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従業員の人間成長をめざすとんこつラーメンチェーン

 一蘭探訪記


とんこつラーメンチェーン「一蘭」(福岡市)は、「味集中システム」というユニークな店舗運営システムによって急成長した会社である。創業20年で1店当たりの売上は業界トップ。全国に47店舗を展開し、香港、ニューヨークなど海外展開も手掛ける。経営理念に「人間性を高め、人間成長を高めていきます」とある。

最初の10年間はそんな理念はなかった。ただみんなで美味しいラーメンを作って、儲かったらみんなにいっぱいお給料をあげる、というだけだった。しかし、
あるきっかけから従業員の半数が離反するという事態を招いた。給料だけでは仕事への誇りも、お客様を大切にする心も、トップへの信頼も生まれないということを、吉冨学(よしとみまなぶ)社長は身をもって学んだという。

以来、従業員の心を大切にし、その成長を促す人材育成システムの構築に力を注いできた。店舗運営はほとんどがアルバイトによって行われるが、そのアルバイトに11の処遇段階がある。総計160時間に及ぶ研修を受け、実務経験を積むことで一段階ずつ上がっていき、最終段階を卒業すると正社員への登用資格が与えられる。

今」という瞬間を実り豊かな将来への1歩と位置付けるとき、人は最大限の働きを発揮する。順風満帆に見えるこの会社の背後に、吉冨社長の人間への深い理解と開眼があった。


日本監督士協会編「リーダーシップ」2014年2月号で詳報)  → ichiran.pdf へのリンク



■この記事へのコメント
10年前、福岡に行ったとき「面白いラーメン屋があるから行こう」と友人に連れて行かれたのが「一蘭」でした。まさにユニークなついたてに囲まれてラーメンを食べた記憶が鮮明に残っています。苦難を超えてここまで成長するとは思いませんでした。最近、食品に農薬を混入する大事件が起きました。犯人は非正規社員の1人でした。大多数の人が真面目に働いているのにこんな事件が起きると、非正規社員の肩身が狭くなります。「一蘭」では、アルバイトに時間単価で対価の支払をするのでなく、時間をかけて能力開発を行い、一定の基準を満たせば、正社員への登竜門を明確にしている。これだったら非正規社員も上を目指して頑張れる。企業の成長は人が源。従業員の身分を差別することなく、愛情もって上司が接すると、「利他精神」で皆、一生懸命に働くのです。そのことをこの記事は教えてくれています。(創知研究所・中野勝征)