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患者さんの立場で考える

 福井済生会病院探訪記


福井県済生会病院は、20年前JR福井駅前から現在の場所に新築移転した。病院は広くなり、患者が増え、スタッフの数も3倍近くに増えた。しかし、古き良き伝統に支えられ、地域にとって最高の医療を提供しているという誇りを持ったスタッフと、それが身についていないスタッフとの関係はぎくしゃくした。

「ここの看護師は横柄だ」という苦情が患者から聞かれるようになった。彼らは何に向かって進むべきかが分からなかった。やらされ感があり、それが職員満足、患者満足を低下させていた。

田中信善病院長は「患者さんの立場で考える」という新しい病院理念を打ち出した。この病院のDNAは何かを議論し、それは「進取の精神」「変革」「前向き」「使命感」「やさしさ」「チームワーク」だとして、これらを全員で共有していこうと訴えた。

患者、連携医、職員の声をもとに3ヵ年ビジョンを策定。それに沿って目標を決め、全員でPDCAを回す。年に1度結果を振り返り、組織横断的なプロジェクトにより問題を解決する。看護師、薬剤師、栄養士などのスタッフは従来医師の指示がなければ動けなかったが、専門スタッフとして意見を述べ、協力し合ってチーム医療を進めるようになった。

仕事への主体的な取り組みが「患者さんの立場で考える」の実践につながり、それが職員満足に、さらに患者満足につながった。2012年秋、この病院は日本経営品質賞を受賞している。

●本文 → fukuisaseikai.pdf  

●福井県済生会病院のURL → https://www.fukui-saiseikai.com

掲載先 → リーダーシップ 2013年5月号
(発行元・日本監督士協会のURL:http://www.kantokushi.or.jp/



■この記事へのコメント
「相手の立場で考える」ことは昔から言われていることですが、特に歴史ある企業ですとそれを実行することは難しいですね。読んだ後、星野リゾートの星野佳路社長のことを思い出しました。実行者の信念が組織を変革していくのですね。(創知研究所・中野勝征)

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●患者さんの立場で考える活動を展開→http://www.souisha.com/jirei12/1204a.html#14