改善の事典  》 第12章 組織  》 人材を確保する
 
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組織‐1212a 人材を確保する BACK

 このページの掲載事例→              ●1212a01 仕事のイメージを体感させる  
●1212a02 潜在看護師を掘り起こす 
●1212a03 人を集めやすい地域へ工場を移す
●1212a04 理念に共感してくれる人を採用する
●1212a05 正社員を採用する
●1212a06 有能な人材を集めて自動車事業を立ち上げる 
 
【1212a01】仕事のイメージを体感させる  


■自動車ディーラー、ネッツトヨタ南国の新卒者採用面接で、学生たちは業界や応募職種について一応の知識を持っているが、実際に働くということの具体的なイメージを持っていない場合が多かった。

■そこで、何度でも会社訪問に来てもらい、先輩たちの働く様子、仲間とのコミュニケーションやパートナーシップを見て貰うことにした。

■さらに、地元大学でビジネス講座を開講、小学生から大学生までを対象としたインターンシップを実施して、仕事を体感しながら、価値ある働き方を考えてもらう機会をつくっている。



取材先 ネッツトヨタ南国
取材 2005/11/08
掲載先 ポジティブ 2006/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki004.html


 ネッツトヨタ南国のショールーム
 
【1212a02】潜在看護師を掘り起こす   

■看護師の配置基準が変わり、益田地域医療センター医師会病院看護師不足が深刻化した。

■看護部の管理職で編成するQCサークルは、看護師資格を持ちながら家庭に入っていた潜在看護師の発掘をテーマにした活動を行った。

■自分たちで求人チラシを作成。全職員400人に呼びかけて、それを1015枚ずつ自宅周辺ずつ配布してもらい、その結果、2人の採用に成功した。

■この活動は病院の求人活動への協力意識を生み、その後も職員のクチコミによる人材紹介が続いている。



取材先 益田地域医療センター医師会病院
取材  2012/04/18
掲載先  リーダーシップ 2012/06
探訪記
 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki131.htm

 
益田地域医療センター医師会病院の全景
 
 【1212a03】人を集めやすい地域へ工場を移す   


■東海バネ工業の工場は阪神工業地帯の中心部にあった。周囲には大手企業がひしめき、優秀な人材はそれらの大手企業が根こそぎ持っていって、人材の確保はいつも難しいテーマだった。

■そこで、もっと人を集めやすいところに工場を移そうと決め、2013年、日本海側の豊岡に工場を移転した。

■若者の多くが仕事を求めて都会に出ていた過疎地では、同社の工場進出は大いに歓迎された。

■工場の従業員は現在51人。当初は伊丹からの転勤者が多かったが、現在はほとんどが豊岡出身者で占められている。

取材先 東海バネ工業
取材 2017/09/25
掲載先 リーダーシップ 2017/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki197.html

 
豊岡神美台工場の外観
 
 【1212a04】理念に共感してくれる人を採用する   

■谷口工務店の売上が年間5億円を超えたとき、協力事業者だけでは仕事が回らなくなり、人を採用することにした。

家づくりに使命感やプライドを持ってもらえる人を期待したが、仕事に十分に気持ちを傾けているとは思えない人ばかりで、ほとんどが長く続かなかった。

■純粋な気持ちでそう思ってもらえるのは新卒だろう…と考えて、新卒採用に取り組み、就職フェアに参加したが、谷口工務店のブースに立ち寄ってくれる学生はほとんどなく、何度も屈辱感を味わった。

■日々の活動を通じてお客様満足度を高め、地域貢献活動などを通じて会社が知られるようになって、「みんながよろこぶ家づくり」という理念共感してくれる学生が、少しずつ入ってきてくれるようになった。

■大工として入った者も、設計士として入った者も、みんなでお客様に向き合い、お客様に喜んでもらえる質の高い家づくりの技術を高めることをめざしている。

取材先 谷口工務店
取材 2020/12/07
掲載先 リーダーシップ 2021/02
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki236.html

 
谷口工務店本社
 【1212a05】正社員を採用する     

■クロスカンパニーの石川康晴社長は、最初にオープンした店が1人では手が回らなくなり、人を雇おうとしたとき、アルバイトを雇うか、正社員を雇うか、迷った。

■業績は変動する。底辺で持ちこたえられる人数だけ正社員とし、それ以上の余裕の部分はいつでも解雇できる非正規社員にしておくのが常識だろう。

■しかし、ファッションは、スーパーやコンビニとは違うと考えた。

■POPを吊り、商品説明の録音を流し、レジに立って待っていれば自然に売れていくという商いではない。単価も違うし、流行のスピードも、求められるコーディネート技術も違う。

■それを売るには、商品に惚れ込み、十分な商品知識を身につけ、お客様に全神経を集中して、商品の価値、店の価値、自分自身の価値を伝える売り方が求められる。

■雇い入れた人に石川さん自身と同じような売り方をしてもらうには、雇用を保障し、社会保険にも加入して、じっくり取り組んでもらえる条件を整えなければならない。

■以来、すべて正社員として採用してきた。人を大きな可能性を持った資源と見、安心して働いてもらえる条件を整え、経営者の思いを伝え、きちんきちんと教育していくことで、人はその人が持つすべての力を発揮してくれるようになる。その可能性に賭け、教育投資を惜しまなかったことが、今日につながっていると、石川さんは考えている。



取材先 クロスカンパニー
取材 2008/04/30
掲載先 ポジティブ 2008/0
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki066.html

 
クロスカンパニーの店舗
 
【1212a06】有能な人材を集めて自動車事業を立ち上げる    


■豊田喜一郎翁が自動車事業を立ち上げたとき、最初に佐吉の時代に確執のあった豊田式織機(株)から菅隆俊(かんたかとし)を説得して豊田自動織機製作所に引き抜いて自動車部の責任者に据えた。この当時、名古屋の複数の機械メーカーが「中京デトロイト計画」を立ち上げ、「アツタ号」という自動車を作り上げたが、菅はそのエンジンの開発責任者だった。

■また、日本ゼネラルモータースの販売広告部長だった神谷正太郎を引き抜いて販売部門の責任者とした。神谷は、後に全国にトヨタ自動車の販売網を作り上げた人物である。

喜一郎翁はそのほかにも社内外から多くの有能な多くの人材を集め、課題と権限を与えて次々と事業を立ち上げていった。 

参考文献 木本正次、影丸譲也著「劇画・トヨタ喜一郎」(講談社1994P69

掲載先 リーダーシップ2022/02

探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki247.html
 
自動車事業創業当時の作業のジオラマ
(トヨタ産業技術記念館)
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