絵で見る創意くふう事典  》 第15章 地域  》 人々の交流の場をつくる
 
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地域-1501 人々の交流の場をつくる BACKNEXT


 このページの掲載事例→                ●150101 クチコミの達人  
 ●150102 会員厚生会をつくる
 ●150103 高齢者のサロンをつくる  
 ●150104 幼稚園児と一緒に遊ぶ 
 ●150105 元暴走族少年と交流する  
 ●150106 少女たちの自分探しを応援する
 ●150107 手話教室で女子学生と交流する
 ●150108 大学生をシルバー運営に参画させる
 ●150109 人口減と高齢化の課題解決先進地をめざす
 ●150110 全市を挙げて過疎化と高齢化に対応する
 
【150101】クチコミの達人  


■多治見市シルバー人材センターの会員、勝川岩矩さんは、仲間をシルバーに引き入れる達人である。勝川さんが声をかけるのは次のようなひとたちである。

・家にこもった孤独な生活から抜け出て、仲間と一緒に働くことに喜びを見つけられる人
・それまでに蓄積した知識経験を生かして世の中に最後のご奉公をしようという気持ちになれる人
・健康で働き続けられる人

■入会した人たちはそれぞれの分野で頑張っている。その人たちに勝川さんはこんな風に言っている。「精一杯頑張ってください。シルバーの人たちは立派な人たちばかりだと言われるようになれば、それが後輩たちの道を開くことになります」と。

取材先 多治見市シルバー人材センター
取材 1999/04/09
掲載 
月刊シルバー人材センター199907

 
【150102】会員厚生会をつくる  


■泉大津市シルバー人材センター(大阪府、会員数853人)は1999年に会員厚生会を設立。シルバー会員全員が厚生会の会員となり、会費はセンター会費と同額の1人当たり600円でセンター会費と合わせて1200円を一括徴収している。厚生会は会費、センターからの助成金、その他の寄付金を財源に次の様な活動を行っている。

@日帰りバス旅行。毎年1回夏に開催。参加者負担は5000円で、これは昼食代にあてられ、バス代は厚生会が負担している。

A1999年には大阪府シルバー人材センター協会主催のフェスティバルに参加し、会員の作品を出展。さらに地場産業の毛布とマフラーの販売を行った。

B初詣バスツアー。毎年1月に実施。

C次の同好会に年額各3万円を助成している。

銀遊会(毎年春と秋に一泊旅行を行なう)/写真同好会(月1回例会を開いて作品を持ちより寸評する)/ハイキング同好会/ボウリング同好会/すみれ会(女性会員の同好会で、調理実習、手芸作品づくり、年賀状の書きかた講習、ハイキングなどをおこなっている)/将棋同好会(週2回の例会と年2回のトーナメント対局を実施)/唱和会(カラオケの会)

D慶弔見舞金の給付

取材先 泉大津市シルバー人材センター
取材 2000/0/11
掲載 
月刊シルバー人材センター200011 

 
【150103】高齢者のサロンをつくる  

■下呂市シルバー人材センター会員の大西照子さんは公民館で「うきうきサロン」  という高齢者の集まりを主催し健康体操を指導している。

■自分が世話をするつもりでいた実家の両親も嫁ぎ先の両親も他界し、出来なかったお世話を地域の高齢者にさせてもらおうとホームヘルパーの資格を取った。

■その資格取得の勉強会で、高齢者は1日に3人以上、家族以外の人と話さなければならないと聞いたことがきっかけで、仲間と一緒に「うきうきサロン」 という託老所を始めた。

■一緒に健康体操をして、お年寄が喜んでくれるのを見るのがOさんの健康法であり、いきがいであるという。

取材先 下呂市シルバー人材センター
取材 2008/05/27
掲載 
月刊シルバー人材センター2008/10
 ←うきうきサロンの健康体操
 
【150104】幼稚園児と一緒に遊ぶ  

■八幡市シルバー人材センター(京都府)は隣接する八幡幼稚園と交流している。シルバー会員が園児たちに竹とんぼやお手玉など、昔遊びを教えたのがはじまりで、やがてコーラスグループを作って一緒に歌を歌ったり、お餅つき、クリスマス、誕生会などを一緒に祝ったりするようになった。

