改善の事典  》 第13章 お客様  》 個別の要望に応える
 
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お客様‐1309b 個別の要望に応える BACKNEXT

お客様の要望は究極的には個別具体的です。それに応えている事例を集めました。

 このページの掲載事例→                ●1309b01 袋菓子をバラ売りする  
 ●1309b02 通常パックと少量パックを並べて陳列する  
 ●1309b03 通常品とこだわり品を並べて陳列する  
 ●1309b04 その人だけのスポーツ用品をつくる  
 ●1309b05 気軽に声をかけてくださいと呼びかける  
 ●1309b06 お客様1人ひとりにぴったりの対応をする
 ●1309b07 お客様と一緒に家を建てる  
 ●1309b08 貸付先の事業運営状況を把握。返済を指導する 
 ●1309b09 プーリーを多品種微量生産する  
 ●1309b10 バネを多品種少量生産する  
 ●1309b11 単品生産でも利益を出せる仕組みをつくる
 
【1309b01】 袋菓子をバラ売りする  

■スーパーマーケット、ハローデイの加冶敬通社長が店長だったとき、売上を伸ばすために、品揃えを工夫したり、ディスプレイを工夫したり、あらゆることを試みた。最後にお客様に直接意見を聞いてみることにした。

■「何か不便なことはありませんか」とひとりひとりに尋ねて回った時、あるおばあさんが言った「私はチョコパイが好きなの。でもあれは六個入りで,私一人じゃ一度に食べ切れない。何とかならない?」

■そこで、加冶さんは、翌日チョコパイとそれ以外のいくつかの袋菓子をバラして取り混ぜ,一山いくらで販売することにした。お婆さんは喜んで買っていってくれ,他のお客様も興味を示して買ってくれた。

■「この店はお客の声を聴いてくれる」という評判がその後の業績につながったという。


取材先 ハローデイ
取材 2013/11/19
掲載 リーダーシップ2014/01
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki152.html
 

 
 
【1309b02】 通常パックと少量パックを並べて陳列する  

独居高齢者や未婚の単身者など、一人住まいの人が増えた。そこで、惣菜を通常パックと高齢者・単身者用の少量パックを上下の棚に並べて陳列した。


取材先 ライフコーポレーション
取材 2000/01/07
掲載 燃えよリーダー2000/02 
 
 
【1309b03】 通常品とこだわり品を並べて陳列する  

独居高齢者や未婚の単身者など、一人住まいの人が増えた。そこで、惣菜を通常パックと高齢者・単身者用の少量パックを上下の棚に並べて陳列した。

取材先 ライフコーポレーション
取材 2000/01/07
掲載 燃えよリーダー2000/02 
 
 
【1309b04】 その人だけのスポーツ用品をつくる  

スポーツ用品店で、自分なりのスポーツを追求する人のために、1人ひとりのクセや身体的特徴に合わせて、グラブやシューズなどを微妙に調整するサービスを行っている。

取材先 美津濃淀屋橋店
取材 1999/12/17
掲載 燃えよリーダー2000/02
 
 
【1309b05】 気軽に声をかけてくださいと呼び掛ける  

スポーツ用品は使ってみてはじめて効果を発揮する。販売員がお客様のニーズを把握し、それに合った商品をお勧めすることが大切だ。アドバイスのきっかけをつかむために、気軽に声をかけてもらえるよう「修理を承ります」「ラッピングサービスいたします」など、店内には様々な呼びかけの掲示があり、「絶対ミズノ宣言」は「製品の優秀さを知っていただくため、私たちは十分な知識を身につけ、お客様に役立つ情報、サービスを提供します」と宣言している。

取材先 美津濃淀屋橋店
取材 1999/12/17
掲載 燃えよリーダー2000/02
 
 
 【1309b06】 お客様1人ひとりにぴったりの対応をする  

千葉夷隅ゴルフクラブでは、アンケートやお客様情報カードによる情報を、お客様1人ひとりについてデータベース化している。氏名、年齢、住所、勤務先、趣味、来場歴、利用コース、ゴルフのハンディキャップ、クセ、料理の好み、社員が見聞きした情報…などを集積。ゴルフ場内のどの端末からでも、右のような画面で確認することができる。

■受付、キャディ、レストランのウエイトレスたちは、これによって、お客様1人ひとりを名前で呼び、その人に合った話題をもちかけ、好みの料理を出すなど。ぴったりの対応を心がけている。

取材先 千葉夷隅ゴルフクラブ
取材 2002/09/22
掲載 燃えよリーダー2002/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki003.html
 
【1309b07】 お客様と一緒に家を建てる  


■谷口弘和さんは、大手ハウスメーカーの規格化された家づくり、お客様と折衝するのは営業担当だけという仕事の進め方に、違和感を感じ、お客様と一緒に進める家づくりを目指して谷口工務店を立ち上げた。

■営業担当は置かず、大工も設計士も含めてみんなでお客様に向き合い、日頃から優れた建築を研究吸収して感性を高め、お客様の要望を聞き、提案し、設計し、みんなが施工過程を理解しながら、お客様に喜んでもらえる家づくりを推進している。

取材先 谷口工務店
取材 2020/12/07
掲載 リーダーシップ2021/02
探訪記
http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki236.html

