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ネット版 改善改革探訪記 №237
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損の道を行き、祈りの経営を追求した高めた企業家ut

 鈴木清一翁事績探訪記


蝋問屋の営業マンだった鈴木清一翁(1911-1980)は、勤務先の社長令嬢と逆玉の越結婚をした。しかし、利を生んでこその商い、儲けにつながることならなんでもする…と舅のいう「大阪商法」についていけず、西田天香が主宰する「一燈園」の修業を経て、「損の道をいく」生き方を追求。利害が対立した時、相手には得の道(有利な道)をゆずり、自分は損の道(不利で困難な道)を選ぶことに徹した。

蝋の代用品や高度ワックスを開発。技術を公開して用途開発を図り、さらに販売事業者を組織化し、商品の多角化と販路拡充を推進した。「一燈園」の支援を得ながら、1944年には切削油製造販売業「ユシロ航空油剤製造」を創業。この会社が白木家具の艶出し剤の製造販売業、ケントクに発展した。

ケントクでは「祈りの経営」を推進し、社員を「働きさん」と呼び、朝夕のおつとめに参加させ、自分に対しては損の道を行くこと、他人に対しては喜びのタネ撒きをすることを説いた。

ケントクはその後、米国のワックス大手、ジョンソンと提携したが、ジョンソン側の増資によって社長だった鈴木はそこを追われ、その後、1963年に化学ぞうきんの会社ダスキンを創業。日本で最初のフランチャイズ組織として加盟店を組織化し、化学ぞうきんのレンタル事業を展開。さらに同様のフランチャイズ組織によって、1970年からミスタードーナツ事業を展開した。

「祈りの経営」によって奉仕の心を養い、お客様や販売店の支持を拡大していった鈴木翁の手法は、現代ビジネスのあり方を考える上で、多くの示唆を与えている。

●本文 → suzuki-seiichi.pdf
●ダスキンのURL → https://www.duskin.co.jpへのリンク
掲載先 → リーダーシップ 2021年3月号
(発行元・日本監督士協会のURL 
http://www.kantokushi.or.jp/  )



講演する鈴木清一翁。写真クリックで本文表示


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