絵で見る創意くふう事典  》 第15章 地域  》 @困っている人たちの力になる
 
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地域‐1501 @困っている人たちの力になる BACKNEXT


 このページの掲載事例→                   ●150101 家事援助サービスを引き受ける  
 ●150102 高齢者家庭の困りごとを引き受ける  
 ●150103 お母さんたちの子育てを支援する@
 ●150104 お母さんたちの子育てを支援するA
 ●150105 デイサービスセンターまで送迎する
 ●150106 高齢者の話を傾聴する
 ●150107 障害を持つ人の自助具をつくる
 ●150108 子供たちの居場所をつくる
 ●150109 地域を安全・防犯パトロールする
 ●150110 脳トレサロンを開催する
 ●150111 市民の困りごと相談を仕分ける
 
【150101】 家事援助サービスを引き受ける nou 

198212月、広島市シルバー人材センターに1本の電話がかかってきた。高齢者夫婦世帯で2人とも風邪で寝込んでしまった。買い物や家事を引き受けてくれる人はいないだろうか、というものだった。当時の事務局員のKさんは深く同情してその仕事を引き受けた。
■会員の中から引き受け手をさがし、何十人にも電話をかけたが、その都度断られ、いよいよ自分がそのお宅に伺うしかないと思い始めたときに「私が行きます」と言ってくれる会員と出会った。これがシルバーにとっての家事援助サービスの最初だった。
■その後の広島市シルバー人材センター女性会員たちの家事援助ノウハウを元にマニュアルやビデオが作られ、現在は全国のセンターにこの仕事が広がっている。

   
シルバー料理講習会
 
【150102】高齢者家庭の困りごとを引き受ける  

■八代市シルバー人材センター(熊本県)では八代市の支援を得て「ワンコインながいきサポート事業」を展開している。
■高齢者家庭のちょっとした困りごとを100円または500円で引き受けることを通して、高齢者宅を訪問し、安否確認するというもの。
■たとえば、電球の取り換え、ゴミ出し、植木の水やり、食器洗い、洗濯物の取りこみまたは干すだけ…など10分程度でできるちょっとした困りごとを100円、1時間以内でできる買い物、資源ゴミ出し、洗車…などを500円で引き受けている。

   
電球の取り替え
【150103】お母さんたちの子育てを支援する@   

■山口市シルバー人材センターは「八坂の家」で親子サロンを開いている。お母さんたちはこの時間帯に子供を連れてそこに集り、会員に子供を見てもらいながらお母さん同士がコミュニケーションし、あるいはシルバー世代の会員に子育ての悩みを聞いてもらう。

■核家族化が進む中、知識も経験も乏しい若いお母さん1人では子育を担いきれない。そこで、地域のシルバー世代が支援の手を差し伸べようとして始めたものだである。

   
 
【150104】お母さんたちの子育てを支援するA  

■河内長野市シルバー人材センターの女性会員は「にこにこルーム」という託児施設を作っている。
■女性会員が改めて子育ての基本を学び、ポスターやチラシを手づくりしてPRを重ね、ようやく半年後に、毎日5〜7人の子供たちを預かるようになった。15人のメンバーは毎月反省会を開いて、子どもたちに安全第一で快適に過ごしてもらえるよう改善を図り、お母さんたちの信頼を築いてきる。

   
 
【150105】 デイサービスセンターまで送迎する  

■福井県大野市には多くの民間事業所があるが、若い労働力が不足しており、不足分を大野市シルバー人材センターが補っている。
■就業先のひとつに高齢者福祉施設があり、調理手伝い、食事の介助、洗濯、洗濯した衣類を畳む作業、施設の清掃、デイサービスセンターへの送迎などをシルバー会員が引き受けている。

 
デイサービスセンターへの送迎
 
【150106】高齢者の話を傾聴する  

■高齢者やその家族の話を「傾聴」し、心のケアをすることは、高齢者の老化や認知症を予防につながる。芦屋市シルバー人材センター(兵庫県)では心理カウンセラーや「いのちの電話」の相談員の経験のある会員が仲間を募り、「傾聴」の技術や進め方を研究して、それを事業化している。
■「傾聴」は一般的にはボランティア活動として行われるが、それでは事業の継続が難しいとして、有償事業化をめざし、高齢者の心を聴き分けられるプロとして、メンバーの傾聴技術のレベルアップに力を注いでいる。
■具体的には、基礎研修の後、聴き手と話し手に分かれた40時間のロールプレイと、特別養護老人ホームでの20回以上の傾聴実習を終了したメンバーに対して独自の認定試験を行い、その合格者だけが有償の傾聴サービスを行う。
■これと並行して同グループは「傾聴」の大切さの啓蒙にも力を注ぎ、市民を対象に「やさしい傾聴講座」を開講。市議会からも依頼され、議員研修として「これからの高齢者福祉と傾聴」の講演を行なっている。

   
 
【150107】障害を持つ人の自助具をつくる  

■障害を持つ人が日常生活で困難な動作を自分で行えるように工夫した道具のことを「自助具」という。彦根市シルバー人材センター(滋賀県)の「ひこね自助具開発工房」では会員たちが、障害を持つ人たちから依頼され、みんなで工夫しながら自助具を作っている。たとえば次のようなものがある。

   

