改善の事典  》 第12章 組織  》 仕事を命じる
 
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組織‐1201 仕事を命じる BACKNEXT


 このページの掲載事例→             ●120101 朝礼でその日の仕事を確認する  
 ●120102 ほうれんそう運動を展開する  
 ●120103 パート・アルバイトへの連絡もれをなくす  
 ●120104 ホワイトボードに「本日の予定」欄をつくる  
 ●120105 離席時に行先を表示する  
 ●120106 回覧情報を確実に伝える 
 ●120107 社員の仕事をフォローする 
 ●120108 的確な情報を要求する 
 
【120101】 朝礼でその日の仕事を確認する  

雇い入れた人に仕事をしてもらうには、どんな仕事をどのようにしてもらうかをきちんと伝えなければならない。

■今日どんな仕事をするのかが本人に任せられている場合は、本人が自分の予定を、周りの関係者に伝えておかなければならない。

■そのための場として朝礼が行なわれる。

朝礼のポイントは次の通りである。
「おはようごさいます」と挨拶を交わす。
上司からその日の予定を確認し、連絡事項を伝達する。
そのほか、指示命令、方針の伝達、社是社訓の唱和、社歌の斉唱、教育訓練として、輪番のスピーチ、安全教育(KYT)、体操、などを行なう。

参考文献:「新リーダーハンドブック」(日本HR協会、1994
 
東京ホールセール府中工場の本日の作業掲示板
 
【120102】 ほうれんそう運動を展開する   


■報告=上司から指示された仕事の結果や途中経過を、部下から上司に報告すること
連絡=仕事に関連した事項を関係者に伝えること
相談=自分だけで判断できない事柄について上司の意見を聞くこと

■これらがきちんと行われることで管理者や経営者は現場の状況を把握し、必要な手を打ち、その後の進むべき方向を決めることができる。

1982年、山種証券の山崎富治社長は、組織の動脈硬化の防止と活性化のために「報告・連絡・相談」の徹底をめざす「ほうれんそう運動」を提唱している。 

参考文献:山崎富治著「ほうれんそうが会社を強くする」(ごま書房、1989

 
 
【120103】 パートアルバイトへの連絡もれをなくす  

和食レストラン、がんこフードサービス古河橋店では、パート・アルバイトへの業務指示は直接店長から出していたが、シフトの関係でそのとき出勤していなかったパート・アルバイトには連絡漏れになる場合があった。そこで、QCサークル活動を通じてみんなで検討し、次のように改善した。

 
パート・アルバイトをシフトごとに3グループに分け、それぞれにリーダーを選任。グループ内の業務連絡やOJTの責任を負わせた。  
各シフトごとに始業時に1分間朝礼を実施することにした。

 

 

 
交換日誌を設置し、店長、リーダー、パート・アルバイトからの連絡事項はここに記入することとし、見た人はサインすることにした。

 
毎週金曜日の営業終了後、店長とリーダーが集まってリーダー会議を開き、業務連絡指示の徹底、各グループの1週間の反省と次週の課題、パート・アルバイトの意見を吸い上げを行うことにした。リーダー会議の結果は翌日に各リーダーからパート・アルバイトに伝え、交換日誌にも書き込む。

取材先 がんこフードサービス古河橋店
取材 1998/12/11
掲載 燃えよリーダー 1999/02 
 
 
 
 【120104】 ホワイトボードに「本日の予定」欄をつくる  

メンバーの予定が誰にもわかるように、ホワイトボードに図のような「本日の予定」欄を作った。本人から電話がかかってきたときに用のある人は「要連絡」欄に名前を書き、必ず電話を回して貰うことにした。
 
 
【120105】 離席時に行き先を標示する   

担当者の離席時に電話がかかってきたとき、どこに行ったか答えられないことがあった。そこで離席時には図のような「離席掲示板」で、出張時には右図のような「出張連絡票」で行き先と帰席予定を表示することにした。

取材先 九州不二サッシ
取材 1994/12/13
掲載 燃えよリーダー 1995/02

 
 
【120106】 回覧情報を確実に伝える  

①回覧のルートと回覧後の処置を明確にするために回覧物には右のような回覧シートを添付することにした。
  


②回覧物を「至急」は赤、「議事録など」は青、「その他」は青に色分けして回覧することにした。
情報伝達が速く確実になった。
 
 
③回覧物を大きくした。
机の上に大きな回覧板が置かれているとよく目立ち、邪魔になるから早く回すようになる。 

取材先 神戸製鋼所 「事務ルール事例集」1986 

 
 
 【120107】 社員の仕事をフォローする  


■徳武産業が介護シューズ「あゆみシリーズ」を開発した年、同社ははじめて赤字を経験した。十河孝男社長と副社長のヒロ子夫人は開発に没頭し、既存製品のOEM生産と管理を3人の社員に任せていたのだが、経験不足のためマネジメントが十分でなかったことが原因だった。

■十河さんはそのとき彼らをきつく叱ってしまい、その後3人が辞めてしまったことをずっと後悔している。赤字の責任は彼らではなく、社長である自分にあった。自分がもっと気を配ってフォローすべきだった…と。

■その反省から、現在では、経営計画の発表と同時に「私の挑戦」と題して前期の反省と今期の目標を発表させ、それを逐一フォローしている。また、賞与を渡すときは、十河さんが1人ひとりに宛てた自筆の手紙で、今期頑張ったところを具体的に褒め、来期への期待を記している。



取材先 徳武産業
取材 2019/02/08
掲載先 リーダーシップ2019/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki214.html

 
本社工場の縫製職場
   
 【120108】 的確な情報を要求する  


■第一次大戦当時のヨーロッパとアメリカを相手に貿易を行っていた鈴木商店は、世界中の物資の需要と供給の行方を正確に把握しようとした。1916(大正5)年、鈴木商店の大番頭、金子直吉が同社ロンドン支店長・高畑誠一に送った手紙は、その一端を表わしている。

■「一般的の報告とともにまた専門的、たとえば豆が戦争のためにどうなるか、というような報告を賜らんことを望む。即ち一般的報告もすこぶる必要には相違なきも、当店の取り扱いに係るものないし日本の商売に関係ある砂糖、米、豆、石炭、船、樟脳、薄荷(はっか)などの部分的商品に対する戦前戦後需要の変遷等の報告がより以上必要なりというにあり。けだし戦争が終局に進むに従い、いよいよますます必要を感ずるものとご承知を乞う」

出所「行け!まっしぐらじゃー評伝・金子直吉」(辻本喜明著、育鵬社、1999
取材 2024/08/14
掲載先 リーダーシップ2024/10
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki265.html

 
1918年、民衆の焼き討ちに遭って焼失した鈴木商店本店
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