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TT化‐1107 Fネットを事業展開にいかす BACK
インターネットを営業活動に活用した事例を集めました。
  このページの掲載事例→ ●110701 ネットを利用してマイホームプランをつくる
●110702 不動産情報サイトをつくる
●110703 機械工具のネットショップをつくる
●110704 葬儀手順、費用見積りをネットで見られるようにする
●110705 求車求荷情報をネット上でマッチングさせる
●110706 シニア世代のための遊園地サイトをつくる
●110707 釣りサイトを立ち上げる
●110708 同窓会サイトを立ち上げる
 
 【110701】 ネットを利用してマイホームプランをつくる  

■マイホームをつくるとき、工務店の営業マンがお客様の要望をきき、設計事務所がそれに基づいて設計図面をつくるが、お客様の要望の細部まで設計事務所に伝わっていないことが多い。そこで、翔建築設計事務所(栃木県今市市)ではインターネットを通じて直接お客様の要望を聞くことにしている。

■同社のホームページを開くと「理想的マイホーム調書」というフォームが出てくる。マイホームのプランづくりを依頼する場合は、ここに家族構成、予算、理想の家のイメージ(洋風、和風、木造、鉄骨、平屋、2階建などの別)希望の部屋数、風呂やキッチンの大きさやタイプなど22項目に記入し、電子メールや郵便で送る。同社はこれに基づいてCADで平面図、立面図などを作成。電話やFAXで詳細を詰めて2週間以内に依頼者に図面を郵送する。

■お客様と直接会って打ち合わせながらプランを練り上げる場合と比べると費用は6分の1から7分の1で済み、短時間でお客様の要望を確実に満たしたプランを詰めることができる。

   
 
 【110702】 不動産情報サイトをつくる  
 

■大阪の中堅不動産業12社が共同で作った「あっと住まいる」というサイトでは、地図上の電車の駅をクリックすると最寄りの不動産物件の検索画面が現れる。賃貸、分譲、一戸建て、事務所、店舗などの別と家賃、価格、広さなどの条件を入力すると該当する物件が一覧表で表示され、さらに、物件名をクリックすると間取図と建物の外観写真と駐車場・風呂などの設備の情報が現れる。

■不動産というのはネットに載りやすい商品である。間取図と写真があれば、ほぼその商品を説明できる。チラシで紹介できる点数は限られているが、インターネットならただ同然で何百、何千の商品を載せることができる。ほとんどの情報を他と見比べた上で最後に現場確認のために来店されているから、ネットを見て来られたお客様は、現場をご案内するだけで、なるほど思っていたとおりだとか、思っていたのとちょっと違うな、ということでその場で話が決まる。チラシのお客様よりもずっと成約率が高くなる。

■「あっと住まいる」の立ち上げを提案したのは茨木市内の不動産業、穂積住宅の景山修二社長。自社版ホームページを検討したが、ネット上には無数のホームページがひしめき合い、正確なアドレスを知らせない限り自社のホームページを開いてもらうことは不可能に近い。そこで、「これからはネットで仕事する時代になる。だが、1社の力はたかが知れている。一緒に力を合わせてやりませんか」と仲間の不動産業者一軒一軒に声をかけて回った。

■大阪の北摂地域を中心にJRと私鉄の各駅についてテリトリーを決め、地域的に競合しない会社を次々仲間に加えていった。当初は見向きもされなかったがコンテンツを少しずつ改良し、アクセスの実績ができてくるにつれて12社がグループに加わった。グループ各社は「あっと住まいる」の制作資金を分担しあい、掲載様式を統一して自社の取り扱い物件を貼り付けている。丁寧な作りこみ、一点一点に例外なく間取り図と外観写真を付けたこと、物件の重複がないこと、大阪から神戸まで広範な地域をカバーしていること、などが新聞雑誌に取り上げられるようになり、アクセスは毎日数十件。グループ企業を徐々に増やし、近畿全域をカバーするサイトに育てたいと景山社長は考えている。

       
 
 【110703】 機械工具のネットショップをつくる  

機械工具卸商、シミヅ産業(大阪西区立売堀)のホームページにはインターネットショップのページがある。パスワードを持った販売店が商品コードと数量を打ち込むとリアルタイムで本社のホストコンピュータにつながり、自動的に在庫を調べ出荷可能日時と顧客ごとに取り決められている割引率に基づいた価格が表示される。「TELにて回答」という表示が出た場合は、在庫がなくメーカーに手配していつになるかを電話するという意味。商品コードがわからない場合は一覧表の中からメーカー名、商品グループ、型番を順にクリックしていけば自動的に商品コードが入力される。最後に「発注処理」を選ぶとホストコンピューターで受注状態となり、受注ナンバーと「確かに受注いたしました」との確認表示が現れる。さらに顧客は自社の過去一年間の発注記録を見ることもできる。このネットショップには機械工具の標準品約10万点が登録されている。

