改善の事典 》 第11章 TT化 》 EIT化で業務を見える化する | ||||||||||||||||
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TT化‐1106 EIT化で業務を見える化する |
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IT化により見える化と管理精度の向上を図った事例です。 | ||||||||||||||||
このページの掲載事例→ | ●110601 営業日報をネットに載せる-1 | |||||||||||||||
●110602 営業日報をネットに載せる-2 | ||||||||||||||||
●110603 納期までの道筋が見えるようにする | ||||||||||||||||
●110604 人・物・金の運用を最適化する | ||||||||||||||||
●110605 分散した工事現場を一元管理する | ||||||||||||||||
●110606 在庫を抑え新鮮な品揃えを可能にする | ||||||||||||||||
●110607 POSシステムで売れ行きを分析する | ||||||||||||||||
●110608 POSシステムでサービスをレベルアップする | ||||||||||||||||
●110609 介護サービスを標準化、システム化する | ||||||||||||||||
●110610 仕事を見える化し責任を持たせる | ||||||||||||||||
【110601】 営業日報をネットに載せる-1 | ||||||||||||||||
[改善前] 営業マンが書く営業日報は、社長以下の幹部クラスのほか、開発、製造、営業企画などに回覧されるが、全員が見るには2〜3週間かかり、営業マンが困っている問題にそれぞれの立場からアドバイスしても、営業マンがそれを読むときには状況が変わってしまっている場合があった。 [改善後] 日報をパソコンで報告させ、それをグループウエア(LOTUS NOTES)に載せて関係者がパソコン画面を見てアドバイスできるシステムを作った。 @営業マンは1日の営業活動を終えるとノートパソコンでレポートを作成し、モデムと携帯電話を通じて会社に送信する。 A社長以下の関係者はパソコンでそれを見て、コメントを書き込み、営業マンはそれを自分の営業活動に生かす。 Bこのシステムが出来たことで、営業マンは報告のために出社する必要がなくなり、直行直帰し、通勤時間を営業活動に投入できるようになった。 Cこのシステムによって、顧客に接する第一線営業マンを中心に、開発・製造、営業企画など関係者が知識と知恵を結集して仕事をする形に変わった。 取材先 京セラコミュニケーションシステムズ 取材 1995/12/25 掲載先 燃えよリーダー 1996/02 |
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【110602】 営業日報をネットに載せる-2 | ||||||||||||||||
コンピュータ販売とソフト開発の会社、中部コンピューターは、営業活動の実態や顧客の動向を一目で把握できる次のようなシステムを開発した。 @営業マンたちは、どこを訪問したか、何の用件で誰と会ったか、商談はどこまで進んだか、など毎日の営業活動の結果を日報画面に打ち込む。 Aサーバ―に蓄積されたこれらのデータは、 ・顧客別行動履歴(顧客別にどんなアプローチをしてきたか) ・社員別行動履歴(各社員がどんな営業活動を行ったか) ・物件別行動履歴(特定の商品を売り込むためにどんなアプローチを行ったか) ・時間当たり粗利益順位表 ・未訪問客一覧表…など、 様々な形で取り出すことができ、経営者や管理者はこれによって営業活動を分析し、戦略を立てることができる。 Bこれにより情報の共有化、ペーパレス化が進み、トップの迅速な意思決定が可能になった。 取材先 中部コンピューター 取材 1997/06/26 掲載先 燃えよリーダー 1997/08 |
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【110603】 納期までの道筋を見える化する | ||||||||||||||||
■精密機械製造業、田中精工は、営業がとってきた注文→CADによる設計→NCプログラマーによるCAMデータの作成→NCマシンによる切削加工→人手による仕上げ加工…など、納期までの工程をどこまで進んでいるかが、社内ネットワークで誰にも見えるシステムを作った。 ■ネット上の予定表と実績表に関係者1人ひとりが毎日どんな仕事をどれだけやったかを入力し、それを見て、納期を確認しながら仕事を進める。 ■たとえば、営業が商談中の物件は技術が見て準備を始めるし、設計がいつごろ完了するかがわかれば、製造は材料を手配し、加工の日程を組む。工程と工程の間に隙間があれば、それが見え、それを埋めて納期を短縮しようという工夫が自然に生まれる。 ■自分の担当領域で遅れを出せばそれも全員に見えるから、みんな必死になって頑張る。これによって、無駄がなくなり、納期が短縮され、1人ひとりの役割が明確になり、結束が強まり、成果主義的傾向が強まった。 取材先 田中精工 取材 2002/07/08 掲載 燃えよリーダー2002/08 |
