絵で見る創意くふう事典  》 第12章 組織  》 D能力を高める
 
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組織‐1205 D能力を高める BACK

人は何歳になっても成長し向上することができます。成長し向上することで、視野は広く、深くなり、仕事の成果も喜びも大きくなります。1人ひとりに成長と向上の機会を与えることで、組織にも活気が生まれます。

 このページの掲載事例→               ●120501 パート・アルバイトを戦力化する−1  
 ●120502 パート・アルバイトを戦力化する−2  
 ●120503 同行OJTを行なう
 ●120504 社内勉強会を開く
 ●120505 接客販売の品質をトップレベルまで上げる  
 ●120506 職場の全員にパソコンをマスターさせる  
 ●120507 創造性開発教室を開く
 ●120508 第一線監督者に問題発見と問題解決能力を身に着けさせる
 ●120509 改善道場で改善留学させる
 ●120510 ものづくり技術を伝承する
 ●120511 同じところに留まらず上へ上へと目指させる
 ●120512 他の追随を許さない金型品質を作り上げる人材育成戦略
 
【120501】 パート・アルバイトを戦力化する−1  


■東京ディズニーリゾートでは来園者を「ゲスト」、お世話に当たるスタッフを「キャスト」と呼ぶ。ショップやレストラン店員も園内清掃係も、それぞれの担当業務の責任以前に「キャスト」として「ゲスト」に奉仕することを求められている。ウォルト・ディズニーは「すべての仕事はゲストのためにある」「すべてのゲストはVIPである」と言っており、子どもから高齢者まで、肩書や立場に関係なく、使ってくれるお金の額に関わらず、すべてVIPとしてもてなすことが求められる。

■「毎日が初演」という言葉もある。やっている方は毎日同じことの繰り返しだが、ゲストは初めての人も多い。だから、毎日初演のつもりで、気持ちを新たに、それぞれの役割を演じなさいという意味である。

■来園するゲストの多くがリピーターである。「また来たい」と思わせるためにゲストの反応は常にモニタリングされ、分析され、それに基づいて次々改善改革されている。ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドは永遠に完成しない」と言ったと言われる。

■東京ディズニーリゾートのキャスト2万人のうち1万7000人はパート・アルバイト。ほとんどはゲストとして受けた感動が忘れられず、今度は自分が夢と感動を与えたいと思って入社した人たちである。彼らには3日間の教育が行われるが、その概要は次の通りである。

[1日目]「すべての仕事はゲストのため」「すべてのゲストはVIP」「毎日が初演」の基本ポリシーを具体例を交えて解説する。

[2日目]アトラクション部門、レストラン部門などの担当に分かれ、座学でSCSEの行動基準を学ぶ。(SSafety安全、CCourtesy礼儀正しさ、SShowショーの品質、EEfficiency効率)

[3日目]先輩キャストについてOJT訓練を受け、その後は1人前のキャストとしてそれぞれの職場にデビューしていく。

取材先 オリエンタルランド
取材 2006/5/18
掲載 ポジティブ2006/08
本文 orientalland.pdf へのリンク

 
 
【120502】 パートアルバイトを戦力化する−2  

がんこフードサービス難波店では、新人のパート・アルバイトのレジ案内係を即戦力化するために、職場のQCサークルが次のような指導計画を作成した。

@1週間で戦力化するために7日間のトレーニングスケジュール(左下)を作成。担当を決めて指導することにした。
A次の事項について自分ひとりで学習できるように、マニュアルを作成した。
・「経営理念」と「接客10大用語」
・レジ案内係の立ち居振る舞い
・レジの基本操作
・レジの開店業務とレジ閉め業務
・レジ引継連絡書
・レジ周りと玄関周りのクリンネスチェック
・フロアの配置とテーブルaA定員
・案内の流れと声かけの留意点
・案内時の気配りポイント


取材先 がんこフードサービス難波本店
取材 1998/05/26
掲載 燃えよリーダー1998/08
  

 
 
