絵で見る創意くふう事典  》 第13章 顧客指向  》 E好感度を高める
 
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顧客指向‐1306 E好感度を高める BACKNEXT

どうせ買うのなら感じのよい店で買いたいと思うし、感じの悪い店には2度と行きたくないと思います。店としては「感じが悪い」というマイナス評価は絶対に避けなければなりません。そのためには、きちんと身だしなみを整え、笑顔で相手と向き合い、「いらっしゃいませ」「かしこまりました」「お待たせいたしました」「ありがとうございました」などの接客用語がきちんと言える…など、好感度の演出は、現在日本では最低限の条件です。ほとんどの会社は、そのために販売要員、サービス要員だけでなく、事務職員や派遣社員、請負の掃除のおじさん、おばさんにいたるまで、接客マナーの向上にしのぎを削っています。たとえば次のような例があります。

 このページの掲載事例→               ●130601 挨拶は上から下から心から  
 ●130602 身だしなみの基準をつくる  
 ●130603 接客基本用語をきめる  
 ●130604 接客用語の勉強会を開く  
 ●130605 笑顔をつくる  
 ●130606 笑顔キャンペーンを展開する
 ●130607 チェッカーコンクールで心配りを競う 
 ●130608 接客ロールプレイングコンテスト  
 ●130609 接客のありかたをチェックする  
 ●130610 タクシーのお客様満足度を高める
 ●130611 高齢者の接客応対を振り返らせる
 ●130612 相手の反応を見て態度を決める
 
【130601】 挨拶は上から下から心から  

■ビジネスは人間関係から始まり、人間関係は挨拶から始まる。ある印刷会社ではそのために、全社員に挨拶の励行を徹底していた。しかし、上からの強制に不満を感じて辞めていく社員が少なくなかった。

■社長のTさんは、あるとき「挨拶は、上から、下から、心から」という言葉を知り、それまでの自分のやり方が「まず下から、次に上から、それが当たり前」だったと反省した。そして、その後は自分の方から社員に挨拶するようになった。

■以来、挨拶の習慣が定着し、お客様からの評判が高まったという。


参考事例→探訪記bU
   
 
【130602】 身だしなみの基準をつくる   

■ある生協の事例。従業員の身だしなみを整えることでお客様(組合員)に清潔感と好印象を持ってもらえる。また、従業員の仕事に対する心構えもできる。そのために右のような身だしなみの基準をつくり、セルフチェック、ペアチェックを行っている。
   
 
【130603】 接客基本用語をきめる  
 
■生協の事例。常に感謝の気持で接客できるように「接客応対の8大用語」を決め、店内ミーティングで唱和している。
売り場責任者は朝夕のピーク時におすすめ商品を大きな声で訴えるために発声練習している。
 
 
【130604】 接客用語の勉強会を開く  

■麺類チェーン店の事例、パート・アルバイトの新人に正しい接客用語を教えるために店長が講師となって接客用語勉強会を開いている。
  
 
 
【130605】 笑顔をつくる   

寿司チェーン店の事例。本部から客数が伸びていないと指摘を受け、従業員が話し合った結果、笑顔がない、大きな声が出ていない、返事がない、などの問題があることがわかった。そこで、次のような方法で笑顔、声だし、身だしなみをお互いに確認することにした。

@笑顔をつくる
・店長が笑顔を作る教育を行った。
・「イ」の発音をすると笑顔が作れる。・当店を選んでいただいた、そのことへの感謝の気持ちを自然に表現すれば、それが笑顔になる。
・鏡を置いて各自でチェックすることにした。
   
 A大きな声を出す
・毎朝朝礼時に発声練習を行った。
・声が小さいときは周りのものが注意することにした。
   
B身だしなみ
・ユニフォームが汚れていないか、朝礼時に互いにチェックすることにした。
   
 
【130606】 笑顔キャンペーンを展開する  
■あるスーパーマーケットが「笑顔で接客キャンペーンを展開。売場チーフが従業員に次のポイントを教育し、結果を自己採点し、その点数推移を公開してポイントアップをめざした。

@売り場に出るときは必ず「いらっしゃいませ」という。

Aお客様と目が合ったら「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」という。
B問い合わせに応えられない時はすぐ責任者にとりつぐ。

C自店の設備、サービス、営業内容を説明できるようにする。

D売り出し商品の場所を案内できるようにする。

Eマニュアル通りの身だしなみができている。
 
 
【130607】 チェッカーコンクールで心配りを競う  

■スーパーのチェッカーの接客態度をレベルアップするためにチェッカーコンクールを実施した。次の各項について採点し、優秀者を選抜し、表彰した。

@食品と石鹸など匂いのつくものを分けて入れているか

A寿司を購入されたお客様にお箸の要・不要を聞いているか

Bパンなど柔らかいものの上に重いものをおいえいないか

C表示通り値引きされていないなどのお客様の苦情に適切に対応しているか
   
 
【130608】 接客ロールプレイングコンテスト  

あるアパレルチェーン店では全社を挙げて接客のロールプレイングコンテストを行なっている。

■マネジャー以上を除く全社員が参加し、店舗予選、地区予選を勝ち抜いた社員による全社大会では、社外から招いた女優さんにお客様役を演じてもらい、5分間で販売のロールプレイングを行なう。

