改善の事典  》 第3章  品質  》 解説 「品質」とは
 
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 解説   「品質」とは 


昔、人々は何でも自分たちで作っていました。自分たちで獲物を獲り、農作物を栽培し、それを食べていました。器や道具類も自分たちで作って自分たちで使っていました。そのとき、多少の出来・不出来があっても、食べるのも使うのも自分たちだから、「まあいいや」と我慢していたはずです。ところが、収穫や生産が拡大してそれを交換するようになると、品質は重要な交換の条件になりました。相手を満足させる品質でなければ、交換が成立しないからです。

品質には「設計の品質」と「製造の品質」という2つがあります。「設計の品質」はいかに魅力的な製品を作り出すかという問題で、知識・技術・感性をどのように組み合わせ、どのような新しい魅力を生みだしていくかというアイデアが決め手です。これに対して「製造の品質」は、開発担当者が机の上で描いた設計図通りのものを、現実に大量に作り出すことができるかどうかが問われます。

家電製品に組み込まれる部品点数は何千点、自動車では何万点とも言われます。そのひとつひとつに何人もの人がかかわっています。高度の品質を作り上げるために、現代の仕事は寄木細工のようにピシッと役割分担が決まっており、工程は細かく分業が進んでいます。各工程を任せられた人はその役割を間違いなく果たさねばなりません。

誰かが間違ったやり方をすると、製品に欠陥が生まれます。もちろんほとんどの場合、不良品が市場に出ないように検査工程が設けられていますが、検査によって不良品を取り除き、手直しして良品に戻すという作業は、最初から良品を作る場合の何倍ものコストがかかります。また、検査をすり抜けて不良品が市場に出てしまう危険はゼロではありません。そこで、不良品が市場に流出するリスクと手直しのコストをゼロに近づけるために、初めからミスを犯さない工夫、ミスを犯しそうになったらそれを気付かせてくれる工夫が必要になります。

たとえば、仕事を標準化して誰がやっても結果にバラツキが出ないようにする、表示を工夫して間違えないようにする、組付け方を間違えると障害物に当たって先に進めないようにする、不良が出たらそれをみんなの前に明らかにしてみんなで原因と対策を考える…などです。この章では、そうした「製造の品質」をつくるためのくふうの具体例を紹介します。

 

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