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【110604】 人・物・金の運用を最適化する | ||||||||||||||||
■消防自動車製造業、モリタの受注は、行政の年度が改まってしばらくたった毎年7月ごろに集中し、9月から翌年1月ごろまでが製造のピークになる。そこで、余裕のある時期に汎用品をつくり溜めしてきたが、それによって在庫が増えた。 ■ピークの山を崩して残業を抑え、在庫を圧縮し、必要なものを必要なだけつくる体制をつくるために、統合業務パッケージシステム(ERP=Enterprise Resources Planning)を導入した。 @製造・間接・販売など全部門の人・物・金の流れをリアルタイムにとらえるために関係者全員がそれをシステムに入力する。たとえば、製造現場では一人ひとりが「工数自動集計ボード」を持ち、その日、どのオーダーの作業に何時間かかわったかを入力する。これにより今の経営状態がどうなっているかがわかり、それをどう変化させれば結果がどう変わるかの見通しを立てることができ、最終的には貸借対照表まで自動的に作成できる。 Aこれにより、営業マンが受注したひとつひとつのオーダーをどんな順番でこなしていったらよいか、各受注品目を構成する部品をいつ手配するのがよいか、人をどのように配置し、工場間、部門間でどのように異動させればピークの山を崩せるか、ムダな残業をさせずに済むのか、などのシミュレーションが可能になる。その中の最適の選択肢を選んでいけば、誰が何をいつまでにするべきかの仕事のオーダーはコンピュータが出してくれる。 B人事・経理・事務作業など、 人・物・金の最適の運用を考えてきたスタッフや管理監督者の仕事のかなりの部分はシステムが肩代わりしてくれるようになり、ムダな残業をすることなく、つくり溜めによって過剰な在庫をかかえることもなくなった。 取材先 モリタ 取材 2002/07/03 掲載先 燃えよリーダー 2002/08 |
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【110605】 分散した工事現場を一元管理する | ||||||||||||||||
[改善前] 1軒の家を建てるための何百もの工程がどこまで進んでいるか、正確には現場に出向いて大工さんに聞かないとわからなかった。そのため、、ひとつの仕事が完了してから次の手配をすることになりがちで、工程と工程の間には無数の隙間があった。 [改善後] このムダを排除するために、NACSS(Network Aided Construction Ssupport System)というシステムを開発導入した。 @設計担当者が住宅の設計仕様を決めるとき、部材の基本的な仕様をコンピュータに登録しておき、選択画面上で項目をクリックすると品番が入力されるようにした。これにより部材の発注書が自動的に作成できるようになり、各現場で使う部材の発注を一本化して電子発注できるようにした。 A設計仕様が決まると工事担当者は工事を引き受ける工務店や工事店のパソコンとNACSSのインフラをつなぎ、ネット上で相談しながら工事計画を作成する。関係者全員がこの工事計画を見ながら工事を進める。 B実際の工事がどのように進められたかは、大工や職人の携帯電話にNACSSから進捗状況を確認するメールを自動送信する。その回答が実績欄に自動的に書き込まれ、工事がどこまで進んでいるか、関係者に見えるようになった。 これにより、全国4000の現場の仕事が一元的に管理できるようになり、大工、職員を含めた関係者全員の生産性を向上。注文住宅1軒を作るのに必要な日数を大幅に短縮した。 取材先 住友林業 取材 2002/06/17 掲載先 燃えよリーダー 2002/08 |
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【110606】 在庫を抑え、新鮮な品揃えを可能にする | ||||||||||||||||
■コンビニエンスストアのPOS(Point of Sales、販売時点管理)システムは数千アイテムの商品について常に売れ筋商品を揃え、高度な鮮度管理を可能にしている。 ■コンビニのレジは店のパソコン(ストアコントローラー)につながっていて、品名・数量・販売価格などの情報を打ち込むとそのデータがパソコンに送られ、これにより時々刻々変化する在庫量が数千アイテムについて自動的に把握される。 ■データの積み重ねによって季節ごと、曜日ごと、時間ごとの売れ行きを予想して、あらかじめ設定されたミニマム在庫量を切りそうなものについてだけ本部に発注すれば、配送センターから通常品については翌日、鮮度保証期間が短い弁当などは1日に数回納品される。 ■このシステムの精度を高めることで、コンビニエンスストアでは常に在庫量を最小限に抑えつつ新鮮な商品を品揃えしている。 参考文献 国友隆一著「セブンイレブンのPOS革命」(1986) |
