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ネット版 改善改革探訪記 №234 BACK  

800万足を売り上げた人気の靴が切り開いた世界ut

 リゲッタ探訪記


親会社が指定するデザインの靴を作ってきたタカモトゴム工業所は、親会社から突然に請負契約の解除を通告された。創業者の息子の高本奏朗(やすお)さんは、それを機に、下請けから脱却して、メーカーとなろうと、自分で靴をデザインし、それを買ってくれる問屋を見つけるために神戸の靴の展示会に出展したが、靴は1足も売れず、やむなく他社の下請けを続けながらデザインの研究を重ねた。

やがて会心の靴を作り上げ、展示会に出展すると1万5000足の注文が入った。これでメーカーの仲間入りをしたと思ったが、翌年の展示会には10数社が同じデザインの靴を出展。そっちの方が価格が安かったため、高本さんの靴は全く売れなかった。

翌年、それを改良し「リゲッタ」と名付けた靴を出展した。ドイツの靴の機能性とイタリア靴のファッション性を持ち、つま先が上がっていて日本の下駄の特徴を持った靴だった。「リゲッタ」の名前を商標登録し、専用の箱を作って、そこにデザインの狙いと特徴を書き込んだ。この靴も大きな評判を呼んだが、翌年の展示会ではやはりこのデザインを真似た靴がたくさん現れた。

がっくりと力を落とした高本さんに「ええ靴作ってるけど、出す展示会を間違うてるのと違う?」と言ってくれた人がいた。それがヒントとなり、東京ビッグサイトのギフトショーに「リゲッタ」を出展すると、多くの通販事業者から引き合いがきた。町の靴店や量販店のお客さんは靴しか見ていなかったが、現物を手に取ることのできない通販では高本さんが書いた文字や言葉による訴求力が大きな力を持ち、ここではコピーされる心配がなかった。

「リゲッタ」はその後、通販雑誌だけでなくテレビショッピングやネット通販にも広がり、年に何万足という単位でしか売れなかった靴が何十万足という単位で売れるようになった。

家族経営のタカモトゴム工業は、現在(株)リゲッタと名前を変え、100人の従業員を抱える。高本さんは、これまでの歩みをみんなで共有しながら、どんな会社にしたいかをみんなで話し合い、「楽しく歩く人をふやす」という経営理念を掲げた。この理念の下でみんなが力を合わせ、ともに成長する会社としての歩みを続けている。

●本文 →  regeta.pdf
●リゲッタのURL →  https://www.regeta.co.jp
掲載先 → リーダーシップ2020年12月号
(発行元・日本監督士協会のURL 
http://www.kantokushi.or.jp )



「リゲッタのすべて」の一部。写真クリックで本文表示


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