 【120503】 同行OJTを行なう  


■兜髄野のクリーンサービス事業の事例。技能とCS(顧客満足)向上のために、現場社員には月1回上司が同行して現場で仕事の仕方、機器の使い方をOJT教育することにしていたが、部下が嫌がるためになかなか徹底していなかった。そこで、部下の賞与にOJT回数を反映させることにした。その結果、部下からのOJT希望が一挙に増え、部下の数を減らしてほしいという管理者が増えた。

取材先 武蔵野
取材 200/09/13
掲載 燃えよリーダー2002/11
本文 musashino.pdf へのリンク 

 
 
 【120504】 社内勉強会を開く  


新潟の印刷業、タカヨシの高橋春義社長は、外部の勉強会で学んだことやそこから自分で展開した考えを伝えようと「タカヨシ塾」という勉強会を始めた。

■社員の中から希望者を集め、月に3回、始業前の6時から8時まで。2年間でメンバーを入れ替える。たとえば、著名な経営者の講話テープを一緒に聞き、その後それについてディスカッションする。その中で高橋さんの考え方を聞き、塾生たちも意見を述べる。それを繰り返す中で社長と中堅社員たちの気持が通じ合うようになった。その後、この塾で育った中堅社員が自信をつけ、各事業分野が競い合うようにして業績を伸ばした。

取材先 タカヨシ(tanbouki 006
取材 2006/03/06
掲載 ポジティブ2006/05
本文 takayoshi.pdf へのリンク

 ←タカヨシ塾
 
【120505】 接客販売の品質をトップレベルまで上げる  


■クロスカンパニーの石川康晴社長は、製品の品質とともにそれを接客販売する人の品質を全国トップレベルにまで高め、お客様に満足していただこうと、「人と製品の品質日本一」という品質方針をポスターにして全職場に掲げ、カードにして全員に配り、さらに毎日の朝礼・終礼で全員が唱和している。

■新卒の新入社員教育では、お辞儀の仕方、声の出し方、笑顔の作り方…などを一から教え、中途入社者には先輩社員が一定期間ついてマンツーマンで指導するほか、接客技術を磨くために基本塾、練達塾というスキルアップ研修の機会があり、さらに個々の商品の商品知識やその時々のトレンド情報は店長会議でその都度幹部から店長に伝えられ、店長から各店の社員に伝えられる。

■これらの教育によって、「いらしゃいませ」「ありがとうございました」しか言えなかった新入社員が、少しずつ接客技術をレベルアップさせていき、お客様の心をしっかりとつかめるようになる。

■「ベストオブクロス」と名づけられたロールプレイングコンテストを2006年から開催している。社員が店員役となり、社外から招いた女優さんにお客様役を演じてもらって5分間で販売のロールプレイングを行うもの。そのときの社員の応対を審査員が採点し、その点数を競う。たとえば、その時店舗にない品物が注文されたり、他店から取り寄せなければならなかったり、といったイレギュラーな場面設定も用意されており、その対応の仕方でその人の実力がわかる。

■全社員が参加し、店舗予選、地区予選を勝ち抜いた20人が決勝に臨み、上位5人が表彰され、賞金とともに副賞としてヨーロッパ研修旅行がプレゼントされる。旅行予算は1人100万円。パリでオペラ座を見て、高級レストランで食事し、赤絨毯を敷き詰めたホテルに泊まるなど、富裕層の顧客の心をつかむために富裕層と同じ遊びを経験させる。

■「ベストオブクロス」によって、優れた接客応対の技術が通常の研修方法ではとうてい及ばないスピードで全社員に深く浸透していく。社員たちはそれまでに入賞した社員の演技ビデオを繰り返し見て研究し、少しでもよい結果を出そうとする。自部門から上位入賞者を出したいと考える部門マネジャーたちがとりわけ熱心で、彼らは全国各地の店舗の優秀社員を休日に集めて特訓する。このコンテストのために多くの社員が各地と東京を何度も往復するが、そのための交通費、宿泊費、コンテストや訓練のための会場費、そして上位入賞者に対する賞金と副賞などを含めるとその費用は何千万円という額になる。