■園児シルバー会員のほか、お母さんたちや民生児童委員も加わり、市民祭の舞台に上がって「狼とこやぎ」などの寸劇を演じている。

■「シルバーさんは、街で出会っても、おはよう、こんにちはと声をかけてくださり、ゆったりおおらかに子供たちに接してくださる。それがありがたい」と幼稚園長はいわれる。

取材先 八幡市シルバー人材センター
取材 2006/10/26
掲載 
月刊シルバー人材センター200701

 ←幼稚園で「狼とこやぎ」を演じる
 
 【150105】元暴走族少年と交流する  

■健康体操を通じてみんなに元気にする活動のインストラクター研修を受けた元暴走族少年が、府中町シルバー人材センター(広島安芸郡府中町)の運営するシルバーサロンの健康体操の指導にやってきた。

■明るい表情だったが、腕に女の子との約束で彫った刺青があった。「あんた、こんなもん彫って…。痛かったろう。こんな痛い目せんでもよかったのに…」健康体操を教わった高齢の婦人がそう話しかけた。彼は恥ずかしそうだったが、嬉しそうに婦人を見つめたという。

■「シルバーは、みんなが元気になる心の触れ合いを作りりだしています」シルバー事務局担当者の話だった。

取材先 府中町シルバー人材センター
取材 2009/07/22
掲載 月刊シルバー人材センター200910
 

 ←シルバーサロンの健康体操
 
【150106】少女たちの自分探しを応援する  


■府中町シルバー人材センター(広島県安芸郡)は、託児事業「シルバーママサービス」を運営しており、10人程度の小さな子供たちをシルバー会員たちがお世話をしている。 

■これに1518歳の少女たちが参加している。いじめなど様々な理由で不登校になり心に傷を負った少女たちで、彼女らが通う高校が「シルバーママサービス」を「トライアルレッスン」の場として位置づけたためである。 

■「人と話すのは苦手でした。でも、子どもたちの中にはすっと入ることができ、そして大人の人ともだんだん話せるようになりました」と少女たちが言う。 

■シルバー会員たちは、クリスマス会や節分などのイベント企画や飾り付けを少女たちに任せている。それが自信となり、自分の道をみつけ、彼女らはこの春、3年生たちは将来の幼児教育を目指して短大や大学への進学を決めている。

取材先 府中町シルバー人材センター
取材 2011/03/15
掲載 月刊シルバー人材センター2011/06

 ←シルバーママサービスのクリスマス会
 
【150107】手話教室で女子学生と交流する  


■山口市シルバー人材センターの「にこにこサロン八坂の家」は、介護予防、認知症予防のための学び合い・ふれあいの場で、みんなで歌う会、絵手紙教室、手芸教室などと並んで手話教室があり、山口県立大学の手話サークルの女子学生が講師を勤めている。

■教室は毎月2回、手づくりのイラスト入り手話テキストを見ながら、「今日は○月○日です」「『にこにこサロン』というときはこんな風にやります」など、参加者の質問に女子学生が答え、最後に手話歌で「きらきら星」と「花は咲く」を歌って終わる。

■女子学生にとってはボランティアの活動だが、「手話を通じて知らなかった人とコミュニケーションがとれ、人の輪が広がるのが楽しい」という。

取材先 山口市シルバー人材センター
取材 2013/11/06
掲載 月刊シルバー人材センター2014/01
   

 ←にこにこサロンの手話教室
 
【150108】大学生にシルバー運営に参画させる   

■大阪商大では、社会的問題解決能力を備えた人材の育成のために、社会の現場に出て実際の問題に触れ、解決方法を提案するフィールドワークゼミナールを展開している。その一環として経済学部の豊山宗洋教授は東大阪市シルバー人材センターに提携を申し入れ、同センターはそれを受け入れて、ゼミ生たちにシルバーの運営に参画・提言させている。具体的には…


@月2回開催される入会説明会に学生たちが参加。入会希望者の受け付け、資料配布などを手伝っている。

A入会説明会参加者に、説明会をどこで知ったか、どんな目的で参加したか、内容に関してわかりにくかったことなどをアンケート調査。その結果をセンター内の報告会で発表。また、会員の就業の様子をビデオに撮り入会説明会で上映している。


