改善の事典  》 第12章 組織  》 目標を持たせる
 
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組織‐1202 目標を持たせる BACKNEXT


 このページの掲載事例→               ●120201 スキーウエアを目標に勉強会を続ける  
 ●120202 個人目標を設定する  
 ●120203 上位方針を個人目標に展開する
 ●120204 挑戦目標を胸札に表示する  
 ●120205 目標を決めて多能工化をすすめる  
 ●120206 社員のスキル管理表  
 ●120207 提案成績をレースで競う
 ●120208 改善に値段をつけて売り上げを競う 
 ●120209 目標を押し付けず自分たちで決めさせる 
 ●120210 方針展開・目標設定・結果のチェック・ふりかえり
 ●120211 「ビジョン経営」を展開する
 ●120212  知的障害者たちに成長を促す
 
【120201】 スキーウエアを目標に勉強会を続ける  


■単品生産でも利益を出せる金属加工の仕組みを作り上げたHILLTOPの山本昌作副社長は、そのために元暴走族と元ヤンキーの3人の若い社員を雇い入れ、彼らに金属加工と、その仕事をコンピュータに記録することを教えた。さらに、そのための基礎知識として、毎日の勤務終了後には金属工学とコンピュータの基本を教えた。

■3人にとって、勤務終了後の勉強会は、できれば勘弁してほしかったに違いない。山本さんは、その代わりに毎晩のように3人を食事に誘った。冬は一緒にスキーに行った。ヤッケを着てスキー場にやってきて震えていた彼らに、「おい、次はもっとお金を稼いで、スキーウエアを買おう」と山本さんは言った。

■スキーウエアを買おうという話は、やがて、もっともっと儲かったら、ここにペンションを買おう、ホテルを建てよう、スキー場も買い取ってしまおうと、話はどこまでも膨れ上がって、大いに盛り上がった。

■数十年を経たいま、この3人の元暴走族と元ヤンキーはHILLTOP(株)の東京支社長、医療機器部長、開発部長を務めている。

取材先 HILLTOP
取材 2019/09/06
掲載先 リーダーシップ2019/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki221.html


HILLTOP食堂のランチタイム
 
【120202】 個人目標を設定する   

「品質不良ゼロ」をめざしている椿本チエイン京田辺工場の事例。組織目標への全員の積極的な参画を求めるために、1人ひとりに個人目標を設定させ、それを写真入りで職場の中に掲示している。



取材先 椿本チエイン
取材 2006/12/18
掲載先 ポジティブ2007/02
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki029.html 
 
 
 【120203】 上位方針を個人目標に展開する  

ニチレイの事例。会社方針を個人目標に展開するために、部署ごとに「まるごとコミュニケーション」というファミリー研修を開いている。その席で上位方針と目標を説明し、それを達成するために自分たちが何をすべきかを、みんなで話し合って決める。
いつもとは違うリラックスした場所を選び、部署長は聞き役に回って部下たちに司会進行を任せ、全員に本音で発言させる。
それによってみんなの現状認識を一致させ、解決すべき課題を明らかにし、その後に各人の目標を立てさせる。




取材先 ニチレイ
取材 1999/06/16
掲載先 燃えよリーダー2000/05 
 
 
 【120204】 挑戦目標を胸札に表示する  
 
小集団活動リーダーは全員自分たちの活動テーマを胸札に表示することにした。これにより、リーダーの自覚が高まり、周りからテーマに関連した意見や提案が集まってくるようになった

参考文献:「神戸製鋼所・事務ルール事例集」1986
   
 
 
 【120205】 目標を決めて多能工化をすすめる  

機械加工、研磨ロボットの操作、研磨作業が1人でできる多能工化事を育成するために、オペレーター1人ひとりについて多能工化の目標を決め、実績がどこまで進んでいるかを図のようなグラフにして競い合っている。


取材先 TOTO小倉第二工場
取材 2002/03/18
掲載先 燃えよリーダー2002/05
 
 
【120206】 社員のスキル管理表  

改善技法や改善用語をどれだけ知っているか…など、社員の改善スキルのレベルを計画し、目標値を決め、ギャップの大きな項目から順にトレーニングを行っている。



取材先 P&G明石工場

取材 2002/12/12
掲載先 燃えよリーダー2003/02
 
 
【120207】 提案成績をレースで競う   

提案成績をレースの形にして食堂の壁面に掲げている。レースの形式やルールは毎年変わるが、提案成績に応じて各職場のコマを進め、みんなはこれを見て他職場に負けるものかと一生懸命改善くふうする。年度末にはレース結果に基づいて表彰を行う。



取材先 竜野松下電工
取材 1980
掲載先 改善提案ハンドブック  (1980)
 
 
 
【120208】 改善に値段を付けて売り上げを競う  

■改善、資格取得、管理指標の目標達成など、改善活動の1件1件に値段を付け、それを会社に見立てた自主保全グループの売上とみなして売上を競い合う。

■自主保全グループは最初に事務局から融資を受けその利子を払わねばならないから、売上を上げないと倒産する。そうならないようにみんなで改善に精を出す。実際にお金をやり取りするのではなく、単に数字上のゲーム。この仕掛けによって改善活動は大いに盛り上がっている。 