■「コストと考えればとても出せる金額ではない。しかしこれは投資です。これによって社員の能力を高め、お客様の満足度を高め、店の価値、ブランドの価値を高めることができるのです」と石川社長は言う。

取材先 クロスカンパニー(tanbouki 066
取材 2008/04/30
掲載 ポジティブ2008/0
本文 croscompany.pdf へのリンク
  

 
ベストオブクロスのロールプレイングコンテスト
 
【120506】 職場の全員にパソコンをマスターさせる   

■日立金属安来工場では、次のような方法で職場の全員にパソコンをマスターさせた。
@中高年監督者を対象とした「パソコン教室」を開講し、「メールの使い方」「EXCEL」「WORD」などを教えた。
A研修と並行してパソコンを利用した仕事の改善テーマ(「消耗品をパソコンで管理する」「作業実績をパソコンで集計する」など)を設定し、その進捗状況を1カ月ごとに発表させた。
B監督者たちがある程度パソコンを使えるようになり、パソコンの配備数も増えた頃に小集団活動リーダーを対象に「パソコン教室」を開講した。以後、小集団活動の分析資料、発表資料がパソコンで作られるようになり、パソコン利用が全従業員に広がった。

取材先 
日立金属安来工場
取材 1999/08/12
掲載 燃えよリーダー
 1999/09
  
 
 
【120507】 創造性開発教室を開く   
 
■自動車部品メーカー、クラタでは、工場の一郭に「創造性工房」を設け、現場リーダークラスを中心に創造性開発教育を行っている。アイデアの出し方のコツを学び、最後に自分たちが考えたアイデアを木工細工で形に表す。

■工房の中に木工機械が備えられていて、例えばプレス機の上下運動を滑車を使って横の運動に変えられないか、コンベアの動きを利用して治具の動きを同期化できないか…などの発想を木で模型を作って実験し、行けそうだとなれば改善道場で金属材料を使って実作する。


取材先 クラタ
取材 2000/06/27
掲載 プレス技術
 2000/09
本文 kurata.pdf へのリンク
  
 
 
 【120508】 第一線監督者に問題発見と問題解決力を身につけさせる    

自動車部品メーカー、マルヤス工業では、第一線監督者に問題発見・問題解決能力を身につけさせるために、次のような研修を行っている。

@第一線監督者層の中から順次3人を選抜してチームを編成。70日間職場を離れ、与えられたテーマに集中して改善を行わせる。
Aテーマは各部が持ち回りで提案。提案部門の職制、改善事務局、この研修会のOBが見守る中でチームメンバーは、現状調査→原因追究→対策立案→改善実施→成果確認のステップを進める。
B研修スケジュールには2回の合宿による改善教育と精神修養、会社のトップの前での2回の発表が組み込まれている。

取材先 マルヤス工業
取材 2002/01/28
掲載 プレス技術
  2002/04
本文 maruyasu.pdf へのリンク

 
 
 【120509】 改善道場で改善留学させる    

■ダイキン工業滋賀製作所では、オペレーターの改善技能、保全技能を高めるために、4カ月間ラインから外して保全部門の保全グループ、改善グループに預ける改善留学制度、保全留学制度を実施している。

■対象は社内改善教育を修了し保全技能資格を取得した人の中から人選。期間中は改善道場でベテラン社員のアドバイスを受けながら、自分で図面を描き、材料を発注して、自職場のために自動機を製作したり、予防保全システムを製作し、4カ月後に成果発表する。

■修了者には「テクニカルリーダー」の称号とバッジが送られる。


取材先 ダイキン工業滋賀製作所)
取材 1998/11/09
掲載 TPMによる利益を生み出す体質づくり  
 
 
 【120510】 ものづくり技術を伝承する   


■製造工程のかなりの部分が中国や東南アジアに移り、団塊世代の大量退職が始まったことで、高度の熟練技能が失われていくことを危惧したトップの指示により、
セイコーエプソンは、2002年、技能教育の再構築のために「エプソンものづくり塾」をスタートさせた。

