改善の事典  》 第8章 環境  》 解説
 
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 解説   「環境問題」とは


7万〜1万年前の地球の最後の氷河時代、海が凍り、シベリアとアラスカは陸続きになりました。人間はこの頃までにすでに火を使いこなし、毛皮を身にまとって、寒冷地への適応力を身につけていました。それによって、彼らは凍り付いたベーリング海峡を歩いてアメリカにわたり、さらにパナマ地峡を通って南米にまで至りました。最後の氷河期が終わろうとする1万2000年前頃でした。

当時の人間にとって、地球上のほとんどすべての地域は、途方もなく広大で、得体の知れない恐ろしげな未知の世界だったにちがいありません。だが、人間はやがて自分たちの住む地球が球形であることを知ります。ベーリング海峡を歩いて渡ったときから1万年後の1492年、コロンブスはスペインのバロス港からサンタマリア号で西に向かい、69日間の航行を経て、中米のサンサルバドル島に達して、アメリカを発見します。そして、そこからさらに500年を経た現代、航空機は東京・ニューヨーク間を12時間で飛び、アポロ宇宙船はわずか90分で地球の周回軌道を1周するのです。

未知の世界だった地球は、今やどこもかもよく見知った世界となり、小さく感じられるようになりました。人間の知見は今や宇宙の果てにまで到達しようとしており、その結果、ようやくわかったのは、広大な宇宙の中で自分たちの住める星が、この小さな地球だけでしかないということです。

ここまでの科学技術を築き上げる過程で、人間は膨大な量の地球資源を消費し、それをCO2に変えてきました。1万2000年前に数百万人でしかなかった世界の人口は今では72億人。この人数が毎日排出するCO2が地球の温暖化を招いています。現代社会は、大量の資源を投入して次々とモノを作り、それを消費することで経済を回しており、その過程で火力発電や自動車を走らせるために化石燃料を燃やし、あるいは消費の最終段階で廃棄されたゴミを燃やすことで大量のCO2を排出させているからです。

1972年に発表されたローマクラブの「成長の限界」は、あと数十年で石油が枯渇し、資源の枯渇と環境汚染によって100年以内に人類の成長は限界に達すると警告していました。その予言が現実のものとなりつつあります。掘削技術の進歩で資源が枯渇するまでの期間は少し先に延びたものの、大気中に放出されたCO2が温室効果を生み、地球温暖化を引き起こし、それによって極地の氷が溶けて低地が水没し始め、毎年のように異常気象が各地で頻繁に深刻な被害をもたらしているのです。

このままでは、地球はやがて人間の住めない星になってしまいます。そうならないうちに、大量生産大量消費の生活スタイルに終止符を打ち、リユース(繰り返し使う)、リデュース(使用量を減らす)、リサイクル(再資源化する)の徹底を通じて、資源の浪費を抑え、CO2の排出を植物が吸収できる範囲に抑えられるような循環型の社会を作り上げなければなりません。この章では、企業の現場で行われている環境対応の工夫を紹介します。


  
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