Bセンター会報の編集委員会に参加。会報編集やセンターホームページについてさまざまな提案を行っている。


C他センターの女性会員増強策を訪問取材しセンターに報告。センターの女性会員増強策検討に役立てている。


D市内の「ふれあい祭」で「会員募集・仕事募集」の看板をつけたサンドイッチマン姿でシルバーをPR。シルバーのウィンドブレーカーを着て会場内の清掃奉仕活動をしている。


E大阪商大の大学祭でシルバーのPRのために「おばあちゃんのとん汁の店」を出店。シルバーの女性会員とともに来場者にとん汁を振る舞っている。


取材先 東大阪市シルバー人材センター
取材 2015/02/16
掲載 月刊シルバー人材センター2015/05
  
 ←ゼミ生たちによる報告会 
 
【150109】人口減と高齢化の課題解決先進地をめざす    


2004年の6町合併によって誕生した島根県雲南市は「人口減と高齢化の課題解決先進地をめざす」という目標を掲げ、次のような取り組みを行っている。

■過疎化の進んだ市域の隅々まで行政サービスをいきわたらせるのは難しい。そこで小学校区単位で地縁型組織を編成。住民から選ばれた会長と常勤事務局長の下で、市からの交付金や指定管理料を財源に高齢者の見守り、買い物支援、子供たちの見守り、スポーツ大会、料理教室、健康教室…などを行っている。

■子供たちの地域への理解と愛着を深めるために、教育委員会山本学校の先生たちが中心となって、学校ごとに市内各地を巡り、地域の歴史と文化を学んだり、地域で頑張っている大人たちの話を聞くなどの催しを行っている。

■若者世代に地域にとどまり、地域の課題解決に参画してもらうために、「幸南雲塾」という地域プロデューサー育成塾を開き、社会起業家として活躍している人たちの話を聞くなどして、地域のために何ができるかを考えるきっかけを提供している。入塾は必ずしも雲南市民でなくてもよい。

■「おっちラボ」というNPO法人を立ち上げて「幸南雲塾」卒業生たちの起業を支援している。塾生による起業事例として「訪問看護ステーション・コミケア」がある。広島・神奈川・東京で働いていた3人が「おっちラボ」の支援で経営の手ほどきを受け、市内の病院と連携してスタートさせたもので、その後、利用者も従業員も増えて順調に活動を進めている。

取材先 雲南市役所
取材 2017/02/20
掲載 リーダーシップ2017/04
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki190.html

 
幸南雲塾のディスカッション風景(左)と訪問看護ステーション・コミケアのスタッフ
 
【150110】全市を挙げて過疎化と高齢化に対応する   


■兵庫県北部の養父市は農業以外に産業がなく、過疎化と高齢化が進んでいる。その進行を食い止め、地域の活力を取り戻すために、次のような取り組みを行っている。

2014年に国家戦略特区の指定を受け、規制緩和により企業の農業参入に道を開いた。養蚕業者が農地でレンゲを栽培しハチミツを使った食品加工業を立ち上げ、機械メーカーが植物工場を建て水耕栽培を開始、酒造会社が酒米を栽培し酒造り事業を開始、高糖度トマト栽培、高級花卉栽培、農業レストランオープンなどが続いている。

■地域住民レベルでは、シルバー人材センターが休耕田を利用してシルバー農園を開園。野菜を栽培したり、独自ブランド米を栽培し、シルバー人材センターのネットワークで全国に販売している。

■阪神間の都会地の人々に棚田のオーナーになってもらい、日常管理はシルバーで引き受け、田植え、草刈り、稲刈り、収穫祭には養父市まで出てきてもらっている。

■古民家を改造した「みやがき結いの里」で子供たちの農業体験、未婚男女の婚活パーティなどのイベントを開催している。

■東京都健康長寿医療センター等の協力を得て「フレイル(虚弱)予防教室」のプログラムを作成。シルバー人材センター会員がその指導員となり、市内各所に集まった人々を対象に順次ストレッチ体操などの運動プログラム、栄養プログラムを実施している。

■これらの活動により、市内の入院患者数の減少、要介護認定を受ける人の平均年齢の上昇、子育て世代の市内移住による出生数増加などの効果が出ている。

取材先 養父市、養父市シルバー人材センター
取材 2017/03/21
掲載 リーダーシップ2017/05
探訪記 http://www.souisha.com/tanbouki/tanbouki191.html

 
↑都会地子供たちの農業体験(左)、フレイル予防教室指導員のシルバー会員たち
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