絵で見る創意くふう事典  》 第4章  作業  》 解説 「分業」と「能率」
 
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解説   「分業」と「能率」

1分でも1秒でも早く…と、私たちはいつも急いでいます。いつも時計を気にして、歩くときは早足で、約束の場所と時刻にギリギリで滑り込もうとします。でも、何のためにそんなに急ぐのでしょう? 1つ目の理由は時間がコストだからです。人の働きに対する報酬は、多くの場合、時間単価で支払われます。ぐずぐずして仕事に余分な時間をかけると、それだけコストが上がってしまうからです。

2つ目の理由は、もたもたしていると競争相手に出し抜かれてしまい、チャンスを逃してしまうからです。商取引の競争は品質、価格、納期の3つが決め手。品質と価格に大きな差がなければ、お客は納期が早い方の製品やサービスを買います。従って、製品
、サービスは、競争相手に先を越されないよう、最短の時間でお客様に届ける必要があるのです。

2つの理由から、経営者は労働者に、命じた仕事を間違いなく最短時間で処理することを要求します。経営者の意を受けた管理者は、そのために労働者に役割分担させ、1人ひとりの課業を明確にし、彼らがそれを間違いなく最短時間で処理できるよう指導し監督します。

命じられた仕事を間違いなく最短時間で処理する上で、普通、最初に行なうのは分業、役割分担です。何もかも1人でやろうとすれば、1人ひとりがオールマイティでなければならない。しかし、役割分担すれば、それだけ専門性が増し、習熟効果が得られやすくなり、仕事の正確さとスピードが向上します。

しかし、分業のメリットを享受するのは主に組織の側で、個人もそれによってより多くの分け前を手にするのですが、個人の側にはデメリットもあります。分割された小さな部分を長期間にわたって担当することで、視野が限られて、全体が見えにくくなるからです。それを避けるために、広い知識・情報の吸収、他職場の人たちとの交流、新しい仕事の分野へのチャレンジ…などが必要です。

命じられた仕事を間違いなく最短時間で処理するためには、「能率」の考え方にそって仕事を進めなければなりません。上野陽一著「能率学」によると、「能率」とはムリ・ムダ・ムラのない状態のことをいいます。

「ムリ」とは、仕事を完成させるために用意した手段、方法が小さすぎること。例えば、2人がかりでやっとこなせる仕事を1人でやろうとしたり、適切な道具があればすぐできることを素手でやろうとしたり、十分に準備してからやるべきことを準備なしに強引にやっつけようとすること。「ムリ」な仕事をすると、仕事の品質が低下し、それを手直しするために、かえって時間がかかってしまします。 

「ムダ」とは仕事を完成させるために用意された手段、方法が大きすぎること。例えば、1人で十分やれる仕事を2人でかかったり、工夫すればもっと簡単にできる方法があるのに、いつまでも時間のかかるやり方をしていたり、一言でわかることを説明するために膨大な資料を用意したりすること。仕事のすすめ方に「ムダ」があると、それだけ余分な時間がかかって、製品、サービスのコストを引き上げてしまいます。

実際の仕事の量は状況に応じて変動します。本来なら仕事を完成させるための手段、方法はそれに対応して変動させなければなりません。それができていないと、時には「ムリ」があったり時には「ムダ」が生まれたりというふうに「ムリ」と「ムダ」が、混在した状態が生まれます。これをを「ムラ」といいます。

それでは実際の職場ではどのようにしてムリ・ムダ・ムラをなくしているのでしょうか。この章では日常の作業の中のムリ・ムダ・ムラをなくし、最短時間で処理するくふうを紹介します。

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