取材先 ダイキン工業滋賀製作所
取材 1998/11/03
掲載先 TPMによる利益を生み出す体質づくり(1999)
 
 
【120209】 目標を押し付けず自分たちで決めさせる   

■パート・アルバイトの採用代行業、ツナグ・ソリューションズでは、社員はルーチンワークを持ちながら同時に組織を越えて様々なプロジェクトに参加する。そこでは積極的な提案が奨励され、それが認められれば、自ら実施責任者となってそれを完成させる。

■社員1人ひとりは売上目標、利益目標、新規顧客の獲得目標を上から一方的に押し付けられることはない。会社として解決すべき目標を、会議でみんなで確認し、各人が「それでは、次の半年間で、私はこれだけのことをやります」と約束する。

■半年後の会議で、その結果を5段階で自己評価。それがそのまま報酬に反映される。会議の参加者は、なぜそういう自己評価になったのかを質問できるから、おのずと自分も周囲も納得する評価結果に落ち着くという。

取材先 ツナグ・ソリューションズ
取材  2011/04/21
掲載先  リーダーシップ2011/07
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki114.html 

 
ツナグソリューションズの執務室  
 
【120210】 方針展開・目標設定・結果のチェック・ふりかえり   

■焼肉レストラン、ワンダイニングの各店舗では、正社員がマネジメントと肉のカットを担当、アルバイトは接客応対を担当する。

■アルバイトに求められる仕事は200余項目に及び、その習得度合いよって時給と職位が決まる。

■正社員は新入社員から店長まで8階層。肉のカット技術を学ぶとともに階層ごとに集合教育を通じて、コミュニケーションスキル、コンプライアンス、計数の知識、リーダーシップなどを学ぶ。

■社長は半年ごとに経営方針が発表し、毎月店長会議を開催するほか、年1回各店舗を訪問し店長と面談する。

■各店舗では方針の展開、目標の設定、振り返りのために、アルバイトを含む全員を集めて月に1回店舗ミーティングを開く。

■料理・サービス・店舗施設のQ(Quality)、S(Service)、C(Cleanness)の3項目について、3種類のチェックを行っている。
@現場スタッフ自身のセルフチェック(月1回)
A電話予約時の対応、接客応対、料理の品質や盛り付けについて外部専門機関による覆面調査(月1回)
B外部衛生検査機関によるチェック

取材先 ワン・ダイニング
取材 2014/03/19
掲載先 リーダーシップ 2014/05
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki156.html 
 


ワンダイニングの店舗とアルバイトミーティング
 
【120211】 「Iビジョン経営」を展開する   


■清川メッキ工業では、個人目標をカードに書いて会社方針や部門目標と一緒に「I(アイ)ビジョンボード」と呼ばれる掲示板に貼って、みんなに見えるようにしている。

■「Iビジョン」の“I”は自分自身の“I”、Industry(企業、産業)の“I”、Imagination(想像)の“I”、Ideaの“I”、あるいはEye(目で見える)の意味。「会社や産業、社会のために自分自身が何を目指すかを周りに見えるようにしていく」という意味を込めている。

■例えば、ある技術の開発が部門目標に掲げられていたとすると、その達成のために「こういったデータを集めます」「○○の資格取得をめざします」といった個人目標がみんなに公開される。

■これによって全体の中で1人ひとりの立ち位置が明確になり、職場のリーダーも、部門長も、経営層も現場を訪れ、「Iビジョンボード」の前で1人ひとりの立ち位置を確認しながら、ビジョンを語り、1人ひとりの目標達成のためにアドバイスし、必要な支援を行う。

取材先 清川メッキ工業
取材 2014/12/22
掲載先 リーダーシップ 2015/02
探訪記 
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki165.html 

 
I ビジョンボード 
 
 【120212】知的障碍者たちに成長を促す   

チョークのメーカー、日本理科学工業では
従業員83人のうち62人を知的障害者が占める。すべての社員に、昨日よりは今日、今日よりは明日と、成長をを求めて、「6S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ・安全)運動」を展開している。

■障害者たちは、当初、6S会議で当初ほとんど発言できなかったが、健常者や先輩障害者にサポートされながら、言いたいこと、言うべきことを次第に発表できるようになってきた。

■休憩室の壁には、1人ひとりの1年間の個人目標が張られている。たとえば、
・興奮しないで落ち着いて作業する
・後片付けと掃除をきちんとする
・床にものをおかない(6S委員)
・材料をこぼさない(6S委員)
・ロット番号を正確に記録する(6S委員)
・生産完了する時間を意識して作業する(6S委員、リーダー)
・生産数量を意識してより多く作れるよう工夫する(6S委員、副班長)
・周りの従業員に丁寧に教えてあげる(6S委員、副班長)…

取材先 日本理化学工業
取材 2016/12/07
掲載先 リーダーシップ 2017/02
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki188.html

 


6S活動掲示板(上)と「私の目標」

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