■機械工具業界で取り扱われる商品は優に100万点を超える。それだけ多品種の商品を間違いなく在庫管理するにはどうしてもコンピュータが必要で、そのために同社はいち早くコンピュータ化を進めてきた。1973年にコンピュータを導入、85年には全国の営業所を専用回線で結んでオンライン化。90年に機械工具業界でメーカー・卸商・販売店を包含する機工VANを立ち上げたときは、卸商では最も早く接続し協力推進したが中小のメーカー・卸商・販売店の多くがVANに参画できるだけの設備や技術力を備える前に世の中はVANよりも汎用性の高いインターネットの時代に入った。ネットショップを開設したのは1998年から。現在ネットショップを利用する得意先は百数十社、全体の5%程度である。

■「機械工具の販売ではどんなときにどんな機械や工具を使えばよいかのコンサルティングセールスのウエイトが高く、やはり十分な商品知識を持った営業マンを介しての取引が中心です。しかし、標準品については早くて便利なネットショップに移行するでしょう。将来的にはすべての取引の二〜三割までネットショップがカバーするだろうと見ています」電算室長の前田進二さんの話である。

   
 
 【110704】 葬儀手順と費用見積もりをネットで見られるようにする  

造園業、墓石・墓地販売から葬祭業に進出したニチリョクのホームページを開くと葬儀の手順と定額70万円の範囲内でどこまでのことができるかがわかる。生花祭壇のデザイン例を見ることができ、オプションを組み合わせた場合の見積もりを依頼できるほか、生前に自分の葬儀を予約したり、催事場予約、訃報の配信などができる。「いま、天寿をまっとうされたお父様、お母様のお葬式を出そうという人たちはある程度パソコンを使いこなしている世代です。しかも、葬式という性格上『親父はもうダメかもしれない』と思っても人に聞くわけにはいかない。その点、ネットなら気兼ねなく問い合わせができますから…」と寺村久義社長は語っている。

   
 
【110705】 求車求荷情報をネット上でマッチングさせる   

■大阪の中小運送会社は大阪から全国各地にトラックで荷物を運ぶ。荷物を降ろした後の帰りの荷物は目的地の同業者や団体に電話を入れたりFAXしたりして探すが、個人や1企業で集められる情報量には限りがあり、60〜70%は空車で帰ってくる。そこで、エス・ティー・アイ(大阪市淀川区)は全国の中小運送会社と荷主を対象に会員制でインターネット上でマッチングさせることを事業化した。

■荷物を送りたい荷主会員は同社ホームページの求車申込欄に集荷場所、送り先、日時、荷物の形状などを登録する。運送業者は求車情報検索画面で、いつからいつまでの期間にどの地域からどの地域に向けた荷物が欲しいという条件を記入するとそれに合致した求車情報を見ることができる。マッチングの方法はオークション方式と指値方式があり、欲しい荷物を見つけた業者会員は、指値方式の場合には契約ボタンを押せばその荷物が取れ、オークション方式の場合は金額を入力して参加ボタンを押し、締切時刻までに参加した業者の中で金額が一番低かったときに荷物がとれることになる。

■宇野栄一社長は、運ぶ側と荷物を出す側の両方の仕事を経験して、大手運送業者が自社の名前で受けた仕事のかなりの部分を下請けに回しており、実際に汗を流している中小運送業者に渡る運賃が大手が引き受けた金額よりずっと少ないという実態に疑問を感じていた。規制が緩和されネットビジネスが開けたこれからの時代は、額に汗して働く中小運送業者にもっと元気になってもらいたいと考えたという。

■業者会員の入会資格は厳しく、1軒1軒訪問し運送業免許証、貨物保険の保険証の提示を求め、同時にトラックが駐車場にきちんと整備されているか、社員の挨拶やマナーができているか、などをチェックしている。また、業者を使った荷主からアンケートを求め、その結果に応じて業者会員を格付けし、結果を公表している。

■ベテランの配車係による電話でのフォローにも気を配っている。荷主による求車申込にも、業者の求荷申込にも、洩れや疑問点があればエス・ティ-・アイから配車係が確認の電話を入れるし、マッチングができて契約が成立するとその旨のメールを荷主と業者に自動送信するとともに、それと前後して配車係が必ず確認の電話を入れている。なかなか車が見つからない荷主や、荷物が見つからない業者の相談にも乗り、マッチングが成功するようアドバイスする。ネット上だけの機械的なやり取りに任せてしまうとトラブルの元になる。ネットの便利さとともに人間系のフォローがマッチングを成功させ、荷主と業者から支持される要因になっている。

   
 
