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目標を与えず自ら約束させる
 ツナグ・ソリューション探訪記

目標を与えず自ら約束させる

アルバイト・パートの採用代行業、ツナグ・ソリューションズ(東京都中央区銀座、従業員数124人)は会社をあげて社員をイキイキさせる実験をしている。その結果得られた活性化ノウハウをクライアントに伝えるためだ。

ユニークなのは、社員に目標を与えず自ら約束させるという試みである。業績をみんなで確認し、何が課題かを話し合う。1人1人は「それなら私はこの課題に挑戦する」とみんなの前で宣言する。そして半年後にどこまで達成できたかを発表、結果を自己評価させる。聞いている人は、どうしてそういう評価になったのかを質問できるから、評価は自ずと妥当な線に落ち着く。それがそのまま報酬に結び付くという仕組みだ。

米田光宏社長は「要は腹決めです」と言う。経営者の立場からすると1人1人に目標を与え、進捗状況をきめ細かく確認し、結果をきちんとチェックすることで目標達成を確実にして安心したい。だが、それでは社員はやらされ感だけで、それで得られる成果はたかが知れている。人間というのは本人も予想できなかったほど大きな力を発揮する場合があるが、それだけの力を発揮するのは自らやる気になったときだけなのだ。

自らやる気になれるだけのミッションと場を用意できるかどうか、社員1人1人の可能性を信じてそれを見守れるかどうか、経営者には、そこまで腹を決められるかどうかが問われている。
ツナグ・ソリューションズのドアには"Choose Your Attitude !”(笑顔か怒っているか、思いやりか自分勝手か、仲間と楽しくするか一人ぼっちか、楽しくするのか退屈な顔でいるのか…、あなたの態度を選びなさい)とある。
 

家族、友人、自分自身とのコミュニケーションを大切にする

社員をイキイキさせるためのツナグ・ソリューションズの試みで、もうひとつ印象に残ったのは、社内のコミュニケーションだけでなく、社員とその家族、友人、自分自身とのコミュニケーションを大切にするという着眼である。

自分自身とのコミュニケーションというのは、自分がなぜここで働いているのかを自問自答させるということだ。生活を支えるため、より大きな目標に近づくため、会社のミッションに共感しそれに参画するため…など、自分が働く目的を明確にしておくと、困難に直面した時の頑張りに力が入る。家族・友人とのコミュニケーションを大事にするのは、家族と友人こそ個人を最も身近なところで支えているからだ。「もう辞めたい」と言ったとき「そんな会社辞めたら」と言われるか「もうちょっと頑張ってみたら」と言ってくれるかで、本人にも会社にも大きな違いが生まれる。

同社では個人のプライベートな時間での体験やそこで学んだことを社内ブログに書きこみ、互いにそれにコメントを書き合っている。また「LOVE休暇」という家族・友人・自分にとって大切な人と一緒にすごす休暇を設け、「LOVE休暇」をとった社員には1万円の「LOVE休暇手当」を出している。

会社を時間と労働力を切り売りするだけの場ではなく、プライベートの時間まで含めたトータルな自分自身がそのまま受け入れられる場に変えることで、最大限の働きを引き出そうとしているのである。



「月刊リーダーシップ」2011年7月号で詳報) →tsunagu.pdf へのリンク
 
 LOVE休暇中の社員と家族