■そのときの社員の対応を審査員が採点して点数を競う。例えば、その時に店舗にない品物が注文されたり、他の店から取り寄せなければならなかったり、といったイレギュラーな場面も用意されており、その対応に仕方でその人の実力がわかる。

■上位5人が表彰され、賞金と副賞としてヨーロッパ研修旅行がプレゼントされる
   
 
【130609】 接客のあり方をチェックする  

■喫茶店、レストラン、パブ、キャバレーなどを展開する会社の事例。サービス意識向上のために次のようなチェックリストで自分たちの1週間の接客活動を振り返り、改善のきっかけづくりをしている。 
 
 
【130610】 タクシーのお客様満足度を高める  

■全国で最も早い時期にISO9001の認証を取得したタクシー会社の事例。

@お客様第一主義を徹底するために次のようなマナー教育を行なっている。
・ドアを開けるときは車を停めてドアを開ける
・お客様が行き先を言われたら復唱する・言葉遣いは丁寧に
・運転は安全第一かつ迅速に
・服装・身だしなみ・車内はいつも清潔に
・お客様が降りられるときは「ありがとうございました」と言い、「お忘れ物はありませんか」と確認する

Aこれらができているかどうかをアンケートハガキにして営業担当がランダムにお客様に渡し、返ってきたハガキに「行き先を言ったのに返事しなかった」「運転が乱暴だった」「服装がだらしなかった」などにチェックがあれば、再教育する。

B「当社はISO9001の認証を取得しました。お気づきの点がありましたらご連絡ください」と車内に表示。お客様の声に応えていくシステムが出来ていることを内外にアピールした。
   
 
【130611】 高齢者の接客応対を振り返らせる  

■各地のシルバー人材センターでは駐車場や駐輪場、公共施設の管理業務を請け負っているが、就業会員の中には接客態度が横柄で、利用者から苦情が出ることがあった。そこで、堺市シルバー人材センターでは接遇研修を開催。同センター理事の橋本一三五さんが、自分の失敗談を語り、加齢による頑固さに気付かせ、もっと柔軟に、もっと謙虚になりましょうと訴えている。

■「夕食後にテレビを見ていてうとうとしていました。私が寝入ったのを見て妻が、巨人・阪神戦からメロドラマにチャンネルを変えたんです。寝てるからわからんはずやのに、変えたとたんにむくっと起きて、『なにすんのや!』と思わず大きな声が出ました。同じような経験されていませんか? 寝ててもわかるというのは大したもんや。年をとって仙人の境地に近づいたと、そのとき私は思っていました。ところが、テレビであるお医者さんが、『このような人はボケが始まっている』というのです。寝てる人はチャンネルを変えられたところでなんら自分に関係がない。それなのに『なにすんのや』と起き上がるのは、かたくなで理屈に合わない行動です。ボケが始まったのです。自分ではわからない。人に言われて初めてわかるのです」

受講者はみんな大笑いし、多いに共感し、同じことが自分にもあると気付いて、自分の老化を意識し、自分ももっと謙虚にならなければと思ったそうだ。

相手の立場で考えて行動すればもっと優しくなれる。こちらが優しくなれば、相手も歩み寄ってくれると橋本さんは説く。この接遇研修で、発注者や利用者からの苦情が激減したという。
   
 
【130612】 相手の反応を見て態度を決める  

■あるシルバー人材センターでは公営駐輪場の管理業務を請け負っているが、しばしば利用者との間にトラブルが発生した。そこでマナー研修会が実施された。以下はその中で取り上げられた事例。

■「お兄ちゃん、この自転車、向こうへ置いといて」とシルバー会員が言った。親しみを込めた言い方のつもりだったが、利用者の若い男性は「こっちはお客さんやろ、もっと丁寧に言えや」と怒り出した。「ワシはこの言い方でずっと通してきた。それ以外の言い方はできん」と返すと「どういうことや、それは!」と火に油を注いだ。シルバー会員には相手が怒った理由がわからなかった。

■マナー研修会の講師が指摘したのは、人には様々な価値観があるということである。シルバー会員には自分なりの生き方、自分なりの態度や言葉遣いで六十年、七十年生きてきたという思いがあり、それが正しいと思っている。しかし、相手は会員と同じ環境を生きてきたわけではない。親しみを込めたつもりでも、上から目線で見下していると受け取ったのだろう。当時の雇用情勢は今より厳しかった。その厳しさを全身で感じていた若者には、シルバー会員が気楽な仕事でお金を稼いでいるように見えたかもしれない。

■どんなお客様にも共通して受け入れられる正しい言い方や態度はない。正解があるとすれば、それは相手の反応を見て、次にどういう言葉を発するか、どういう行動をとるかである。人生経験豊かな高齢者ならそれを見極める力は備わっているはず。いたずらにこちらの主張を押し付けるのではなく、一歩引いて相手の思いを察知し、対応してほしいと講師は説いている。
   
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