■とんこつラーメンチェーン「一蘭」(福岡市)は、「味集中システム」と呼ばれる店舗運営システムによって急成長した。創業20年で1店当たりの売上は業界トップ。全国に47店舗を展開。香港、ニューヨークなど海外展開も手掛ける。経営理念に「人間性を掲げる。
■当初は、みんなで美味しいラーメンを作って、儲かったらみんなにいっぱいお給料をあげる、というだけだった。あるきっかけから従業員の半数が離反するという事態を招き、給料だけでは仕事への誇りも、お客様を大切にする心も、トップへの信頼も生まれないということを、吉冨学社長は身をもって学んだという。
■以来、従業員の心を大切にし、その成長を促す人材育成システムの構築に力を注いだ。総計160時間の研修を受け、実務経験を積むことで、11の処遇段階を一段階ずつ上がっていき、最終段階を卒業すると正社員への登用資格が与えられる。
■「今」という瞬間を、実り豊かな将来への1歩と位置付けるとき、人は最大限の働きを発揮すると、吉冨社長は語っている。
● 本文 → ichiran.pdf
●一蘭のURL → https://ichiran.com
●掲載先 → リーダーシップ 2014年2月号
(発行元・日本監督士協会のURL:http://www.kantokushi.or.jp/)
■この記事へのコメント
10年前、福岡に行ったとき「面白いラーメン屋があるから行こう」と友人に連れて行かれたのが「一蘭」でした。まさにユニークなついたてに囲まれてラーメンを食べた記憶が鮮明に残っています。苦難を超えてここまで成長するとは思いませんでした。最近、食品に農薬を混入する大事件が起きました。犯人は非正規社員の1人でした。大多数の人が真面目に働いているのにこんな事件が起きると、非正規社員の肩身が狭くなります。「一蘭」では、アルバイトに時間単価で対価の支払をするのでなく、時間をかけて能力開発を行い、一定の基準を満たせば、正社員への登竜門を明確にしている。これだったら非正規社員も上を目指して頑張れる。企業の成長は人が源。従業員の身分を差別することなく、愛情もって上司が接すると、「利他精神」で皆、一生懸命に働くのです。そのことをこの記事は教えてくれています。(創知研究所・中野勝征)
|