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ネット版 改善改革探訪記 bP48 BACK

障害者と就労困難者の能力を生かす

 アイエスエフネット探訪記


障害者、精神疾患、ニート、引きこもり、DV被害者、ホームレス…などの事情を抱えた人にとって、安定した働き口をみつけるのは非常に難しい。そんな中、IT企業のアイエスエフネット(東京都港区)は、こうした就労困難者雇用を社会的責任と位置づけ、積極的に雇用している。約2700人の社員のうちおよそ1000人がこうした就労困難者である。

きっかけは起業後の最初の採用面接で、経験者の中に適当な人が見つからず、やむなく未経験者を募集したところ、素直で、謙虚で、やる気がある人の中にニートや発達障害の人たちが含まれていたことだった。

自分の立ち位置と目指す目標との間に大きなギャップのあるほど、人は謙虚になり、必死になって頑張る。このことに気づいてから、同社は、障がい者や就労困難者から能力を引き出すことを、自社の社会的責任として取り組むようになった。

成功の要因は、ハンディを持った人を全員で支える体制を敷いたことである。「利他の心」を説き、自分たちの仕事の中から、書類のコピーや資料の作成などノンコア業務を切り出し、就労困難者たちに提供する。就労困難者たちはそれらをこなしつつ資格取得に挑戦する。ハンディを克服した人はやがて自分の仕事を切り出す側に回っていく。

ノンコア業務を切り出すことで、自分の手元には生産性の高いコア業務だけが残る。みんながこのサイクルを回し続け、スパイラルアップすることで、同社は成長し続けている。

●本文 → isfnet.pdf

●アイエスエフネットのURL → https://www.isfnet.co.jp/index.html

掲載先 → リーダーシップ2013年9月号
(発行元・日本監督士協会のURL:http://www.kantokushi.or.jp/


■「お母さん、障がいに子供を応援しますよ」 (渡邉幸義著、学研パブリッシング刊)を読んで(2013/11/05

●就職すればふつう親から離れて自立する。しかし、障がいをもった子供の場合は、なかなかそうはいかない。多くの場合、彼らは養護学校で学び、卒業すると授産施設で働く。そこでは単純労働に対してわずかばかりの報酬が出るが、施設使用料、給食費、送迎費など、それを上回る費用が必要で、お母さんたちはそれを工面し続けなければならない。社会は障がい者の生き方に枠をはめることで管理しやすい状態を作り出そうとする。しかし、それによってかえって彼らの可能性を封じ込め、コスト高を招いているのではないか。
●筆者の渡邉幸義アイエスエフネット社長は、ふとしたきっかけで、障がい者たちが素晴らしい能力をもっていることを知り、それをうまく引き出せば授産施設よりもはるかに高い賃金を支払うことができ、企業として採算も取れ、何よりも障がい者たちの自立に役立てられると気づいたという。
●1人ひとりのなかにどんな才能が隠れていて、それがどんな仕事に適しているかを見つけ出すには、お母さんたちの自律支援への熱意と子育てを通じて得られた観察と知恵が不可欠で、そのために筆者は、ずっとそのお母さんたちとの対話を繰り返してきた。その中で高度なIT技術者、芸術的センスにあふれたネットデザイナー、最高のコーヒーを淹れるバリスタなどが誕生している。
●企業はボランティアではない。理想の「理」と利益の「利」の2つの「り」のバランスが必要だと筆者はいう。その厳しさに裏打ちされていたからこそ、障がい者たちの本当の可能性を発見できたのかもしれない。


 

■創知研究所・中野勝征さんのコメント(2013/09/02)
立派な社長です。弱者(?)に対する思い入れは社長の心入れから来るものですね。スポーツ精神が真髄に活かされています。こんな立派な哲学を持っている経営者が多くなると、差別を受けている人も明るい未来がおとずれます。この会社の発展を祈るばかりです。


FDM(Future Dream Member。未来の夢を実現するメンバーの意味で、アイエスエフネットでは障がい者をこう呼ぶ)たちの執務風景写真クリックで本文表示。


「絵で見る創意くふう事典」の関連事例

●同じところにとどまらず、どこまでも上をめざす→http://www.souisha.com/jirei12/1205.html#11

●就労困難雇用を社会的責任と位置付ける
http://www.souisha.com/jirei14/1406.html#02