 
おもてなしの場としての「家」を体感できるMOV-SQUEA
 
【1309b08】 貸付先の事業運営状況を把握、返済を指導する   

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■三井高利(1622ー1694)が伊勢松坂で「越後屋」の看板で金融業を営んでいたとき、主な融資先は郷村の農民たちだった。

■高利はただ金を貸して利息を取るだけではなかった。母、殊宝がそうしていたのと同じように、常に貸付先の事業運営状況を正確に把握した。

■貸し付けた資金の回収に不安を覚えるような事態があれば、必要に応じて追加融資したり、秋祭りや正月の祝の出費を抑えるように求めたり、冬物野菜を栽培させて、それを他地域で販売して現金化することを支援するなど、返済方法にきめ細かく介入し、指導した。

■ただ、相手が大名や武士の場合はそうはいかなかった。身分が異なるために先方のお家の事情にまで立ち入ることができなかったからである。

取材先 羽佐田直道氏(愛知県東海市)
取材 2020/04/13
参考文献 「小説 三井高利」 2011
掲載先 リーダーシップ2020/06
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki228.html

  
三井高利夫妻像(写真提供 公益財団法人三井文庫)
 
【1309b09】 プーリーを多品種微量生産する  

■エンジンやモーターの回転をベルトを介して伝達する滑車「プーリー」の需要の大半は自動車・家電向けだが、発注量の多い仕事は規格や価格が発注者主導で決まり、プーリーメーカーとしては主体的な事業運営が困難になる。そこで、鍋谷バイテックは、自動車・家電から撤退。送風機・発電機・コンプレッサー・産業機械・建設用機械など、受注ロットの小さい注文にきめ細かく対応している。

■そのために「寿司バーコンセプト」と呼ばれる生産方式を採用した。「アワビ」「ハマチ」「トロ」…という目の前の客の注文に「はいよ!」と応えて、すぐに握って1品ずつ出す、という意味である。

■これによって毎日出荷した分だけ製造しようとすると、大量生産向けの既製品の工作機械は、高性能すぎ、高速すぎ、高価すぎる。そこで、同社は12個単位のプーリーの生産に適した加工機を内作している。

■加工機内作のためのスタッフは13人。製造オペレーターの中から選抜され、ここに配属され、システムメーカーの講習会に参加し、OJTで先輩から教わりながら機械をつくる。1台の機械を作り上げるのに数週間から半年程度。何年かここで加工機づくりに携わった後は、製造部門の管理監督者として再び現場に戻っていく。

取材先 鍋屋バイテック
取材 2007/07/05
掲載 ポジティブ2007/09
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki044.htm

 


プーリー(上)と内作加工機
 
【1309b10】バネを多品種少量生産する   


■東海バネ工業が創業した当時、量産市場はすでに先進メーカーによって押さえられていて、同社は1個〜数個の小ロットで、手間がかかり高い精度が要求される特殊バネの注文を引き受けてきた。

■発注者は重厚長大の大手企業。当初は見積額からいくらか値引きするのがふつうだったが、言い値で買ってもらえるようになるために、自社でしかできない技術の確立を目指した。

■毎回特殊なバネづくりに取り組む中で、自社なりにつくり上げた独自の技術がたくさんあった。それをより高めるために、1970年代にコンピュータの活用を決め、過去の受注データをすべてデータベース化した。これにより、過去に受注した仕事をすぐに確認し、その上に新しい工夫を付け加えることが容易になった。

■熱い、重い…という3K仕事の大変さを軽減するために自動化も推進。さらに、受注から出荷までの営業・生産・技術の仕事の流れを一元化し、画面上で見えるようにし、納期厳守も徹底している。

取材先 東海バネ工業
取材 2017/09/25
掲載 リーダーシップ2017/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki197.html 

 


コイリングマシン(上)とコイルバネの焼き入れ
 
 【1309b11】 単品生産でも利益を出せる仕組みをつくる  


■山本精工(後のHILLTOP)は、自動車メーカーの孫請として金属部品を製造する家内工業だった。同じ部品を何千個も作り続けることの単調さに耐えられなくなった山本昌作副社長は「もう孫請けはやめよう。僕が代わりの仕事を探す」と提案。家族のみんながそれを了承した。

■山本さんは様々な業種のメーカーに「仕事をさせてください」と頼み込んで図面をもらってきた。しかし、多くは自社技術では手に負えず、同業他社に頼み込み加工賃を払って作ってもらい、それを横で見せてもらって、加工方法を学んだ。

■蓄えが底をついたころ、よやくそれらの仕事をこなせるようになった。毎日条件の違う仕事をこなすなかで段取りに共通要素があることに気づき、それをデータとして記録し、必要に応じて取り出せるようにするためにコンピュータシステムを作り上げた。

■若い社員を雇い入れ、金属加工とコンピュータを教え、仕事の手順をデータ化し、人は仕事の物をつくるためのシナリオづくりとプログラムづくりに専念。モノづくりはすべて機械が自動的に行う「HILLTOPシステム」を完成させた。

■「HILLTOPシステム」では、たった1個を作るだけでも十分に採算がとれる。これにより、現在の同社には、オブジェ、フィギュア、銅像、ロック歌手特注のマイクスタンドなどの注文が入るようになり、ウォルトディズニー、NASAなどからも次々仕事の依頼が入っている。

取材先 HILLTOP
取材 2019/09/06
掲載先 リーダーシップ2019/11
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki221.html

 




上からHILLTOP社屋の外観、
オフィススペース、工場スペース
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