年に3人のインドネシア人を研修生として受け入れたのが最初だった。3人は3年でようやく日本語を話せるようになり技術も身についたが、研修期間が満了して帰国。その後のフォローでその技術を役立てている者が1人もいないことがわかった。

■そこで、2010年以降、難民または難民申請中の外国を雇用することに切り替えた。難民認定申請中の外国人は、その結果が出るまで「特定活動」という在留資格が与えられ、就労が可能になるが、難民申請の結果が出るまで6カ月ごとに特定活動の更新を行わねばならず、その間「医職住」について国からの支援はなく自身の力で生活を支えていかねばならないから、それだけに彼らの働きは真剣そのものである。

■これまでにミャンマー人、イラク人、シリア人、カメルーン人を雇用しており、最近は海外の大学からのインターンシップの学生も受け入れ、社員とともに実務経験を積んでもらっている。彼らの中には母国語のほかに数ヵ国後を話せる人もいて、同社が海外戦略を展開する中、世界中からの鋳造の依頼に対応するのに役立っている。

取材先 栄鋳造所
取材 2016/02/09
掲載 リーダーシップ2016/04
探訪記  http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki178.html 

 


栄鋳造所の外観(上)と鋳造作業
 
【1404c07】 知的障害者の一生懸命な働きぶりを発信する    


1959年、チョークのメーカー、日本理科学工業の大山康弘社長は養護学校の先生から依頼されて、知的障害を持った生徒2人の就業体験を受け入れた。2人は目を見張るほどの一生懸命さで働き、一緒に働いていた従業員の進言もあって採用を決めた。大山氏は当初2人の一生懸命さの理由を理解できなかったが、ある僧侶の「人の究極の幸せは、愛されること、褒められること、人の役に立つこと、人から必要とされることである」という言葉で、はじめて

合点がいき、以後、毎年養護学校の卒業生を受け入れるようになった。

■その後、知的障害者たちの働きぶりを外に向けて積極的に発信してきた。それによって世間の注目を浴び、多くの人々が障害者たちの一生懸命さに打たれ、支援を申し出る人が次々現れた。北海道美唄市からは工場誘致の誘いがあり、それが縁で北海道立工業試験場の協力を得て、産業廃棄物だった帆立の貝殻の炭酸カルシウムをチョークに利用する技術を開発した。障害者多数雇用モデル工場融資制度を利用した本社工場建設の計画を立てたとき、金融機関の保証が必要だったが、取引のあった信用金庫から保証を断られ途方に暮れたが、同社の知的障害者雇用を知った都市銀行が保証を引き受けてくれた。また、需要の低迷するチョークに代わる新製品「キットパス」(パラフィンを使ったクレヨンのような筆記具)は、川崎市の助言で産学連携の助成金制度を利用し、早稲田大学の協力を得て開発されたものである。

■大山隆久現社長は、当初、障害者を中心とした会社運営はあえて重い荷を背負っているような気がして、会社を強くするには健常者を中心とした体制にすべきではないかと思っていた。しかし、今はこの会社が受けてきたさまざまな幸運はすべて、障害者たちの一生懸命な働きがもたらしたものだと思うようになった。この会社から障害者雇用を取り去ったら何も残らない。この障害者たちの働きぶりをもっともっと知ってもらうことこそ、自分たちの使命だと考えているという。 

取材先 日本理化学工業
取材 2016/12/07
掲載 リーダーシップ2017/02

探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki188.html 

 


チョーク工場の梱包工場(上)と
新製品の「キットパス」
 
 【1404c08】 オリジナル商品に「マツボックリ3兄弟お仕事シール」を貼る  


■スズキ機工は、オリジナル商品「ベルハンマー」の容器にバーコードと免責シールを貼る仕事を障害者施設に発注しているが、その仕事をしてもらったことの証としてさらに「マツボックリ3兄弟お仕事シール」という3枚目のシールを貼ってもらっており、このシール1枚について30円を支払っている。

■障害者たちが受け取る加工賃は、当初月に20003000円に過ぎなかったが、これにより3〜4万円にまで改善した。

■「マツボックリ3兄弟お仕事シール」によって「ベルハンマー」を購入した人たちは間接的に障害者たちを支援することになり、スズキ機工は企業イメージを高めることになる。その対価が障害者施設に支払う30円であり、2017年度、その総額は460万円に上った。

■中小企業にとって利益の中から460万円を寄付するのはかなり厳しいが、シールを張ることで、売り上げが伸びれば伸びるほど寄付が増えるという形なら、乗りやすいと感じてくれる中小企業は多いのではないか、社長の鈴木豊さんはそう言って、このプロジェクトへの賛同者を募っている。