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【110607】 POSシステムで売れ行きを分析する | ||||||||||||||||
■時々刻々の来客数、単品ごとの販売数、単価…などのデータがバーコードから、お客様の居住地域がポイントカードから入力される。加えて、毎日の気象条件を入力している。これにより8000品目を単品管理すると、それぞれの商品をどれだけ仕入れて、どれだけ売れ、今どれだけ残っているかがリアルタイムでわかる。 ■これを分析すれば、何曜日のどの時間帯のどんな気象条件の時にどんな人がいくらで買っているかがわかり、それに合わせて仕入れ量を決め、陳列を工夫する。売れるものはフェイスを増やし、売れ行きの悪いものはフェイスを減らす。 |
スーパーマルマツの外観と店内 |
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【110608】 POSシステムでサービスをレベルアップする | ||||||||||||||||
■理美容店の商圏はおよそ半径500メートル。その範囲のお客様に何度も来店して貰えるかどうかが、経営の成否を分ける。そこで、再来店率を把握するために来店したお客さまには受付で名前を書いてもらい、その名前のデータを日時、店名、サービス担当者名、サービス内容などとともにデータベース化。それぞれのカテゴリー別の再来店率をはじき出せるようにした。 ■これにより、どの店のそのスタッフのどんなサービスがお客さまから支持されているかを分析し、その結果を会議や研修会で示して、横展開を図っている。 |
イオンモール木更津店(上)と幕張ベイタウン店 |
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【110609】 介護サービスを標準化・システム化する | ||||||||||||||||
■たとえば「入浴」は「入浴準備→脱衣→浴室移動→入湯→洗身→洗髪→すすぎ→出湯→体を拭く→着衣→髪を乾かす→居室への移動」という一連の行為に分解できる。さらに、例えば「入湯」という行為は「片方の足を上げ浴槽をまたぐ→もう片方の足を上げ浴槽をまたぐ→膝を曲げ湯につかる」という動作に分解できる。 ■ケアマネジャーは最初に利用者宅を訪問した時に、どんな介護サービスを希望するかを聞き、本人を観察し、この手法で必要な介護動作を決定して、介護の仕事を標準化する。 ■これにより、ヘルパーによる介護報告書の作成は、介護サービス項目をチェックし、所要時間を記入するだけになる。事務所で行う介護給付費請求書、明細書の作成も自動化され、利用者が基本的ADL(Activities of Daily Living:排泄、移動、食事、更衣などの日常生活活動)を自立的に行っているかどうか、その傾向をグラフに表示させることができる。これらがヘルパーの仕事の質を高め、利用者の満足度を高めている。 取材先 イトーファーマシー |
介護サービスの現場(上)と サービス完了を報告する携帯画面 |
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【110610】 仕事を見える化し責任を持たせる | ||||||||||||||||
■注文が増え、さらに多くの人数が必要になり、新らたに社員を採用すると、彼らにそれまでと同じような徹夜の働きを求めるわけにはいかなくなり、次のようなシステム的対応を工夫した。 ■オフィスルームにモニターを設置。画面上に工場内のプレス機やレーザーカッターなどの装置の画像を映し出し、電源が入るとその色が変わり、稼動するとアニメーションで動くようにして、全工程の稼働状況が一目でわかるようにした。 ■職場にネットワークを張り巡らせ、バーコードのついた作業指図書を、図面や作業手順書とともに担当工程に渡す。作業者は作業に入るときと終了したときに、作業指図書と自分の名札のバーコードをバーコードリーダーでなぞることにした。これによりその工程を何時から何時まで誰が担当していたか記録が残るようになった。 ■これにより、パソコンの画面を開けば進捗状況が確認でき、顧客からの問い合わせに、「今日中には上がります」「明日にはお届けできると思います」と答えることができるようになった。
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工場内部と事務所内のモニター |
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