絵で見る創意くふう事典  》 第12章 組織  》 E責任を持たせる
 
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組織‐1206 E責任を持たせる BACK
期待通りの成果を挙げたかどうか、それが誰の目にもはっきり見えるとなると、仕事への取り組みの真剣さが違ってきます。そのためには、成果をみえる仕組みを作り、結果に責任を持たせることが大切です。

 このページの掲載事例→        ●120601 保守点検を自主管理させる  
 ●120602 提案の目標と実績のグラフを掲示する  
 ●120603 経常利益額を賞与に反映させる
 ●120604 ワークショップに受注から回収までの責任を持たせる
 ●120605 部・課・係を独法化する  
 ●120606 アメーバ小集団ごとに独立採算化する  
 ●120607 カンパニー制で意思決定を速める  
 
【120601】 保守点検を自主管理させる  

[改善前]
機械の保守点検業務のサービスマンは伝票が回ってきたときに仕事に出かけ、終われば事務所に戻って次のコールを待っていた。しかし、待っているだけではやる気は出てこなかった。

  
  [改善後]
サービスマンのグループにテリトリーを割り当て、車も道具も自主的に管理させて毎月のサービス実績に応じて評価する形に改めた。サービスマンたちは俄然やる気をだし、コールを待つのではなく、定期点検で予防保全に力を入れて大きな修理が発生しないように工夫を凝らし、大きなコストダウン効果を上げた。
     
 
【120602】 提案の目標と実績グラフを掲示する   

各人の欄に提案1件ごとに棒グラフを伸ばしていき、トランプと同じ52枚になると金色のラベルがつくゴールデン・ジョーカー・システム」で提案の件数を競い合う。

   
 
 【120603】 経常利益額を賞与に反映させる  

化成品メーカーの事例。
この会社では独自の評価会計制度によって各営業品目について売上・原価・利益が算出できるようになっており、それに基づいて研究・生産・営業の各プロフィットセンターの半期ごとの経常利益を算出される。

プロフィットセンター長には半期ごとに経常利益通帳が渡され、そこに記載された経常利益額が前年に比べて増えたか減ったかでプロフィットセンター長の賞与が決まる。また、間接部門の経営補佐職の場合は、参謀として特定のプロフィットセンター長とコンサルティング契約を結んだ場合に、そのプロフィットセンターの利益の増減が賞与に反映される。

   
 
 【120604】 ワークショップに受注から回収までの責任を持たせる  


分業を細かくし、管理を強めていくと人は歯車のひとつになり、モノづくりの喜びが感じられなくなる。そこで、ある電子部品メーカーでは、生産部門で工程別に分業していたヨコ割体制を辞めて、タテ割のワークショップ制を導入した。

@商品ごとに、受注→材料費の購入→製造→品質管理→発送→代金の回収、まですべて一貫して縦割りで行う。

A従来の課長→係長→主任→組長・職長の職階は、ショップ長→ラインリーダーの2階層に簡素化した。

B生産メンバーは1人でその商品に関する全工程を扱えるまでに多能工化した。これにより要員管理、生産計画、納期管理もワークショップでできるようになり、予算、収益管理、設備の入れ替えなどの決定権もワークショップが持つようになった。

C大量生産に向けて用意した大型生産設備を破棄し、自社製の安い小型の機械に代えて「必要な時に必要なだけ作る」ジャストインタイム体制にして在庫を一掃した。

これにより、生産リードタイムは5分の1に、棚卸資産も5分の1に、設備回転率は2.5倍に伸びた

   
 
 【120605】 部・課・係ごとに独法化する  

産業用冷凍機メーカーの事例。
この会社は支社・営業所・部・課・係・工場の単位で「独法化(独立法人化)」を進めている。各独法は10〜20人の小集団で、購買・開発・生産・販売の機能を持ち、独立採算で事業展開する。

同社は下町の職人集団からスタートし、親方を中心にした数人の職人の「組」が、ユーザーの現場に入りこんで先方の要望に沿った装置を作ってきた。組織が大きくなり、部・課・係と分業が進むと、組織の壁が生まれ、ユーザーとの意思疎通が思うように進まなくなってクレームが増えた。そこで零細企業時代の感覚に戻ろうと組織を解体し、独法化を進めたという。

独法は市場ごと、産業分野ごとに集まってブロックを形成。そこで情報交換し、あるいは独法で処理できない問題を解決している。また、本社は購買・経理・総務などの業務を引き受け、独法支援に徹している。


   
 
【120606】 アメーバ―小集団ごとに独立採算化する  

稲盛和夫氏が考案した「アメーバ経営」という手法がある。

6〜7人の「アメーバ」という小集団ごとに独立採算制を敷き、全員参加の経営を行う。

製造では工程別に、営業では地域別や担当商品別にアメーバを編成し、各アメーバは自分たちが提供するモノやサービスを交渉によって決まった値段で社内外と売買する。この売上から人件費以外のすべての経費を引いた儲けを総労働時間で割った「時間当たり採算」が自分たちの賃金を上回ることが最低限の目標。それをクリアーするために各アメーバは工夫し努力する。

社内アメーバが供給する部品よりももっと安いものがあれば社外から買うこともでき、社外に売り出したいと提案することも可能。設備の入れ替えも起案できる。各アメーバの仕事の実績は翌日にはアウトプットされ、その実績値を積み上げた全社の数値によってトップは意思決定する。

   
 
 【120607】カンパニー制で意思決定を速める  

職能別組織では日常業務の運営権限だけが下位組織に移譲され、例外的事項が発生するとその都度上の判断を仰ぐ。しかし、それでは意思決定に時間がかかりすぎるため、事業部制が採用され、短期的な経営政策を決定する権限と利益目標達成の責任が事業部に与えられるようになった。
これをさらに推し進めて事業部の責任権限を拡大したのが「カンパニー制」で、1994年にソニーが採用したのが最初。その後多くの大企業で採用されるようになった。

@「カンパニー」は事業部を独立した会社とみなしたもので、資本金は各カンパニーに分与され、各カンパニーには貸借対照表と損益計算書の作成が義務付けられる。

A中期的に資産を有効活用して利益を生み出す責任と権限が与えられ、もしも赤字が続いて債務超過になれば清算手続きが行われる。

B各カンパニーのトップとしてプレジデントが任命され、プレジデントはカンパニー社員の人事権を持つ。

Cカンパニー制の採用によって意思決定が迅速になり、市場対応力が増し、個々の事業の責任が明確になる。

しかし、1997年に持株会社が解禁されて同じ効果をあげられるようになり、また経営環境が厳しくなったことで経営資源の分散化が全体最適に向けた動きをとりにくなるという問題点が生まれてきて廃止が相次ぎ、ソニーも2005年に廃止した。

   
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