取材先 スズキ機工
取材 2018/05/23
掲載先 リーダーシップ2018/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki205.html 

 


「マツボックリ3兄弟お仕事シール」(上)と貼付作業
 
 【1404c09】 精神障害者に安心して働ける仕事を提供する   


■野ウサギには身を隠す草むらが必要である。1997年に結成された精神障害者の家族会「多摩くさむらの会」は、精神障害者にも、それと同様に、それぞれが安心して働ける仕事の草むらを与えることをめざしてきた。

■そのために、家族会の支援で、精神障害者たちが参加して、公園清掃、バザー、イベント会場での水餃子販売を始めた。家族は無償奉仕。精神障害者たちにはわずかだが報酬を支払った。

■集まった資金で、2000年には東京都の半額補助で障害者グループホームを開設。2002年には多摩市の補助を受けて同市内に寒天茶房の店を出店。メニューや調理方法を工夫し、店内での文化人トークショーを開催し、メディアに発信して集客。地域での認知度を高め、2004年にはNPO法人「多摩くさむらの会」として認定された。

2006年に施行された障害者自立支援法によって障害者が市域を超えて通所先を選べるようになったことで、多くの精神障碍者が市域を超えて「多摩くさむらの会」に登録を申し込み、これにより行政からの給付金が飛躍的に増大し、事業を拡大した。

■現在は、レストラン、和菓子製造販売、総菜・弁当製造販売、公園清掃、農園、パソコン教室、インテリア小物製作販売…などの事業を展開。多くの精神障害者が自分たちのやりたい仕事を選んで自分たちのペースで働いている。

取材先 多摩くさむらの会
取材 2018/11/19
掲載先 リーダーシップ2019/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki211.html 

 


農園夢畑の大根洗い作業(上)と
パソコン教室夢像でのパソコン作業
 
 【1404c10】 障害者のためのビジネススクールを開講する  


■杉本大祐さんは、かつて人材ビジネスの会社で障害者の人材紹介事業に携わっていた。リーマンショックで企業が採用を手控え、勤め先の業績が悪化した時にそこを離れて独立。部下2人とともに()D&Iを設立し、新宿の小さなオフィスで「BABスクール」という障碍者のためのビジネススクールを開校した。

■ビジネスマナー、パソコン講座、コミュニケーション,マーケティング、自己実現…など、障害者が就職しようと思ったときに必要となる知識・技能・マナーを教えるもので、1回の参加者は67人。3人は営業活動の合間に交代で講師をつとめた。

■障害者やその家族と接するうちに、もっと小さいころから対人関係能力や社会性を育てることが大切だと思うようになり、障害を持った小中学生を対象とした「情熱・テラコヤ塾」、児童福祉法に基づく「放課後デイサービス・テラコヤキッズ」、中高生向け職業体験カリキュラム「テラジョブ」などを開講した。

■現在はこれらと並行して、障害者のための雇用創出事業として、障害者専用の求人サイト「BABナビ」、休職中の障害者と障害者を採用しようとする企業を一堂に集めた合同就職・転職イベント「BABカンファレンス」、障害者の定着支援事業「ワクサポ」、障害者たちが自宅で行うテレワークを支援するシステム「エンカク」などを展開している。

取材先 D&I
取材 2019/10/16
掲載先 リーダーシップ2019/12
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki222.html

 
テラコヤキッズ
 
 【1404c11】 非行少年少女たちに働く場を提供する   


■北九州市のガソリンスタンド、野口石油では、33人の従業員のうち17人に非行歴があり、これまでに雇用した非行少年少女は25年間で150人以上に上る。

■犯罪や非行で保護観察処分となった少年少女が再び罪を犯す例が少なくない。そして再犯者の多くは無職者である。仕事がなく住むところがないから再び罪を犯す。このことから、彼等に就労機会を提供することが何よりの再犯防止策といわれ、こうした事情を理解したうえで彼らを雇用する事業主が求められている。

■野口義弘社長は、少年時代に食べるものにもこと欠くほどの貧困に陥ったとき、地域の人たちに助けられた経験があり、その恩と愛情にお返しをしたいという思いから、非行少年少女の雇用を始めたという。

取材先 野口石油
取材 2020/03/03
掲載先 リーダーシップ2020/05
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki227.html

 