■技能道場、効率化道場、先端技術道場、設備保全道場などがあり、塾生は、新入社員、課題を持つ中堅社員、管理監督者、協力会社社員、さらに地域貢献の一環として長野県内の工業高校の先生らも含まれている。その塾生たちを、現代の名工、県の名工、エプソンの名工などのタイトルを持つ30人が指導に当たっている。

■指導に使われる機械は3060年前の古いタイプのもの。数値を入力するだけでものが出来上がる最近の機械とは違って、自分で材料をセットし、位置決めし、何度も調整しなければならない。そういう機械を使いこなすことで、加工プロセスが理解できるという。

■塾では技能五輪をめざす若手社員も育成している。一般採用枠とは別枠で採用された人たちで、通常58年かかる技能を2年間で習得する。その2年間は教える方も教えられる方も真剣勝負で、先輩・後輩の人間関係の中で、あいさつ、服装、生活態度、目上の人を敬う心などを教え、厳しい訓練を経て、技能五輪に挑戦。メダルを目指す。メダリストたちは他の社員の目標となり、それが全体のレベルアップにつながると期待されている。

取材先 セイコーエプソン
取材 2007/06/01
掲載 ポジティブ2007/08
本文 seikoepson.pdf へのリンク
  

 
エプソンものづくり塾での実習風景
 
【120511】 同じところに留まらず上へ上へと目指させる    


■ニート、フリーター、障害者などの就労困難者に働く場を提供することを、自社の社会的責任と宣言しているシステム関連事業「アイエスエフネット」では、健常者社員は就労困難者1人ひとりについてどんなケアが必要かを話し合っている。

■その中で健常者たちは、自分が担当する仕事の一部、例えば書類のコピーや資料作成などの仕事を彼らに切り出して提供しており、就労困難者たちはそのようにして安定的な仕事のベースを持ち、空いた時間でシステムエンジニアの資格取得の勉強をしている。

■仕事を切り出すことで、健常者の手元には責任の重い、生産性の高い仕事が残る。そして、ハンディを克服した就労困難者もやがて同じように生産性の高い仕事を目指すようになる。

■1人ひとりに同じところに留まることを許さず、上へ上へと目指させるこの仕組みが、同社の成長を支える原動力となっていると、渡邉幸義社長は語っている。

取材先 アイエスエフネット
取材 2013/07/24
掲載 リーダーシップ2013/09
本文 
isfnet.pdf へのリンク 

 
↑就労困難者の執務風景(左)と障害者の家族と語る会
 
【120512】 他の追随を許さない金型品質を作り上げる人材育成戦略   


■山岡製作所(京都府城陽市)は金型製作の分野でトップクラスの技術・技能を持つ会社である。「失われた20年」の中、同業者の多くが海外に移って行く中で、山岡祥二社長は国内に踏みとどまり、他の追随を許さない高品質の金型をつくり続けようと決意。計画的に人を育て、その成果を確認できるシステムMOSManagement Of Skill、技能経営)を作り上げた。

■部長・課長8人で構成する教育推進委員会があり、職種ごと、職能段階ごとに必要な知識・技術・スキルを洗い出し、教育科目やOJT項目を設定。教育科目は現在約200科目。たとえば、KYT訓練、5Sの実践、安全衛生、QC教育、生産管理システム、組立要素、機械計測、ネジ締め付け作業、読図、工作機械、プレス機械、組立作業…。社内の担当者が社外講習会を受講し、自分で勉強し、テキストを作成、自ら講師となって他の社員を教える。

OJTも計画的強制的に行われる。毎年4月に1人ひとりのスキルを上司が評価し、その後のOJT計画を策定。結果を記録する。

■教育訓練と並行して「マンパワーUP活動」を展開している。1人ひとりが1年間のテーマを決めて改善活動を行う。

取材先 山岡製作所
取材 2013/09/18
掲載 リーダーシップ2013/11
本文 yamaoka.pdf へのリンク
 

 
↑社内講習会(左)とOJT風景
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