改善の事典  》 第6章  設備  》 解説
 
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 解説   「設備」とは
 

同じものを大量に生産するには大規模な設備が必要です。この設備に係る投資コストは、装置産業では人件費よりも大きくなることが少くありません。設備にかかるコストは製品を売った代金で回収しますから、経営者は早いうちに、できるだけたくさん作って、たくさん売って、早く設備投資コストを回収したいと考えます。

そのために資本主義の初期の段階では、昼も夜も設備を動かし続け、そのために労働者に12時間を超える長時間労働を強いました。労働者がそのことに反対したことがきっかけで、イギリスでは1833年に「工場法」が成立し、歴史上初めて国によって労働時間が規制されるようになり、それが世界中で労働者保護法制が始まる端緒となりました。ともあれ、設備には大きなコストがかかっており、それをできるだけ早くを回収するために稼働率を高めたいというニーズは昔も今も同じです。

設備が故障すると普通は保全担当者を呼んで修理します。担当者が修理している間、生産ラインは止まり、オペレーターは手待ちの状態になります。その間も賃金は支払わねばなりませんから、大きなコストのムダが発生します。それを避けるには、オペレーターが休暇をとっているときに定期的計画的に点検補修して、普段、できるだけ故障が起きないようにしなければなりません。さらに設備の状態を日々注意深く観察し、小さな異常を発見した段階ですぐに手を打てるようにしておけば、たとえ故障が起きても設備の停止時間は最小限に抑えることができます。

そこで、1980年代頃から、保全専門の担当者だけでなく、その設備を操作しているオペレーターにも設備保全の役割を分担させ、彼らに設備の5Sと日々の点検注油を行わせ、気づいた点を積極的に改善させるというTPM活動が行われるようになりました。設備とその周辺を徹底的にきれいに磨き上げ、設備の構造と各部分、ネジ1本、ボルト1個の働きまで理解させて、設備の状態を把握し、常に正常に稼働させるための改善を積み重ねる活動を展開したのです。
このTPM活動の中で設備を効率的に活用するための改善が次々生まれました。この章ではその事例を紹介します。

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