【110706】 シニア世代のための遊園地サイトをつくる   

■シニア世代は時間とお金を持っている層である。ネットから遠い存在と見られてきたが、ほとんどの人はまだまだ元気でパソコンを習いたいという人が半数を超えるという統計結果がある。潟Xローネット(松岡邦哉社長)はそのシニア世代に向けたサイトビジネスを立ち上げた。

■「サラリーマンは定年退職して仕事を離れると仲間がいない。セカンドライフを始めるのに何から手を着けていいかわからない。そういう人たちに情報を提供しながら自分を発見でき、仲間を作れる、知的で冒険的な大人の遊園地のようなサイトを作りたい」そんなねらいから作られたサイトは500ページを超える。俳句や写真を投稿して添削を受けられる「楽習講座」、資産運用やパソコンに関する相談に応える「ライフプラン相談室」、産地直送の有機野菜などを販売する「これぞ逸品マーケット」、短歌・俳句・川柳・写真・旅・音楽・園芸、ボランティアなどのジャンルごとに仲間が語り合う「ふれあい広場」などのコンテンツがあり、一方的に情報を流すだけなく、自ら参加し、書き込み、作品を投稿できるページが多い。書き込んでも何の反応もないということがないように、書き込まれた内容に必ず何か応えてくれる協力スタッフも配置。いつも新鮮な情報を提供するために各ページは頻繁に書き換えている。

■スローネットは当初有料会員制で、ほとんどのページが入会登録しないと見られない構造になっていたが、後にほとんどのページを見られるようにし、書き込んで参加する場合には会員登録が必要だがその場合も会費は無料とした。別途有料会員だけが参加できる特別のページを作り有料会員だけのいくつかの特典を設けている。また、当初はBツーCで計画したビジネスだったが、BツーBツーCへの再編を模索。様々な企業がシニアのお客様にアプローチしようとしている中で、顧客サービスとして、顧客に対する特典として、あるいは顧客の囲い込みの手段として同社とタイアップできる相手を捜している。

 
   
 
【110707】 釣りサイトを立ち上げる   

■月間300万件のアクセスを誇る「mamboo」という釣りサイトがある。全国の釣り果情報や、釣り堀公園・釣り船・民宿の案内など、情報料は6500ページに及び、魚種・釣りをする日・場所を入力するとたちまちいつが釣れどきかがグラフとなって表示される。つまり釣りの成果を予報してくれる。

■これには潟iンバーアイの坂井廣社長が15年にわたって収集してきた「いつ、どこで、どんな魚が釣れたか」の2万5000件のデータベースが使われている。魚は釣れるときは釣れるが釣れなくなったら全く釣れなくなる。魚の食餌行動は胃が空になったから食べる、いっぱいになったから食べないというのではなく、外からの何らかの信号が影響している。その信号が来ればお腹が減っていようと減っていまいと食べる。その信号が太陽・月・地球の位置関係による潮の満ち干など天体の運行と関係しているらしいことを知り、自分で集めたデータについてどんな天体の運行が影響を与えているかを解析した。それがこのサイトの釣り予報のベースになっている。

■情報量は無料。リンクを貼り付けるリンク料とバナー広告が収入源である。
 

 
 
【110708】 同窓会サイトを立ち上げる   

■小学校から大学まで全国約5万校を網羅する「ウェブ同窓会・この指とまれ!」というサイトがある。都道府県名と小学校・中学校・高校…などの別を入力すると該当する学校の一覧表が現れる。自分の母校を選ぶと登録画面が出てくる。メールアドレス・氏名・卒業年次・学部・学科・パスワードなどを入力すると、同窓生一覧を開くことができるようになり、そこで懐かしい同窓生のメッセージを見たり書き込んだりすることができる。同窓生のメールアドレスを直接見ることはできないが、氏名をクリックすれば相手に電子メールを送ることができ、相手から返信が来ればその後のメール交換が可能になる。

このサイトを作った小久保徳子さんはもともと大手コンピュータサービス会社のシステムエンジニアだった。しかし、「会社の女性社員に納まっているだけでは十分にやりたいことがやれない。もっとお客様のために役に立つ仕事がしたい」と故郷の長崎でソフト開発会社を設立した。

■あるとき20年ぶりの高校の同窓会の幹事役を頼まれたが、多忙で引き受けることができず、実際のお手伝いに代えてインターネットを利用した同窓会サイトを作った。「そのとき先輩のすすめで母校だけでなく、私たちが困っていることは、日本全国民困っているはずだから、いっぺんに作ってしまおうということになった」と小久保さんは語っている。これが「この指とまれ!」(略称ゆびとま)のはじまりで1996年のことである。当初は長崎の学校を電話帳から探して約300校を登録。その後インターネットを通じて知り合った全国の友人から他県の情報をもらい、ついに5万校に至った。「ゆびとま」のユーザーの利用料は無料。収入源はバナー広告などによる広告収入で、学校の所在地に応じた郷土情報のページや「ふるさとモール」などの地域情報が掲載されている。

   
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