野口社長と従業員たち(上)と片野給油所外観
 
  【1404c12】 子連れ出勤で女性の社会進出を促す   
 

■電車の中で子供がおっぱいを欲しがり、人目をはばかりながら授乳したことがきっかけで、光畑由佳さんは着たまま授乳できる授乳服を工夫し、それを製造販売するモーハウスという会社を起こした。この会社の縫製や事務のスタッフとして子育て中のお母さんたちに子連れで出勤してもらっている。
・勤務は1日4〜6時間で週1〜2日。
・授乳服を着用し、赤ちゃんが求めるといつでも授乳、おむつ交換、添い寝してよく、そのために部屋の隅にベビー布団を敷いている。
・赤ちゃんが指を入れないようにシュレッダーは高いところに置き、引き出しにはベビーガードロックを取り付けている。
・百貨店で販売を担当するスタッフのために、赤ちゃんを抱いたまま接客すること、赤ちゃんを寝かしつけるために売り場にベビーカーを持ち込むことについて百貨店との間で了解を取り付けている。

■授乳服販売を通じて女性の社会進出を応援するために、次のような活動を行っている。
・自社の子連れ出勤の様子をメディアに発信。さらに東京青山通りへ出店し、メディアへの発信を強化した。
・助産婦グループのイベントで授乳服による授乳ショーを実施
・子育てに不安を感じる若いお母さんのサロンを光畑さんの自宅で開催

取材先 モーハウス
取材 2015/09/29
掲載 リーダーシップ2015/12

探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki174.html  

 


子連れ出勤(上)とママまつり授乳ショー
 
  【1404c13】 被災した村人に仕事を提供するために堤防を築く   


■安政南海津波(1854、安政01)のとき、濱口梧陵翁は稲むらに火をつけて村人を八幡神社に避難させ、村人たちは難を逃れた。しかし、家、田畑、舟と漁具を失った村人たちはには生きるすべがなかった。

■彼らに仕事を提供するために、梧陵翁は紀州藩の許可を得て、海岸に高さ5m、根幅20m、長さ600mの新たな堤防を築いた。工事に必要な人数は1日に400500人、延べ5万6000人。家と仕事を失った村人たちがその仕事に従事した。

■梧陵翁が負担したその日当の原資は、ヤマサ醤油が7代にわたって築いた資産から出ていた。

■この堤防は90年後の1946(昭和21)年の南海地震による津波防災に大きな威力を発揮したという。

取材先 稲むらの火の館
取材 2022/03/02
掲載先 リーダーシップ2022/04

探訪記 http://souisha.com/tanbouki/tanbouki249.html 

 
広村堤防
 
  【1404c14】 視覚障がい者の手で無線機部品を製造する   

■シャープ創業者の早川徳次翁は子供の頃、養子に出され、過酷な少年時代を送った。その頃の徳次少年を何かと気遣ってくれた「おせい」という盲目の女性がいた。

■関東大震災以来消息が分からなくなり、そのことがずっと気がかりだったが、あるとき、大阪盲人協会から電気の話と実演を依頼され、それを引き受けたことがきっかけとなって盲人協会の礼拝所の中に工場をつくり、視力障がい者たちの手で無線機の部品の製造を始めた。

■この工場は1950(昭和25)年に法人化して「特選金属工業」という会社となり、現在は「シャープ特選工業」という名前で、様々な障がいを持つ人たちによって運営されている。

取材協力:シャープミュージアム

取材:2022/04/27

探訪記:http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki250.html
 
早川特選金属工業の作業風景
 
 【1404c15】 障害者たちが農業・製造・販売の現場で働けるようにする   


■障害を持ったこどもたちは、自治体の支援を得て、放課後デイザービス事業所で、スタッフの世話を受けながら遊んだり学習したりして過ごすが、18歳以上になると一般の事業所で働くことになる。

■しかし、1人月5万円の納付金を支払うこと障害者雇用を免れる企業が少なくなく、そんな中で障害者たちに働く場を確保するために、ネットアーツの齋藤秀一社長は、「障害者福祉事業者向け施設運営管理システム=HUG(ハグ)」の売上の一部を投じて犬山市に2万6000坪の農地を確保した。

■ココトモファームと名付けられたこの農地で米を栽培するのと並行して、米から米粉をつくり、米粉からバウムクーヘンを作って販売する15店舗を運営。農業のほか、製造業と商業の要素を持つ多彩な職場の中で、様々な障害のある障害者たちが、健常者と一緒になって働いている。

取材 ココトモファーム 2023/09/12
掲載先 リーダーシップ 2023/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki260.html


 

ココトモファームの農場と店舗
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