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ネット版 改善改革探訪記 57 BACK NEXT
基本は標準通り。特別仕様の部分だけ変える
 三井造船玉野造船所探訪記

船舶は受注生産品で、発注者から航路や積荷の種類と量を聞き、1隻ごとに一から設計する。三井造船玉野造船所で建造されている5万6000トン・バルクキャリアという船の場合、これまでに120隻の受注実績があり、実際には何年か前にも同じような設計をしている場合が少なくなく、その場合はその図面を取り出してきて手直ししていた。

問題は、たとえば材料の歩留まりを向上させるために材料取りの方法を改善して設計に反映していても、それ以前の図面に戻ればそれまでの改善成果がゼロに戻ってしまうことだった。同様にミス防止の改善、安全性向上の改善等々、現場が積み上げたすべての改善が何年か前に引き戻されてしまうのである。

自動車販売店に行けば車種と型番と色が一覧表になっており、その中から選んで注文すれば指定どおりの車が届けられる。それと同じことが船でもできないかと船殻設計課長の野崎修一さんは考えたという。コンピュータの中で3次元CADデータの形で標準船を作り、すべての改善のデータをこの標準船データの中に蓄積する。これをベースに仕様変更する部分だけをその都度加えるようにした。課を挙げて標準船データづくりに取り組み、3年をかけて完成させた。

設計工数は大幅に削減され、従来1隻について4.5キロの重さがあった図面が、変更部分だけ現場に渡すので390グラムに激減。基本は標準船通りとし、変わる部分だけ特別仕様にするという作り方は現場の作業効率も向上させた。同社内の改善発表会で最優秀賞を獲得した事例である。


(「ポジティブ」2008年01月号で詳報)→mitsuizosen.pdf へのリンク
標準船の3次元CAD画像