[大根おろし、万能スライサー(写真右)]
大根おろし器に木枠を取り付け、木枠の底に出っ張りを付けて、それを調理台の縁に引っ掛けて固定できるようにし、片手で大根おろしや野菜のスライスができるようにしている。
[片手用マナイタ(写真左)]
連子状の平行線の網で野菜などまな板の上の食材を押さえ、平行線の間から包丁を差し入れて押し切る。包丁の柄は片手で体重をかけやすいように上向きに取り付けられている。

   
 [箸ホルダー]
利き手に障害が出ると箸を持ってものを挟むことが不自由になる。そこで、従来はピンセットのように上部をヒンジでつないだ箸が使われていたが、これだと、外食するとき、常にその箸自体を持ち歩かねばならない。そこで「箸ホルダー」を開発した、2枚の透明のプラスチック板を2カ所輪ゴムでとめたもの。この間に箸みプラスチック板中央部の突起を支点として箸を開閉させると、箸の先端を一点で合わせることができる。
   
[ソックスエイド]
膝や腰の悪い方が一人で靴下を履くための道具。縦に2カ所、切れ目を入れたプラスチック板の芯を布で覆い、紐を取り付ける。これを使うときは、片手でプラスチック板の切れ目に沿って三つ折りし、それを円筒形の治具に差し込んで固定する。その上から片手で靴下を被せる。そして、靴下を被せたソックスエイドを円筒形の治具から外して足先を入れ、紐を引くと靴下が履ける。
   

[ソリティア]
木製の盤上に縦横に穴があけられていてそこに駒(ペグ、杭)がはめ込まれている。駒は隣の駒の向こうに他の駒がないとき、それを飛び越えることができ、飛び越えられた駒は盤から取り除かれる。そのルールに従って駒を取り除いていき、駒が一つになったら成功。1人できるゲームで、脳トレグッズとして障害者施設や老人施設で活用されている。

   
 
 【150108】子供たちの居場所をつくる   

■神石高原町(広島県)は過疎地域で広大な地域に民家が点在している。大人たちは町内外の職場に通勤。働ける高齢者は農作業作業に従事しているため、子供たちは学校の放課後や休日、家にポツンと残されることになる。
■そこでシルバー人材センターが学校の放課後と夏休みなど長期休暇中、小学校の近くで学童保育館を運営。シルバー会員が日々見守るほか、座禅の会、運動会、クリスマス会などのイベントも開催している。ここに来れば子供たちは友達と遊ぶことができ、なくてはならない居場所になっている。

   
 
【150109】地域を安全・防犯パトロールする   

■神石高原町シルバー人材センターでは会員の一人がケガをしたことがきっかけで、安全へのみんなの注意を喚起するために「安全・防犯パトロール」活動を展開している。
■「安全・安心パトロール」という文字の入ったゴム磁石のシートを会員の車に貼っており、その車に乗って町中の人に「安全・防犯」を呼びかけながら就業場所に向う。
■道で困っている人が居たら、「どうしました?」「どこまで行かれるのですか?」「送りましょうか?」と声をかけている。

   
 
【150110】脳トレサロンを開催する  
■八幡市シルバー人材センター(京都府)は、女性会員が指導員となり、地域の自治会や老人会からの依頼に応じて「脳トレサロン」を開いている。
■たとえば、20人ほどの集まりで、いくつかのグループに分かれ、グループごとに1人ずつ順番に自己紹介する。その後、グループの全員が別室で少し変装してから元の部屋に戻り、さっきとどこが変ったかを他のグループが当てるというゲームをする。「スカーフをつけた」「上着の袖をまくり上げている」「靴をスリッパに履き替えた」など。観察力と記憶力を競いつつ、みんなでわいわい言い合いながら、頭を使って認知症予防をめざす。
■1時間半のメニューは毎回ほぼ同じメンバーが参加するので少しずつ変えている。そのために指導員たちは、月1回会議を開き、前回の反省を踏まえて次回もっと参加者を惹きつけるために工夫をこらすという。

   
 
【150111】市民の困りごと相談を仕分ける  

■佐賀市シルバー人材センターでは市民から市役所にかかってきた様々な困りごとの相談電話を市役所に変わってシルバーが受け、相談を仕分けして、適切な部署や適切な業者に取り次ぎ、併せてシルバーで引き受けられるものはシルバーで引き受けている。
市役所には従来市民から様々な困りごとの相談が寄せられ、その対応に時間をとられて、本来業務に支障が出ていた。そこでシルバー内に「市民生活ガイドセンター」を設置。市民にその専用電話番号を周知するとともに、市役所の代表電話番号にかかってきた困りごとの相談電話はすべて「市民生活ガイドセンター」に転送することにした。
「市民生活ガイドセンター」では市民の困りごとを聞いて、市役所の担当課に回すべきもの、シルバーで引き受けられるもの、専門業者の情報を提供するものに仕分けする。これによって市民と市役所、双方の便宜を図るとともに、シルバーが引き受ける仕事の領域の拡大をねらっている。
■かかってきた困りごと相談のうち、シルバーが引き受けた件数は約6割。多かったのは、ハチの巣の除去、蛇の捕獲、天井裏や床下の異音の調査とその原因の小動物対策などだった。

   
蜂の巣の除去作業
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